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ゆるいネタから政治経済ニュースまで「BuzzFeed Japan」創刊、強力な編集体制で記事はすべて独自制作
(2016/1/20 18:54)
BuzzFeed Japan株式会社は19日、日本向けオンラインメディア「BuzzFeed Japan」を公開した。米BuzzFeedの海外版としては11番目となる。
米BuzzFeedは、2006年にニューヨークで設立されたオンラインメディア。「インターネットで拡散するコンテンツは何か」を追求し、政治経済から、犬や猫、エンターテインメント、動画など幅広いコンテンツを扱う。また、独自取材を基本とし、オバマ大統領など各国要人の独占インタビューのほか、テクノロジーを活用したデータジャーナリズムも展開する。強力な取材体制から生み出された記事を、FacebookやSnapchatなど30以上のプラットフォームで配信することで、月間50億PVと多くのユーザーから支持されている。
BuzzFeed Japanでも米国同様、すべての記事は自社編集部で作成する。元新聞記者などさまざまな経歴を持つスタッフが集結しており、ニュース担当が4人、バズ担当が3人、そのほかソーシャルメディアエディター、フォトエディターなどが、シリアスなニュースから猫や動物の記事まで幅広く作成する。また、BuzzFeedの持つグローバルなネットワークを生かし、各国で制作したコンテンツをBuzzFeed Japanが日本語で紹介する。単純に翻訳するだけでなく、日本のユーザーに分かりやすいよう背景や解説を加えて提供する。
BuzzFeed Japanが執筆した記事を、他国のBuzzFeedで取り上げるスキームも整っている。日本に興味を持つBuzzFeedスタッフも多く、BuzzFeed Japanが1月19日に公開した福島第一原発に関するルポは、オーストラリア版の編集長から声がかかり、現在翻訳作業にとりかかっているという。これまで、国内に関する情報の海外発信は、ほとんどが海外メディアの特派員が占めていたが、BuzzFeed Japanの立ち上げにより、国内スタッフが執筆した記事をBuzzFeedの巨大なプラットフォームを通して海外に発信できるようになった。
作成したコンテンツを適切に配信するために、BuzzFeed Japan以外にも、Facebookでは動画、Instagramではイラストといった、それぞれのプラットフォームに合わせて見出しや画像を変えることで、記事への流入を最大化する。こうした取り組みから、米BuzzFeedの記事への流入はSNSがほとんどを占めており、数年前まで主流だった検索流入も今では2%にとどまる。また、PVやSNSでのシェア数、記事の読了率などから、コンテンツの消費や拡散具合を分析し、記者の記事作成にフィードバックされる。
BuzzFeed Japanは、米BuzzFeedとヤフー株式会社により設立された合弁事業会社で、創刊編集長には、元朝日新聞社の古田大輔氏が就任。BuzzFeed Japanのコンテンツは、「Yahoo!ニュース」をはじめ、キュレーションサービスにも配信する。広告領域においては、BuzzFeed Japanが提供する広告の独占販売権をヤフーが保有するが、両者の関係はあくまでも1つのパブリッシャーでしかないとしている。なお、編集と広告の切り分けは徹底されており、BuzzFeed Japanが公開している編集ガイドラインにも、そのことが明記されている。
BuzzFeed Japanが目指すのは「楽しい」「信頼」「シェア」
古田氏は、BuzzFeed Japanに移籍した背景として「新聞社が嫌いなのではなく、米BuzzFeedのあり方に共感し、コンテンツもクールだったため」とポジティブな理由であったとしている。また、「◯◯◯◯についての5つの理由」といったブログなどでよく見かける書き方も米BuzzFeedが発祥であり、記事も要素を並べて読者に分かりやすい形で作るのが魅力だとしている。
古田氏は、BuzzFeed Japanが目指す姿として「楽しい」「信頼」「シェア」の3点を挙げた。「楽しい」はバズネタに限らず、分かりやすく人々が関心を持つニュースを提供することで、新しいことを知ることができたという読者の喜びに繋げたいという。また、作成したコンテンツが作り話や誰かのパクリではなく信頼されるものであれば、コンテンツは自然とシェアされるため、楽しく信頼されるコンテンツがインターネット上に広まるとしている。
また、このタイミングで日本に参入した理由について、米BuzzFeed編集長のベン・スミス氏は、「日本での展開は非常にナチュラルなこと」としつつ、「競合も多いため、米国やほかのマーケットで経験を積み学びを得た後で、日本に参入した」としている。また、「日本には非常に独特なインターネットの文化が発展しており、同時に強力な、確立したジャーナリズムの文化もある。この2つの伝統を生かしたスタッフを日本に持ち、展開できることをうれしく思う」と述べた。