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日本コカ・コーラと無印良品に聞く、“Facebookページ”の活用法


 企業にとってのFacebookページの活用法としては、どんなものがあるのだろうか。すでに活用を始めている国内企業の代表として、日本コカ・コーラと無印良品に話を聞いた。

コカ・コーラ パークのFacebookページ 無印良品のFacebookページ

世界最多のファンを集める米Coca-ColaのFacebookページ

 コカ・コーラといえば、米Coca-ColaのFacebookページが世界最多のファンを獲得していることは前回の記事でもお伝えした通りだ。その数は2564万1200人に上る(4月25日現在)。

Coca-ColaのFacebookページ
http://www.facebook.com/cocacola

 Coca-ColaのFacebookページは、その由来からして面白い。もともとはDustyとMichaelという2人の一般ユーザーが008年9月に開設したものだが、その後、Facebookの方針が変更され、企業から認可された人しかブランドのページを作成できなくなってしまった。

 Facebookページをどうしたらいいのか、2人がCoca-Colaに相談したところ、Coca-Colaは2人に管理を正式に依頼。以来、現在も2人はFacebookページの運営に携わっており、ファンたちが自発的にさまざまなコメントを投稿したり、各国のCMなどのコンテンツが見られる場として非常に賑わっている。

 オンラインとオフラインをつなぐ、一歩進んだ使われ方もされている。さまざまなアトラクションが楽しめるイスラエルの施設「Coca-Cola Village」のFacebook連動キャンペーンだ。ユーザーはFacebookアカウント情報が入ったブレスレットを渡され、気に入ったアトラクション内にあるリアルな「いいね!」ボックスにブレスレットでタッチする。すると、その「いいね!」はFacebookに反映されるという仕掛けだ。このキャンペーンのFacebookページには、5万4000件もの「いいね!」が付いている。

Coca-ColaのFacebookページ

ソーシャルアプリで自販機の疑似体験を

 日本では、日本コカ・コーラ株式会社が2011年1月15日からFacebookページを始めている。Coca-Colaはマーケティングなど各国で独自に取り組んでおり、日本版Facebookページも日本独自の運営となる。

 日本コカ・コーラはもともと、インターネットを活用したユーザーとのコミュニケーションにも積極的で、独自のポータルサイト「コカ・コーラ パーク」を以前より運営している。

 コカ・コーラ パークとは、それまでプロモーションやキャンペーンごとに分かれていたサイトを集約して2007年に開設した会員制サイトだ。会員になると商品が当たるキャンペーンに応募できるほか、ゲームやクイズなどが無料で楽しめる。ゲームやCM閲覧でもらえる「パークG」という仮想通貨を集めると、さらにキャンペーンに応募できる仕組みだ。

コカ・コーラ パークのFacebookページ
http://www.facebook.com/cocacolapark

コカ・コーラ パーク
http://c.cocacola.co.jp/

 Facebookページでは、コカ・コーラ パークの関連情報が分かるようになっているほか、同じく1月17日に提供を開始したアプリ「スゴイ自販機」で遊べる。当初は、コカ・コーラ パークの会員1000万人間近記念として、100万円が当たるキャンペーンをアプリ内で展開していた(その後、2月に会員が1000万人を突破した)。

 スゴイ自販機とは、Facebookとmixiで公開している、自動販売機が疑似体験できる無料オリジナルアプリだ。アプリ上で自動販売機に仮想のコインを入れて飲み物のボタンを押すと、100万円などが当たる可能性がある抽選番号か、仮想の箱庭に飾れるフィギュアがもらえる。通常8時間ごとに1枚のコインが与えられるが、コカ・コーラ パーク会員になると2時間に1枚新たなコインがもらえるようになっている。そのため、コカ・コーラ パーク会員は当選のチャンスも増えるというわけだ。機能はFacebook、mixiとも同じで、それぞれフレンドとマイミクのフィギュアコレクションも見られるようになっている。

Facebook内の「スゴイ自販機」アプリ。コインがもらえ、自動販売機に入れると、100万円が当たる可能性のある抽選番号か、コカ・コーラ パークのオリジナルフィギュアがもらえる

