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ヤフーとipocaが提携、リアル店舗の商品在庫を確認できるサービス
(2016/1/19 06:00)
ヤフー株式会社は、株式会社ipocaとの業務提携を発表した。80施設・約9350店舗で取り扱う商品関連情報を、地域情報サービス「Yahoo!ロコ」において閲覧できる。情報掲載は18日から開始、検索機能は3月の開始を予定。
ipocaのスマートフォン向けアプリ「NEARLY」の商品情報、セール情報、キャンペーン情報などをYahoo!ロコの施設・店舗情報ページ内に掲載・検索できるようにする。これにより、「リアル店舗の商品が容易かつ効率的に探せるようになり、快適な買い物を楽しむことができるようになる」としている。新宿、梅田、横浜など一部地域を対象に実施した実証テストでは、通常の特集ページと比べて公開から1週間で約10倍のページビュ-を獲得したという。
ライトユーザー層へ情報を届けることが今後のカギ
18日に都内で行われた記者会見では、ヤフー株式会社メディアカンパニー生活メディア事業本部長の津森暁史氏、株式会社ipoca代表取締役社長の一之瀬卓氏、JR西日本SC開発株式会社代表取締役社長の山口正人氏、株式会社東急モールズデベロップメントグランベリーモール総支配人の佐藤和弘氏が登壇し、スマートデバイスの普及がもたらす集客、購買行動の変化について語るトークセッションが行われた。
都心の有力商業施設が調査したところ、リアル店舗で目的を持って来る顧客は全体の3割で、7割が無目的だという。一之瀬氏は「特定の施設の情報を確認する“ロイヤルカスタマー層”には紙媒体、電子媒体を用いた囲い込みの情報発信を実施しているが、ライトユーザー層にはこれらの情報を自発的に見る機会がない。従来は折込チラシ、マス向け広告、中吊り広告などの紙媒体を利用してきたが、今後は電子媒体での情報の提供が重要になる」と既存の販促の問題・課題として、ライトユーザー層へのアプローチを挙げた。
山口氏は、昨年店舗を開いた際、CMを大々的に行い、メディアへの注目も集めることができたが、顧客全体に店舗に関する情報が伝わっていないと感じたという。「ライトユーザー層へ店舗側の発信する情報を効率的に伝えることが重要であり、顧客の欲しいものがどこにあるかをナビゲートしなければ購買に繋がらない。限られた時間の中でも欲しい物にたどり着き、ユーザーに有意義な時間を作ることを期待している」と述べた。
佐藤氏は「今はチラシ、ポスター、雑誌の告知だけでは情報は幅広く届かないが、デジタルメディアでも世代ごとにささってくるメディアは異なる。ホームページのコンテンツも施設に興味を持ったユーザーであることが前提。施設に興味を持っていない顧客にも情報を発信できるツールが必要」とした。同社が配信しているメールマガジンは多くの情報を提供することができるが、メール自体が埋もれがちな状況にあるという。「アプリの開発は独自の開発やアップデートやメンテナンスで手間もお金もかかる。しかし、NEARLYは施設単体だけではなく、地域全体で使えるところが大きな特徴。アプリに有意性を持たせることが重要で、ユーザーが普段よく使う場所の情報をまとめて届けるメリットがある点を期待する」と語った。そのほか、“店舗のショールーミング化”で小売りの現場が変わることを指摘。「現在は店舗の情報を発信しているが、テナントごとの店員が掲載する情報をもとにユーザーや店員が繋がるツールになることを望む」と語った。
津森氏は、NEARLYはスマートフォンに直接情報を送ることができることをメリットと捉え、「将来的には位置情報を活用できるように、館内に入った段階で情報を提供し、目的を想起する役割を持たせたい」と述べた。また、「今後出てくる位置情報の技術とYahoo!地図を組み合わせて、店舗の情報から店内の棚ごとの情報なども含めて示す時代が来るかもしれない」と将来の展望を語った。