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Amazon以外のECサイトでもAmazonアカウントでログイン・決済できるサービス、日本でも開始
まずは「劇団四季」「出前館」が導入
(2015/5/11 16:31)
アマゾンジャパン株式会社(Amazon.co.jp)は11日、他社のECサイトでもAmazonのアカウントでログインし、決済まで完了する新サービス「Amazon ログイン&ペイメント」を提供開始した。
Amazon ログイン&ペイメントを導入しているECサイト上で、Amazonアカウントで登録されている配送先住所やクレジットカード情報を利用できる。一方、Amazonが保有するクレジットカード情報は、Amazonのセキュリティシステムで管理され、導入先サイトに渡ることはない。
これにより、初めて利用するサイトで新規にログインIDやパスワードを設定することなく、Amazonアカウントのみで決済が可能となる。また、購入した商品についてはAmazonマーケットプレイスと同様の保証が適用され、ユーザーと販売事業者との間では解決が難しいトラブルにおいてAmazonが一定の条件でサポートする。
まずは四季株式会社が運営する「劇団四季」および、夢の街創造委員会株式会社運営する「出前館」の2つのサービスが導入。劇団四季のウェブサイトで公演チケット購入時にAmazonアカウントが利用できるようになった。出前館ではピザや弁当の出前サービスにおいて、Amazonアカウントで支払いできる。
Amazon.co.jpでは、各社ECサイトにおいてAmazonアカウントを利用できるようにすることで、初回注文の成約率(商品をカートに入れて決済を完了したユーザーの割合)改善や新規会員登録の促進につながるとしている。また、クレジットカード情報は導入企業には引き渡されないため、セキュリティ負担が軽減されるとしている。
Amazonはアカウント登録時にユーザーの属性情報を取得しておらず、導入企業に提供される情報は住所や名前など配送に必要な情報のみにとどまる。このため、Amazon ログイン&ペイメントを使用した新規会員登録では、性別や年齢といった属性情報は取得できない。導入企業にとっては、会員数獲得を取るかユーザー情報を取るか割り切りが必要となる。なお、導入企業からAmazonへの会員情報の提供は行われない。
なお、同サービスは2013年10月より米国で提供されており、導入企業における注文成約率が10~34%改善したとのデータがあるという。現在英国、ドイツ、インドでも提供しており、すでに数千社が導入している。また、新規会員登録も促進され、Amazon ログイン&ペイメントを導入している米国の家具ECサービス「Cymax」では、新規会員登録の3人に2人が同サービスを利用しているという。
Amazon ログイン&ペイメントは、導入企業から一定の手数料を徴収することでマネタイズするビジネスモデル。手数料率については非開示。
11日に行われたAmazon ログイン&ペイメントの記者発表会では、日本国内で最初に同サービスを導入する四季代表取締役社長の吉田智誉樹氏、夢の街創造委員会代表取締役社長の中村利江氏が登壇した。
四季は、長年チケット流通のイノベーションに取り組んでおり、ミュージカル「キャッツ」の初演時である1983年にはコンピュータのオンライン予約システムを構築したほか、2000年にインターネット予約、2010年にチケットレスサービスを開始している。吉田氏は、Amazon ログイン&ペイメントについて「チケット流通のイノベーションに新しい1ページが加わった」と評価。また、「世界で最も人通りが多い商店街がAmazonだと思っている。そこに参加できることは大変光栄だ」と述べた。
出前館は、出前のポータルサイトとして1万2000店舗を登録しており、注文から料理、決済まで最短30分で提供できるのが特徴。Amazon ログイン&ペイメントを導入した経緯として中村氏は、「EC市場における決済方法の6割はクレジットカードだが、出前館では出前の風習からクレジットカード利用者が3.2%にとどまっている。Amazon ログイン&ペイメントの導入でキャッシュオンからオンライン決済に変えていきたい」と説明した。