 「自販機はビジネスも大きく非常に重要なチャネルである。その中で当社では自動販売機を単なる飲料を販売する機器ではなく、1つの店として考えており、ユーザーの方には自販機をもっと魅力的なお店と思ってもらう必要がある」(日本コカ・コーラのマーケティング&ニュービジネスインターラクティブ・マーケティングの竹嶋朋子氏)。こうした考えから、自販機の持つ明るい側面に着目し、改めて注目してもらうことに繋がるのではという意図もあり、スゴイ自販機アプリはできあがった。

 アプリにはまず「100万円当たる」という注目されるようなインセンティブを組み込んだことで初期段階における参加者の獲得増加に貢献した。さらにデジタルフィギュアを複数パターンで展開しコレクタビリティを高めたこともあり、繰り返しアプリを利用するユーザー層を取り込むなど結果的、にコカ・コーラ パークの会員数増につながっているという。

国内でもっともソーシャルメディアを活用している企業

 日本コカ・コーラは、アジャイルメディア・ネットワーク株式会社(AMN)により“国内でもっともソーシャルメディアを活用している企業”として選ばれた実績もあり、これまでTwitter、mixi、GREE、モバゲータウン(Mobage)などのソーシャルメディアを使って活発にマーケティング活動をしてきた。

AMNがソーシャルメディア活用企業トップ50を公開
http://agilemedia.jp/pressrelease/amn50.html

 メディアによる違いについて竹嶋氏は、「メディアごとにリーチできる人が異なり、ライフスタイルも住んでいる地域も違う」という。それゆえ、ターゲットに合わせたコミュニケーションやブランドを充てていく必要がある。

 例えばTwitterでは、2009年に「CocaColaPark」というTwitterアカウントを開設している。フォローやツイートで商品やパークGが当たるキャンペーンのほか、「コカ・コーラ パークビンゴ大会」というオンラインビンゴゲーム大会の状況を実況し、約1週間でフォロワーを1200人増やした例もある。Twitterでは、リアルタイム性の高さを生かしていると言える。

 一方SNSでは、ユーザーに人気のソーシャルゲームを使ったキャンペーンを数多く行っている。例えばモバゲータウンでは、モバゲータウンとコカ・コーラ パークの会員になると、自販機型ロボが登場する「ベンディングマシンレッド」のゲームで遊ぶことができ、高得点を取るとオリジナルのアバターアイテムやデコメール用素材が無料でもらえるキャンペーンなどを行った。

 mixiでは育成ゲームアプリ「サンシャイン牧場」で「爽健美茶」を育てるキャンペーンを行った。また、ジョージアポイントプログラムキャンペーンでは、ジョージア製品に付いているポイントを集めると、mixi、GREE、モバゲータウンの人気ゲームでオリジナルアイテムがもらえるなど、メディアの特性を生かしたキャンペーンがとてもうまい印象だ。

Facebookページは継続的なコミュニケーションが狙い

 これまでのキャンペーンは確かにうまくいった。しかし、せっかくユーザーが集まっても、キャンペーンが終わったらそこで終了し、毎回ユーザーを集め直す状況になっていたという。そこで、「継続的にユーザーとコミュニケーションできる場を設けることにした」。

「スゴイ自販機」は、ひと目でコカ・コーラと分かる新しい自動販売機「3D VIS(スリーディー・ヴイアイエス)」とデザインを似せて作り上げた

 今回のスゴイ自販機では、mixiとFacebookを舞台に選んだ。まず、会員を増やしたかったので、会員数の多い国内最大のmixiを選んだ。もう1つをFacebookとしたのは、ここ数カ月で伸びている印象があり、先行投資的に先を見据えて取り組んでいく必要性を感じたからだ。

 Facebookと他のメディアとの違いを聞いたところ、「Facebookは大人のメディア」と竹嶋氏。「担当者としては炎上を心配するが、Facebookは自浄作用があって炎上のリスクが低いように思える」。実名性のためか、あるいは現時点でのユーザーがアーリーアダプター層なので比較的リテラシーが高いということがあるのかもしれない。

 「ウォールに積極的に書き込みがあったり、ダイレクトに反応が見られたりするところがいい」とも。もっとこうした方がいいんじゃないか、このフィギュアが欲しい、フィギュアは並べ方によってこんなに面白くなるよ――など、ユーザーからさまざまな声が集まっているという。今後、ユーザーの声を吸い上げて、ウェブ上の施策に反映していく予定だ。

