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国立国会図書館、有償の電子書籍・電子雑誌の収集に向けた実証実験、館内で閲覧可能に

 国立国会図書館は、電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業を12月1日より開始する。

 一般社団法人日本電子書籍出版社協会から送信される電子書籍・電子雑誌のデータを、国立国会図書館(東京本館・関西館)内の特定端末から閲覧できる。閲覧可能なコンテンツは、出版社や著作者から提供されたもの。事業開始時点で、雑誌・文芸・実用・新書・コミックなどのジャンルから800点以上の提供を予定しており、今後、追加予定。

 同事業は、電子書籍・電子雑誌の収集および長期的な保管・利用の技術的検証を目的として実施するもの。また、国立国会図書館内で電子書籍・電子雑誌を閲覧可能にすることで、民間の電子書籍・電子雑誌ビジネスへの影響のほか、納入時の費用を調査分析する。実証実験は、2020年1月末までを予定しているが、3年以内にそれまでの実施成果を出版社などと確認した上で、実験内容の見直しも想定している。

 電子書籍・電子雑誌は、以前は納本制度の対象外だったが、2012年に国立国会図書館法が改正され、無償かつDRMが施されていないコンテンツを対象に、制度的に収集できるようになった。ただし、有償の電子書籍・電子雑誌は、収集にあたっての補償のあり方や収集・保存に関する技術的課題が未解決であるために、制度的収集の対象から除外されていた。今回の実証実験は、これらの課題を解決するために実施するものだとしている。

(山川 晶之)