特別企画

月額490円でここまで使える、高速機能は独自技術で進化。
スピードアップして機能も充実の「ServersMan SIM LTE」

 DTIが提供する「ServersMan SIM LTE」は、いわゆる「格安SIM」と呼ばれるスマートフォンやタブレット向けのデータ通信サービスだ。対応するスマートフォンやタブレット端末などにServersMan SIM LTEのSIMを装着することで、携帯電話キャリアが提供するデータ通信サービスよりも格安で利用できる。

 ServersMan SIM LTEは、格安SIMの中でも特に安い月額490円という料金でありながら、指定したアプリを自動的に高速モードで使えるようにする「SiLK Sense」と呼ばれる独自技術を利用した切り替えアプリが提供されるなど、他の格安SIMにはない機能が用意されている点が特徴だ。さらに、オプションとして提供しているIP電話の「ServersMan 050」では、利用帯域を優先制御するなど、回線とサービスを同じ会社が手がけることで、使い勝手の良いサービスを提供しているという。ServersMan SIM LTEはどの程度使えるのか、実際に使ってみた。

「ServersMan SIM LTE」はオンラインで申し込み可能。SIMと説明書が送られてくる

月額490円で150kbpsの通信が可能。オプションサービスも充実

 現状、格安SIMと呼ばれるデータ通信サービスは、ほぼすべてと言っていいほどNTTドコモのMVNOを利用しており、NTTドコモの端末であれば特別な手続きを行なうことなく利用できる。機種変更した古いスマートフォンで格安SIMを使うといった方法のほか、最近ではNexus 7やNexus 5に代表されるAndroidのSIMフリー端末も販売されるようになり、格安SIMを利用できる環境は急速に整いつつある。

Nexus 7やNexus 5などSIMフリーの端末を安く使える

 SIMフリー端末の普及に伴い、格安SIMサービスも多種多様なサービスが登場しており、料金やサービスの内容もサービスごとに異なるが、1つの目安となるのが「月額1000円以内で低速ながら使い放題」という内容だ。格安SIMサービスの多くが、細かな機能や制限、オプションなどで違いはあるものの、この月額1000円以内のメニューを提供している。

 そうしたメニューの中、料金と通信速度のバランスでコストパフォーマンスが高いのがServersMan SIM LTEだ。月額900円台のサービスが主流の中で、ServersMan SIM LTEは月額490円と半額近い料金を実現。通信速度もサービスリリース当初は100kbpsと低速だったが、11月より通信速度を最大150kbpsに増速。使用感は後述するが、100kbpsと比べて体感速度も大幅に向上、非常に使いやすくなっている。

 150kbpsでは物足りないというユーザー向けには、速度制限を解除し、通常のLTE回線に切り替えられる高速通信のオプションも用意されており、262円で100MB、1312円で500MB、2625円で1GBまで容量を追加できる。速度切り替えは専用アプリの「ServersMan SIM Unlimited」から行えるが、10月から提供された新機能「SiLK Sense」を利用すると、アプリごとに高速通信を利用するかどうかを設定できる。メールやTwitterなど容量が軽いサービスは低速のままにしておき、必要時には高速通信を利用するといった切り替えを行なうことで、高速通信の容量を効率よく使うことが可能だ。

【ServersMan SIM LTEサービス概要】
提供エリアNTTドコモXi、FOMA提供エリア
通信方式LTE、3G接続
通信速度下り最大150kbps/上り最大150kbps
初期費用3150円
月額基本料金490円
速度切り替えサービス速度制限を解除し、通常のLTE回線に切り替えが可能
(262円/100MB、1312円/500MB、2625円/1GB)
SMSオプション 月額料金150円/月
ショートメッセージ送信料(国内向け)3.15円/送信
ショートメッセージ送信料(海外向け)50円/送信(非課税)

