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日本ではパロディー認める判決は出ていない、コミケなど摘発の可能性――TPPによる著作権侵害の非親告罪化になおも懸念、日本文藝家協会が声明
(2015/11/25 16:07)
公益社団法人日本文藝家協会は24日、「著作権侵害における非親告罪化についての声明」を発表した。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の条項案に含まれている著作権侵害の非親告罪化に関して、これに対応するための国内の著作権法改正について慎重な議論を求めている。
TPPの締結に向けた著作権法改正の議論としては、すでに文化審議会著作権分科会の法制・基本問題小委員会で11月4日の会合から議論が始まっており、著作権侵害の非親告罪化は海賊版行為への対応が目的であり、パロディーなどの二次創作は対象外とすることで今後の検討を進めていくことで合意していた。
また、11月24日に開かれた政府の知的財産戦略本部の会合でも、知財分野におけるTPPへの政策対応案について言及があり、「著作権法の改正については、権利の保護と利用のバランスに留意し、特に、著作権等侵害罪の一部非親告罪化については、二次創作への萎縮効果等を生じないよう、その対象となる範囲を適切に限定するものとする」ことが示された。
しかし、日本文藝家協会は今回の声明で、「文芸・音楽・映画等のいわゆる海賊版の摘発強化と拡大を抑え込むのが狙いとされているが、国内ではパロディーを認める判決は出ておらず、著作権侵害の判断がされているため、同人誌の即売会〈コミックマーケット〉など二次創作物が当局によって摘発される可能性もあることになる」と指摘。
また、権利者の告訴なしに捜査当局の判断で起訴できるという点で、「著作権侵害が当局によって恣意的に適用される懸念が払拭できない。そのため、表現者が意識的または無意識的に萎縮させられる可能性が皆無とはいえない」とも述べており、日本文藝家協会では「今後の著作権法改正に対して特段の配慮を要望する」としている。
なお、日本文藝家協会は、11月4日に開かれた法制・基本問題小委員会にも意見を提出しており、非親告罪化について以下のように述べていた。
「芸術は、すべからく模倣から始まると言っても過言ではなく、文藝に於いても和歌では本歌取りが古来歌詠みの常道とされてきた。美術を学ぶ学生が名作を模写することで鍛錬するように、マンガをパロディー化することが鍛錬となり、優れた人材を育てることになっている面もあるので、パロディーに対してはある程度寛容に態度で臨み、原著作者の経済的損失が明確な場合にのみ摘発するといった条件づけが必要であろう。」