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Mt.Gox、民事再生手続きによる再建を断念、破産手続きへ

 仮想通貨Bitcoinの取引所「Mt.Gox」を運営していた株式会社MTGOXは16日、東京地裁に申請していた民事再生手続き開始の申し立てが棄却されたと発表した。保全管理人の弁護士は今後について、「裁判所がしかるべき時期に、破産手続を開始する決定を行うことが予想される」と説明している。

 Mt.Goxは、東京を拠点としていたBitcoinの大手取引所。2月7日に、技術トラブルによりBitcoinの払い出しを一時停止すると発表し、2月26日にはすべての取り引きを当面停止することを発表。2月28日には東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。

 Mt.Goxでは、民事再生法の適用申請時点で、資産総額約38億円に対して流動負債総額約65億円の債務超過の状態にあり、原因としては不正アクセスによりBitcoinが不正に引き出されていた可能性があると説明。ユーザーの取引履歴上の約75万Bitcoinと、Mt.Gox自身の取引履歴上の約10万Bitcoinのほぼすべてがなくなったとしていたが、その後の調査で約20万Bitcoinが残存していることが確認されたと3月20日に発表していた。

 今回の決定についてMt.Goxでは、これまで申し立ての原因となったBitcoinの消失や預金残高の不足など事実関係の調査を進めてきたが、調査には時間を要する見込みで、現時点では事業再開の見込みも立っておらず、スポンサー候補との交渉についても具体的な選定作業に入っていないと説明。こうした状況から、裁判所や監督委員と協議した結果、東京地裁から再生手続開始の申し立てを棄却する旨の決定がなされ、あわせてMt.Goxに対する資産保全命令が発せられたとしている。

 保全管理人に選任された小林信明弁護士は、「東京地裁の監督の下、Mt.Goxの財産の管理処分を行うことになるが、Mt.Goxの財産について、米国連邦倒産法第15章の手続き等の国外の手続きの利用も試みながら、国内外で公平かつ平等な管理に努める」とコメント。また、今後の見通しについては、東京地裁の決定事項だとしながらも、しかるべき時期に破産手続き開始の決定がなされることが予想されるとしている。

【お詫びと訂正】
 記事初出時、小林信明弁護士の名前を誤って記載していました。お詫びして訂正します。

(三柳 英樹)