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東京大学など国際共同チーム、100ギガネットワークを高効率利用できる通信技術「LFTCP」、日米間で毎秒73ギガビットの世界最高値を記録
(2015/12/11 18:33)
東京大学大学院情報理工学系研究科の平木敬教授らの研究グループ、WIDEプロジェクト、NTTコミュニケーションズ株式会社、国内外のネットワーク機関による国際共同チームは11日、100ギガビットネットワークを、通信距離にかかわらず高効率利用できるTCP通信技術「LFTCP」を確立したと発表した。
LFTCP(Long Fat pipe TCP)は、東京大学が研究開発したプロトコルで、遅延時間の大小にかかわらず、100ギガビットネットワークでの高速通信を実現しているという。従来のTCPの基本性質や、輻輳制御アルゴリズムを変更することなく、送信側バッファに関する変数を64ビット値に拡張したほか、パケットフォーマットの工夫、パケット送出のタイミングを制御する関数を変更することで、従来のTCPを超広帯域ネットワークに適合させることができる。
2015年11月に利用可能となった、東京とシアトルの2万1153kmを結ぶ100ギガビットネットワーク「TransPAC/Pacific Wave ネットワーク」にて、LFTCPの通信実験を実施。実験ネットワークでのTCP限界値だった毎秒29ギガビット(理論値の97.7%)を2倍以上上回る、毎秒73ギガビットのTCP通信(ネットワーク往復遅延時間は296ミリ秒)を実現した。単一のTCP通信によるインターネット上の通信速度として、世界最高値だとしている。
この高速通信は、LFTCPを精密ソフトウェアページング方式と組み合わせることで実現している。また、LFTCPはTCPプロトコルであるため、複数のTCPストリームでネットワークを共有する場合でも、公平な帯域の分割利用が可能であり、パケットロスがあるネットワークでも信頼性を確保しているという。なお、LFTCPはオープンソースソフトウェアとして公開し、ほかの研究機関でも利用可能。
実験には、CPUにIntel製Core i7 6770K、OSにCentOS 7.1(1503)を搭載したPCを使用。データ通信ソフトウェアには「iperf3」、ネットワークの両端に設置したサーバーのネットワークインターフェイスには、メラノックス製「ConnectX-4」ネットワークアダプターを使用している。なお、送信側PCにはLFTCPを使用したが、受信側PCは通常のTCPで実験を行った。