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三菱電機、既存の光ファイバー網で最大1Tbpsを実現する通信技術
(2016/2/15 19:13)
三菱電機株式会社は15日、既存の光ファイバー通信網を利用して、伝送速度1Tbpsを実現する「マルチサブキャリア光送受信技術」を開発したと発表した。
光通信では、「キャリア」と呼ばれる光の波に信号を乗せてデータを送信する。これまで、単一キャリアを利用して1組の送受信機で100Gbpsの伝送速度を実現していたが、光ファイバー内で劣化しにくい光の周波数は限られており、単一キャリアでの伝送速度向上には限界があった。今回、11本という複数のキャリア(サブキャリア)を使用することで、伝送速度を1Tbpsまで引き上げた。
ただし、11本のサブキャリアを同時に受信するには、従来11組の送受信機が必要だった。今回「光コム」と呼ばれる一定の細かい周波数間隔で複数の光の波を同時に生成する装置を利用することで、11本のサブキャリアを一本化。1組の送受信機で1Tbpsを実現した。既存の光ファイバー網が利用でき、光送受信基地局などのインフラ設備を大幅に変更する必要が無いため、導入コストの抑制にも繋がるという。
また、サブキャリアを用いて同時にデータ通信を行う場合、それぞれのサブキャリアを受信する際にタイミングのズレが生じ、データが壊れてしまうことがある。それを防止するために、受信タイミングを一括で補正できるパイロット信号を用いた補正方式を採用した。
すべてのサブキャリアに受信タイミングの目印となるパイロット信号を定期的に挿入。受信側ではパイロット信号を基準としてサブキャリアをすべて正確に並べることで正確なデータの受信が可能となり、データの損傷を防いでいる。なお、従来方式では確率論に基づいて、タイミングのズレを推定して補正していた。
三菱電機では、英アストン大学と共同で、光通信大容量化のプロジェクト「UNLOC」を推進する英ユニバーシティカレッジロンドン(UCL)の持つ「Optical Networks Group」の設備で実証実験を実施。データ伝送速度1Tbpsを達成するとともに、世界最高となる周波数利用効率9.2bit/s/Hzを実現している。