 オプションサービスとしては、050番号で発着信できるIP電話サービス「ServersMan 050」を提供している。月額料金は315円だが、現在はβリリース中ということで月額料金は無料で、通話料のみで利用できる。通話料は、国内の固定電話へは3分8.4円、携帯電話へは1分16.8円、アプリ同士では無料。最近のLTE対応スマートフォンは各キャリアとも通話料金が30秒21円と、フィーチャーフォン時代に比べて大幅に高くなっているが、ServersMan SIM LTEを使えば通話料金を大幅に節約できる。

 また、ServersMan 050は、ServersMan SIM LTEとセットで利用した場合には、帯域が優先的に割り当てられる仕組みを持っている。150kbps~200kbpsの通信速度であれば、IP電話はどの会社のサービスでも概ね使えるかもしれないが、ServersMan 050とServersMan SIM LTEをセットで使うことで、より安定した通話が利用できるだろう。

150kbpsは実用に十分な速度。高速通信もアプリから手軽に追加

 それでは、実際にServersMan SIM LTEを使ってみよう。使用時の設定は非常に手軽。ウェブサイトから利用を申し込むと、登録した住所にSIMカードが送られてくる。なお、SIMカードは標準SIMサイズ、microSIMサイズの2種類が用意されているため、自分の端末がどのSIMサイズかを確認してから申し込もう。

 なお、ServersMan SIM LTEで現在用意されているSIMカードサイズは標準SIMとmicroSIMの2種類で、iOS端末でiPhone 5から採用されたnanoSIMには対応していない。国内でiPhone 5s/5cのSIMフリー版が発売されたこともあり、今後はnanoSIMにも対応することに期待したい。

 DTIからSIMカードが送られてきたら、使用したい端末にSIMカードを装着し、アクセスポイントを設定する。アクセスポイントの設定は、SIMに同封されている設定書やDTIのウェブサイトから確認できるが、入力項目は全ユーザー共通となっており、アクセスポイント(APN)に「dream.jp」、ユーザー名に「user@dream.jp」、パスワードに「dti」、認証タイプに「CHAP」を指定すれば設定は完了だ。

SIMカードを端末に挿入する
設定は「モバイルネットワーク」の「アクセスポイント名」または「APN」から(Android 4.0以上の場合)
APNやユーザー名、パスワードなどを設定するだけで使えるようになる

 データ通信SIMのため音声通話機能は利用できないが、メールやアプリ、ブラウザーなどの使用感は携帯電話キャリアのSIMと何ら変わりない。NTTドコモの回線を利用しているため、電波状況もNTTドコモとして表示されるため、普段はMVNOということを意識せず利用できる。

 150kbpsという通信速度はLTEが普及した昨今では遅く聞こえるかもしれないが、重要なのはこれが理論値ではなく実効値であるということだ。インターネットの通信速度は基本的に理論値で示され、実際にその速度が出ることはないが、ServersMan SIM LTEの場合はもともと高速な回線を抑えているため、150~200kbps程度の速度を得ることができる。

 実効150kbpsという速度は実際に使ってみると、データ容量が比較的軽いメールの送受信はもちろん、スマートフォン用のウェブ閲覧やTwitterの閲覧などであれば、今まで使っていた携帯電話キャリアのSIMと変わらない感覚で利用できる。Facebookに関しては画像が多い場合に画像の読み込みが遅れることがあるが、テキストは先に表示されるため内容は確認でき、画像もワンテンポ遅れて表示される。写真もフルHD程度のサイズであれば10秒もかからずアップロードできる。月額490円というコストパフォーマンスを考えれば実用上はさほど問題ないレベルと言えるだろう。

 一方、画像の多いウェブサイトの閲覧や高解像度の画像アップロード、地図アプリの利用など、データ容量の多い通信ではもたつきを感じてしまい、150kbpsでは厳しい場合もある。こういう時に便利なのが、別途用意されている追加オプションだ。Google Playで無料配信されているアプリ「ServersMan SIM Unlimited」を利用することで、高速通信が可能になる追加オプションを初めとしたさまざまな機能が利用できる。