 なお、3月にスゴイ自販機アプリが停止していたことがある。「管理者アカウントの設定とFacebookサイドの規約の関係とにそごがあったための停止であり、Facebookサイドと調整して再開した」という。Facebookは米国企業であり、「予告のない状況での停止」という日本企業ではあり得ない対応があることは、今後Facebookでビジネスを行う上で注意すべき点だろう。

フレキシブルな使い方のTwitterアカウント

 ちなみに、Facebookページではスゴイ自販機とウォールでのやりとりが中心だが、先に始めたTwitterではさまざまなアプローチをしている。

 発信したい情報をツイートしてユーザーのツイートで反応を見たり、ハッシュタグを付けてキャンペーン的な使い方をするといった具合だ。そのほかにも「コカ・コーラと合うご飯って何ですか」と聞いて、答えた人に抽選でプレゼントしたり、昨年はサッカーW杯などに合わせたTwitter上実況中継を行ったり、ツイートで長編小説を連載したりと、フレキシブルな使い方をしている。

 コカ・コーラ パークのほかにもアクエリアスなど個別ブランドでアカウントを保持している場合もあるが、基本的には1つのコカ・コーラ パークTwitterアカウントを中心に、いろいろな使い方をしてフォロワーを増やそうとしているところだという。Twitterアカウントも、Facebookページと同様、継続的に使っていきたいと考えるからだ。

世界と連動したキャンペーンも

 「コカ・コーラ パークのユーザーにもっとFacebookページに入ってきて、議論やコメントをしてもらいたい」と考え、今後はFacebookページからコカ・コーラ パークに誘導させるような流れを作っていくつもりだ。Facebookページのファンになったら何かがもらえるなど、連動感のあるキャンペーンも検討中だという。裏技的な情報を出したり、フィギュアの並べ方などの投稿コンテストなども考えている。

日本コカ・コーラ株式会社の竹嶋朋子氏(マーケティング&ニュービジネスインターラクティブ・マーケティング)

 Facebookページもプラットフォームとして継続的に使っていくとのことなので、スゴイ自販機以降も、さまざまなキャンペーンでの活用が期待できそうだ。

 また、世界中に現地法人を持つCoca-Colaでは、昨年ネット上で話題になった自動販売機を活用したバイラルムービーも展開している。もともとのクリエイティブはグローバルのものを踏襲しつつ、日本にローカライズしたムービーを制作して2月よりYouTube上で流し始めており、バイラルムービーの世界観と連動した販促活動を展開することも企画していた。

 日本コカ・コーラのFacebookページは、4月25日現在、約5000人のファンを集めている。米国と同様、日本でも企業としてはナンバーワンのFacebookページを目指していく。

国内企業でいち早くFacebookページの活用を開始した無印良品

 無印良品を展開する株式会社良品計画は、2010年10月、国内企業の中でいち早くFacebookページを設置し、活用し始めた企業の1つだ。TwitterやFacebookの活用が成功している日本企業の例として紹介されることも多い。3月25日現在、ファンは3万4100人に上る。

 無印良品では2009年に「くらしの良品研究所」という自社サイトを開設しており、ユーザーの声を聞いてともに製品開発を行っている。そこでは、ユーザーに意見をメールしてもらい、1週間後にまとめたものをサイト上に掲示するというやり方を取っていた。しかし、1週間というのは今の時代にしては時間がかかりすぎだし、手間もかかる。

無印良品のFacebookページ
http://www.facebook.com/muji.jp

くらしの良品研究所
http://www.muji.net/lab/

 そんな中、APIで連携すればFacebook上の「いいね!」やコメントがそのまま自社サイトに取り込め、ソーシャルメディア上で拡散が見込める効果があることに気付いたという。情報共有もでき、即時性もあり、おまけに基本タダだ。早速始めることにして、すぐにFacebookページを作っていった。

 無印良品のFacebookページでは、くらしの良品研究所のコンテンツが見られるほか、ウォールで商品紹介などを行っている。くらしの良品研究所で行っていたようなユーザー参加型の商品開発を目指しており、アンケートでも積極的に商品に対する意見を求めている。

コミュニティ活性化・グローバル化に効果あり

 Facebookページを開設したところ、コミュニティ活性化に効果があった。ユーザーからの意見が増えたのだ。Facebookページのページビューも、くらしの良品研究所の10倍にまで達した。「ただ、コメントは増えたものの、内容的には若干薄くなったのが誤算」と、良品計画の川名常海氏(WEB事業部WEB製作担当兼コミュニティー担当)は語る。メールベースか、コメントかという違いが現れたのだろう。

