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NTTグループら3者、四足歩行ロボット+フィジカルAIによる工業施設点検の高度化、国内初の実証

 NTTグループ(NTT東日本株式会社、NTTドコモビジネス株式会社、NTTドコモソリューションズ株式会社、株式会社NTTデータグループ)、1FINITY株式会社、三菱ケミカル株式会社の3者は6月1日、フィジカルAI・IOWN APN・60GHz帯無線LANによる、コンビナート設備点検の高度化を国内で初めて実証したと発表した。

 3者はこれまで、コンビナートにおける現場作業員の負担軽減を目的に、ロボットを遠隔操作して、設備点検を代行する機能や要件を含む「Remote Controlled Robotic Inspection」(遠隔操作型ロボット点検)ユースケースのリファレンス実装モデルの開発を進めてきた。

 2024年には、IOWN APNを活用した遠隔操作型ロボットと、AIによる映像解析を組み合わせた工場点検のモデル実証実験を実施している。また、2026年2月には、岡山県の水島臨海工業地帯(水島コンビナート)において、IOWN APNと60GHz帯無線LAN(WiGig)による大容量・低遅延通信環境の検証を実施している。

 今回、水島コンビナートに構築した通信環境を用いて、四足歩行タイプなどの自律型ロボットやデジタルツインなどのフィジカルAI技術を活用した屋外設備点検の高度化に関する検証を実施した。検証の内容は次の5つ。

検証のイメージ図

大容量・低遅延な通信環境の構築

 三菱ケミカル岡山事業所からNTTグループ東京都内ビル(約700km)に、IOWN APN環境を構築するとともに、岡山事業所構内に、複数のWiGigアクセスポイントを配置し、約150×150mのエリアで広域無線通信環境を構築した。

 さらに、端末主導動的サイトダイバーシティ制御技術(高速移動体に対して、無瞬断での大容量伝送を可能にする無線通信技術)を採用して、WiGig装置を搭載したロボットがエリア外周を走行する際、最適なアクセスポイントを瞬時に選択・切り替えることで、ロボットが動き続けられる安定した環境を実現した。

検証で用いた通信環境

ロボットの遠隔操作および自律走行

 東京都内ビルにいるオペレーターが、岡山事業所にある四足歩行ロボットの遠隔操作を行った。ロボットは、人の補助なく150×150mの外周を1周でき、通信が遮断された場合でも、ロボットが安全に停止することも確認できた。

 さらに、四足歩行ロボットが自律走行できるかの確認では、センサーのみで地図を生成しながら、自己位置を見失うことなく外周を走行できた。その際、ロボットが人や物といった障害物を認識して、回避できていた。

走行中の四足歩行ロボット(左)、ロボットが取得した映像(右)

ロボットに搭載したデバイスを用いて取得したデータの送信

 無線通信環境下でロボットが取得した映像データは、IOWN APNを介して送信した。ロボットが走行中であっても、映像遅延時間は目標の500ms以内を達成できた。

ロボットによる振動と音に関する異常検知の検証

 四足歩行ロボットに搭載した非接触のカメラとマイクを用いて、映像データと音響データを同時に取得した。取得したデータをAIで解析し、異常を検知できるか確認したところ、普段とは異なる何らかの異常の発生を捉えることができた。この結果は、配管に取り付けられたセンサーからの数値と目立った差がなかったという。

データ収集中の四足歩行ロボット
映像データからの振動解析の結果
音響解析の結果

自律型ロボットとデジタルツイン環境を用いたひび割れ点検

 自律型の四輪駆動ロボットを150×150mの外周を一周させることで、3D空間マップを作成し、デジタルツイン環境の基礎を作成した。次に、ロボットが取得した高精細なストリーミング映像データをIOWN APN経由で送信し、画像認識AIで解析した後に、デジタルツイン環境へ反映した。

 検証では、コンクリートのひび割れ情報が、デジタルツイン環境に即時可視化され、当該画像を押下することでひび割れ状況の詳細を確認できた。その際、映像データ取得からAI解析、デジタルツイン環境への反映まで一連の流れは500ms以下で実現でき、さらに映像伝送におけるパケット損失についても0.1%以下と、高い安定性があったという。

デジタルツイン環境とひび割れ検知

 今回の検証を通じて、データ取得と並行したロボットの安定的な自律走行の実現と、自律型ロボットおよびデジタルツインなどのフィジカルAI技術の活用による、遠隔地からのリアルタイム設備点検および予兆監視の実現可能性が実証できたとしている。

 今後、現場作業員の負担軽減を本格的に推進するため、マルチモーダルAI処理に対応したコンピューティング基盤の高度化に向けて、さらなる実証を行っていくとしている。