アプリ「ServersMan SIM Unlimited」
「ServersMan SIM Unlimited」メニュー

 アプリをインストールしたら左上のSIMアイコンをタッチするとメニューが表示され、「追加チャージ」から高速追加オプションを購入可能。追加容量は100MBから1GBまで用意されているが、どのチャージも100MBあたりの金額は262円のため、必要に応じて好きな容量を選択しよう。ServersMan SIM LTEの月額料金490円に100MBの料金262円を追加しても752円と非常に安価なため、いざというときに備えて毎月100MB分購入しておくのもいいだろう。

高速通信はアプリから購入可能
容量は100MB単位で購入できる

 チャージが完了するとアプリのメイン画面下部にはチャージ残量が表示され、150kbpsの速度制限がないUnlimitedモードを利用できるようになる。速度通信速度の計測といった機能が利用可能。高速通信時はステータスバーに赤色のアイコンが表示されるため、気が付かない間に高速通信を消費してしまっていた、という事態も防げる。

画面中央をタッチするだけで速度切り替えが可能
150kbpsの低速制限を解除したUnlimited モード

 高速通信の利用履歴は細かく記録されるため、どのタイミングでどれだけの容量を使用したのかが手軽に確認可能。また、オプションとしてデータ通信速度の計測機能も搭載しており、実際にどれだけの速度で通信できているのかをチェックできる。

データ通信の利用履歴
通信速度の計測機能も搭載

アプリごと通信速度を自動で切り替える「SiLK Sense」

 ServersMan SIM LTEのアプリの一番の特徴が、アプリに搭載された「SiLK Sense」機能だ。スマートフォンにインストールされているアプリをあらかじめ登録しておき、指定したアプリを起動すると自動的に高速通信に切り替えてくれる仕組みだ。

自動で高速通信をオンにするアプリを指定できる「SiLK Sense」

 アプリの指定はチャージと同様、メニューの「SiLK Sense」から行える。画面下部の「アプリを追加する」から任意のアプリを登録し、最後に画面上部の「SiLK Senseを有効にする」のスイッチをオンにすれば設定は完了だ。

 SiLK Senseをオンにするとステータスバーにアプリが常駐。通常は灰色で表示されているが、SiLK Senseで指定したアプリを利用するとステータスバーのアイコンが赤色に点灯するため、どのアプリを利用している時に高速通信を利用しているのかがわかりやすい。

 SiLK Senseに登録するアプリとしては地図アプリがおすすめだ。地図アプリは容量が大きいだけでなく、利用シーンを考えた時も、目的地に早く到着したい時に地図がなかなか表示されないのでは困ってしまう。SiLK Senseを使えば地図アプリを起動した時は自動で高速に切り替わり、ストレスのない地図確認が可能だ。スマートフォンアプリの中で地図アプリが最も手放せないと思う筆者にとってもこの機能は非常に魅力的だ。

地図アプリのように通信容量の大きなアプリも、自動で高速モードに切り替わることで快適に利用できる

 同様に、乗り換え案内などのナビアプリも、通信容量はそれほど大きくはないものの、急いでいる時に使うことが多いアプリであるため、SiLK Senseで自動的に高速通信を行うように設定しておくと安心だ。

 また、チャットアプリについてもさほど通信速度を必要としないものの、仕事などレスポンスの早さが問われる場合はこれもSiLK Senseが活躍する。筆者はグループチャットアプリ「チャットワーク」を仕事で使っているが、テキスト投稿や画像アップロードのレスポンスを高めることで、業務をより効率よく行なえる。

 Dropboxのようなオンラインストレージや、リモートデスクトップなど、ユーザーによって速度を必要とするアプリは様々だろうが、こうしたアプリを自動的に高速化できるのがSiLK Senseのいいところだ。通常であれば、アプリを使っていて速度が遅いと思ったら、まず速度切り替えアプリを立ち上げて、高速通信モードに変更して……、といった手間がかかってしまうところが、設定さえしておけば自動的に高速化される。自分の利用パターンをつかんでうまく設定すれば、格安のMNVOであることをほとんど意識せずに、通常のSIMと同様に使うことも可能だろう。