 また、各国版無印良品のFacebookページをMUJIグローバルにリンクとしてまとめたところだ。おかげで、アジア方面を中心としたグローバルにファンが増えたという。「グローバルでは共通のマーケティングプラットフォームとし、ローカルはそれぞれにマーケティング施策が違うのでそれぞれに機能すれば」と川名氏は考える。

オンラインからオンラインの実験:Facebook限定タイムセール

 無印良品ではFacebookページの開設に合わせて、オンラインからオンラインの実験と、オンラインからオフラインの実験を行っている。

 オンラインからオンラインの実験とは、2010年1月6日に実施したFacebook限定タイムセールだ。1月4日から告知を始め、アウトレットの衣料品や生活雑貨など100アイテムを同社のECサイト「MUJI.net」で販売した。売り上げは大きくなかったものの、その時点での10%にあたる1700人弱ものファンが増えたことは大きな成果だった。告知にはウォールとTwitterを使ったが、「今だけのお得ネタ」は拡散しやすく、瞬く間に広がり、それがファン数の増加につながった。

 ECサイト自体は、リンクしているだけではさほど売り上げにつながるわけではない。そこで、効果的なこのようなキャンペーンが生きてくるというわけだ。

Facebook限定タイムセール。「今だけのお得ネタは拡散しやすい」と川名氏

オンラインからオフラインの実験:有楽町10周年記念キャンペーン

 オンラインからオフラインの実験は、1月7日から17日間にわたって行った無印良品有楽町10周年記念キャンペーンだ。「無印良品といえば、○○○」というテーマでメッセージを募り、投稿するとクーポンが表示され、店頭で10%オフになるという仕掛けだ。Twitterでも告知し、さらに店頭でもデジタルサイネージにTwitterが表示されるようにした。

 最終的には、Facebookで約600件、Twitterで約1600件の合計約2200件の投稿があった。クーポンをダウンロードしたのが2200人で、そのうち40%以上にあたる約900人が実際に来店して使用した。客単価は普段の倍以上で、大きな売り上げ効果となった。

 「どちらにも言えるが、情報の伝わり方がテレビやチラシとは違い、人から人に伝わっていく力を感じる。友人や知人が参加しているということで、参加するモチベーションが高まるのでは」と川名氏は語る。

無印良品有楽町10周年記念キャンペーン

店頭のデジタルサイネージでは、Twitterの投稿が表示された

共感されるネタが重要、リーチした人の先にいる平均130人の友達を意識

 Facebookページは、現在情報のハブ的な機能を果たしている。各国のFacebookページやECサイトなどの情報が一覧できるのだ。TwitterもFacebookも担当者は同じだが、それぞれ違う内容を投稿している。ただ、ネタとしては特別新しいものを出しているわけではないが、定期的に更新し、共感されるネタを出している。

株式会社良品計画の川名常海氏(WEB事業部WEB製作担当兼コミュニティー担当)

 例えばTwitterでウケて売り切れにまでつながったのが、寒い冬でもはめたままiPhoneなどのタッチパネルが操作できる「タッチパネル可能手袋」。寒い冬でも暖かくタッチパネルを操作したいという気持ちが共感を呼んで広がった。共感されるネタであればお客様からその友達に伝播され、自然にファンが広がって行くと考えている。

 無印良品では、リーチする相手だけではなく、リーチした人の先にFacebookの平均友達数130人がいると考えて振る舞っているという。共感されれば「いいね!」とRTで、ファン数・フォロワー数を超えて一気に拡散が見込める。次のステップとしては、自社サイトや店舗に来てもらい無印良品への参加度を上げていくことであるという。

 「課題は、まずファン数を増やすこと」と川名氏。ソーシャルメディアのファン数は、長期的には自社メディアの会員数と同じ200万人まで持って行きたい考えだ。「自社メディアの定義の中には、MUJI.netだけでなくリアル店舗も入る」という考えの下、オンラインとオンラインだけでなく、オンラインとオフラインを組み合わせマーケティング活動にも力を入れていく。「有楽町キャンペーンは単店イベントだったが、今度は全店規模でやりたい。全店導入は今後の課題」とした。


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(高橋 暁子)

2011/4/28 11:00