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無料POSレジ「Airレジ」とクラウド会計「freee」が連携へ

会計業務の簡略化で、“1週間に1日は休んで”

 リクルートライフスタイルとfreeeは18日、リクルートライフスタイルが提供するPOSレジアプリ「Airレジ」と、freeeのもつクラウド会計サービス「freee」の連携を開始すると発表した。

リクルートライフスタイルとfreeeが連携を発表

 AirレジはiPadと専用アプリを用い、従来型のPOSレジと同等の会計機能などを維持費用をかけることなく行えるようにする仕組み。またfreeeは、会計帳簿の自動作成や決算書の作成も可能なWebベースの会計サービス。

 両者を連携することで、Airレジで記録した売上などの会計データをfreeeに自動で取り込んで仕訳し、日々の売上管理から会計帳簿の作成、決算処理に必要な書類の作成まで、店舗運営に必要となる会計まわりの作業を大幅に簡略化できるとしている。

会計業務の手間を減らし、本来のサービスに集中できる

freee株式会社 代表取締役 佐々木 大輔氏

 18日に開催された発表会では、freeeの代表取締役である佐々木氏と、リクルートライフスタイル代表取締役社長の北村氏が、それぞれのサービスや連携することによるメリット、目的などを語った。

 佐々木氏は、デバイスやOSを問わず、消費税率の変更などにも即対応でき、PC環境の移行にも影響されないこと、簿記などの知識がなくても簡単に使い始められる点などから、freeeの利用者が大幅に伸びていると明かした。サービス開始からわずか1年でユーザー登録数が6万事業所を突破し、3月末には7万事業所に達するという。

 急激な利用者増加の理由について、1600超の金融機関からのデータ取り込みの対応や、モバイルアプリのリリースといった「ユーザーの要望に応じて積極的な機能追加をしてきた」点を挙げ、特にサポート体制の強化を図ったことでユーザーからの信頼を得ることにつながり、「2年目に向けた大きな礎になった」と胸を張った。

サービス開始後わずか1年で6万もの登録があった
「freee」の画面
確定申告に必要な書類の作成も可能
iOSアプリもリリース。フリック操作で売上などの仕訳ができる様子も紹介した

 その2年目に向けた取り組みの1つとして、Airレジとの連携をスタートさせる。Airレジに入力された売上データを自動でfreeeに取り込むことが可能になり、従来のPOSレジのレシートから会計ソフトへ手作業で転記するような業務が不要になる。現金決済だけでなく、Airレジとカード決済サービスの「Square」を組み合わせたクレジットカード決済のデータも扱え、リクルートポイントの取り扱いも可能になっている。

 会計に関わる事務作業を省力化できることから、中小企業や個人事業主が「よりよいサービスを提供するためにかける時間を最大化していただきたい」と述べ、freee単体では2014年3月末までに25万ユーザーを目指すとし、freeeのさらなる普及と改善を進めていくことを力強く宣言した。

「1週間に1日は休んでほしい」との思いを形に

株式会社リクルートライフスタイル 代表取締役社長 北村 吉弘氏

 リクルートライフスタイルの北村氏は、3月18日現在のAirレジの登録者数が3万5000アカウントを超えたことを報告。飲食店はもちろんのこと、石垣島の乗馬体験のお店や岐阜にある酒蔵など、さまざまなジャンルの店舗でAirレジが活用されていることを紹介した。

 また、Airレジは、iPadとインターネット接続が可能な環境さえあれば初期費用や維持費用は不要なうえに、100名の開発部隊による迅速な機能拡充を可能にしており、200名超の導入支援スタッフを配備しているなど、サポート体制が充実していることも合わせてアピールした。

 同社によれば、Airレジによって店舗における業務を効率化でき、ホットペッパー グルメをはじめとするリクルートの多数のメディアとの連携で店舗への集客を図れるとしているが、これらは店舗と客の間のコミュニケーションを円滑にするためのもの。その他に、閉店後に日々行わなければならない会計業務など多くの事務作業が残っているという課題があった。

 スタッフの数が限られた小規模店舗では、そういった会計業務のために経営者が休日を取れないところも多い。今回のAirレジとfreeeの連携には、適切に休みを取りながら経営できる体制を実現できるようにし、「特に店長さんには、少なくとも1週間に1日は休んでほしい」との思いが込められている。

Airレジでは空席や予約の管理も行える
リクルートが提供する多彩なサービスとの連携を目指す

 実際の連携の仕方はデモを交えて説明が行われ、Airレジアプリのメニューから連携先のfreeeにログインするという簡単な操作だけで完了することを紹介した。その後はAirレジで会計したデータが1日ごとに自動でfreeeに送信される形となる。

 Airレジ自体は小規模な店舗や個人事業主を中心にサービス展開しているものの、北村氏によれば、大手飲食チェーンにもすでに納入しているとのこと。各店舗からのデータの受け渡しや売上管理の効率化を考えると、むしろ大規模チェーンの方が向いているのでは、と語った。

 また、既存のPOSメーカーは競合としてではなく、協力関係を築いていけるパートナーとして捉えているとし、問い合わせも頻繁にあるという。たとえば座席・予約管理の機能のみを部分的に提供する形でも対応できるとし、「黒子のように連携できれば」とも話した。

 最後に、Airレジとfreeeを試験的に先行導入した「鎌倉アロマ」の代表取締役である深野氏が導入の経緯や使用感を語った。会計業務がほぼゼロになったことに加え、操作が簡単なので教育に時間がかからないこと、さらにはiPadをPOSレジとして使っていることに意外性があり、お客さんとのコミュニケーションのきっかけになることをメリットとして挙げた。一方で、freeeへの取り込み時に仕訳をさらに明細化する機能の追加や、リクルートの各メディアとの早期の連携強化も訴えた。

横浜にある鎌倉アロマを経営する深野 竜矢氏が、本サービスの導入経緯や使用感を語った
Airレジにはキャッシュドロアーやレシートプリンターなどを組み合わせることができる
Airレジのオーダー入力画面
売上に関わる統計情報をグラフィカルに表示する
freeeと連携した時の画面
iPadスタンドはAirレジのオリジナル。導入店舗にはこのスタンドもセットで提供される

(日沼 諭史)