ナビアプリのような「急いでいる時」に使いたいアプリを指定しておくのも便利だ
オンラインストレージアプリなども快適に使える

 大容量の通信が必要なアプリも自動高速化の恩恵が受けられるが、YouTubeやニコニコ動画といった動画アプリでは使用するデータ量が非常に大きく、100MB単位の容量はあっという間に使い切ってしまう。これは他の通信キャリアのサービスにも言えることだが、動画に関してはServersMan SIM LTEではなく、公衆無線LANや自宅のLANを利用するという使い分けがいいだろう。

 テザリングに関してはアプリではなく機能として提供されているため、SiLK Senseでオンオフすることはできない。その場合はServersMan SIM Unlimitedアプリの速度切り替え機能を利用して切り替えよう。

 なお、高速通信モードへの切り替えは、会員用サイトの「MyDTI」からも行える。Android端末からは専用アプリで速度を簡単に切り替えられるが、モバイルルーターなどにSIMを挿して使う場合にも、ウェブから速度を切替えられる。これは、DTIと親会社のフリービットが開発した独自技術「Semantic Switch」により、スマートフォン用のアプリとISP側のシステムがリアルタイムに連携していることで実現できている仕組みだ。

会員用サイト「MyDTI」にアクセスすると、オンラインで高速モードに切り替えることもできる

セルスタンバイ問題を解決するSMS対応SIMオプション

 ServersMan SIM LTEに限らず、MVNOのSIMを利用する際に気を付けておきたいのがSMS対応オプションの選択。SerersMan SIMでSMSを利用するにはあらかじめSMS対応SIMを契約した上で、月額150円が必要だ。また、送信には国内で1通3.15円、海外で1通50円の通信料金がパケットとは別に発生する。

 この、SMS対応オプションは、SMSを送受信できるという本来の目的はもちろん、MVNOのSIMだけに起こりうる「セルスタンバイ問題」を解決するためにも非常に重要な要素になっている。

 セルスタンバイ問題とは、音声通話が利用できないMVNOのSIMを利用した際に、携帯電話キャリアの電波はつながっていて通信もできるのにかかわらず、端末が圏外(セルスタンバイ)と認識してしまい、バッテリーの消費が激しくなってしまう現象のこと。端末によってセルスタンバイ問題が起きるか起きないかは異なるが、発生した場合は設定の「バッテリー」で「セルスタンバイ」の利用率が非常に高くなり、バッテリーの消費も速くなってしまう。

セルスタンバイが発動している場合、「セルスタンバイ」のバッテリー消費が非常に高くなる

 このセルスタンバイ問題を解決するための方法が、SMS対応SIMを利用することだ。詳細は割愛するが、SMSを送受信できる音声回線に接続できることで、このセルスタンバイを解消することができる。また、同様にMVNOのSIMで起きうる、電波状況が正しく表示されない「アンテナピクト問題」も、SMS対応SIMであれば問題なくアンテナを表示できる。

 セルスタンバイ問題やピクトアンテナ問題は機種によって発生が異なるため必須というわけではないものの、多くのスマートフォンで発生している事象でもある。SMSを利用するには対応SIMが必要であり、非対応SIMでSMSを利用したくなった場合はSIM交換が発生するので、あらかじめどのSIMを利用するかは考慮しておこう。なお、SIM交換の費用は年1回まで無料、2回目以降は525円で交換が可能だ。

月額490円ながらサービスは充実。格安SIMの中でも注目のサービス

 SIMフリー端末の普及もあって格安SIMサービスは非常に多くの事業者が参入、競争が激化しているが、その中でServersMan SIM LTEの「月額490円」という料金は他と比べても大きなアドバンテージ。通信速度も150kbpsと実用十分で、高速通信オプションを購入することで好きな時だけLTEの高速通信を利用することもできる。

 高速通信オプションもアプリで速度を切り替えられるため、アプリの自動更新でデータ容量を消費してしまい、大事な場面で使えなかった、という事態も防げる。SiLK Senseを使えばアプリごとに通信速度を切り替えられ、速度切り替えをまったく意識せず運用することが可能だ。低価格ながらも機能が非常に充実したServersMan SIM LTEは、乱立する格安SIMの中で注目すべきサービスと言える。

甲斐 祐樹