「Google Earth」や「Google Maps API」のおかげで、このところインターネット周辺で活気を帯びてきた“地図”ですが、Googleに限らず興味をそそるサービスや製品は多々あるのです。この連載では、電子地図ソフトや地図関連サイトなど、地図に関する情報を、実用からはちょっと離れて、趣味や雑学の視点で取り上げていきます。
■国土地理院、「触地図」の原稿を作成するソフトを公開
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触地図原稿作成システム
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「触地図」というものをご存じだろうか? 視覚に障害があっても地図が読めるように、立体的な記号や点字を用いて表わした地図である。この触地図、ホテルや駅の構内図などで見かけたことがある人もいると思うが、社会的にはまだまだ十分に普及しているとは言えないのが現状だ。そんな中、国土地理院が触地図を作成するためのソフトウェア「触地図原稿作成システム」を試験公開した。
同ソフトは、Windows XP/2000に対応。無料で使用可能で、誰でも自由にダウンロードできる。使い方は、普通の地図ソフトのように日本地図をクリックして拡大し、エリアを指定した後に、エリア内の記号や施設を編集する。点字表示の有無や記号の表示内容などを細かく調整できることに加えて、地図中に施設名やコメントを書き加えられたりと、機能はなかなか充実している。これらの機能を駆使することで、きっと自分の好みの地図に仕上げられるはずだ。
編集が終わったら「触地図自動生成」ボタンを押せば、触地図の原稿が作成される。あとはこれを印刷するだけだ。ただし、このソフトは触地図自体を作ってくれるわけではない。作成できるのは、あくまでも原稿だ。実際に触地図を作成するには、「立体コピーシステム」という出力用の機器を使わなければならない。
実際に立体コピーシステムを使って出力する機会のある人は少ないかもしれないが、地図フリークなら、ユニークな地図ソフトとして一度使ってみる価値はある。ユニバーサルデザインが叫ばれている中、このようなソフトを通じて、地図の多様性や公共性について考えてみるのも一興かもしれない。
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「触地図原稿作成システム」で作成した触地図の原稿
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原稿を立体コピーシステムで出力したもの
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■URL
触地図原稿作成システム
http://zgate.gsi.go.jp/shokuchizu/
国土地理院のニュースリリース
http://www.gsi.go.jp/WNEW/PRESS-RELEASE/2006/0829.htm
■ハンディGPSを持って“宝探し”に出かけよう!~「ジオキャッシング」
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「GEOCACHING(ジオキャッシング)の楽しみ方」トップページ
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“宝探し”と聞くと徳川埋蔵金やスティーブンソンの「宝島」を思い浮かべる方が多いと思うが、実はアナタの身の周りにも宝が隠されていることをご存じだろうか? インターネットとGPSを利用した宝探しゲーム「ジオキャッシング」で使われる宝(キャッシュ)だ。
ルールは簡単。最初に、誰かがキャッシュをどこかに隠して、その緯度・経度や隠し場所のヒントを公式サイト上で公開する。その情報を見た参加者が、公開された情報をもとにハンディGPSを使って探しに行くだけだ。
防水ケースに収められたキャッシュは高価なものではなく、ちょっとした小物やアクセサリー、オモチャ、音楽CDやギフト券など素朴なものばかり。どちらかというと、宝そのものの価値よりも、探し当てるまでのプロセスを楽しむゲームだ。とはいっても、キャッシュには何が入っているかわからない。たとえ高価ではなくても、ケースの蓋を開けるときのドキドキ感は、この手の遊びが好きな人にとってはたまらないはずだ。
見事にキャッシュを発見して中身をゲットした後は、自分で持ってきた別の宝物を入れて、また元の場所に戻すのがルールだ。そうやって次の発見者へとキャッシュがどんどん受け継がれていく。もちろん、自分で新たな置き場所を作ることもできる。置き場所は、公園だったり山の中だったりと多種多様。他人に迷惑のかかる場所や、立ち入り禁止区域などは避けるのがマナーだ。
なお、ゲームに参加する際には、最初に公式サイト上でアカウントを作成する必要がある。宝を発見しても金銀財宝がザックザックというわけではないけれど、たまには童心に帰って宝探しを楽しんでみてはいかが?
■URL
Geocaching - The Official Global GPS Cache Hunt Site(英文)
http://www.geocaching.com/
GEOCACHING(ジオキャッシング)の楽しみ方
http://etrexer.web.infoseek.co.jp/
■世界でたった1つのオリジナル地図を作ろう~「世界と日本の白地図素材」
出来上がったものを眺めるだけが地図ではない。自分自身の手で、地図を作り上げるという楽しみ方もあるはずだ。そんな思いを抱く人にオススメなのが、「世界と日本の白地図素材」というサイト。ここではいろいろな白地図を無料で公開しており、誰でも自由にダウンロードが可能だ。
収録されている地図は、国内地図としては日本全図に加えて関東・中部・北陸・近畿などの広域地図、都道府県別の地図、地下鉄路線図、東京湾や大阪港周辺の港湾地図など。都道府県地図は、市区町村の境界線入りの地図も用意されている。
世界地図は、ミラー図法やエケルト図法、正距方位図法などさまざまな図法による地図を収録。ミラー図法については、日本中心と欧米中心の2種類から選べる。また、アジア広域に加えて東南アジア・東アジア・タイ・ベトナム・カンボジア・中国・朝鮮半島など、多彩なエリアの白地図も揃っている。タイのバンコクやベトナムのホーチミン、中国の北京や香港、インドネシアのバリ島など、都市や離島の地図も掲載されているので、いろいろな使い方ができるだろう。欧州やアフリカ、南北アメリカ、オセアニアについても同様に、細かい地域や国別の地図を収録している。特に北米に関しては五大湖の有無や州別の地図、ハワイ諸島の地図など細かい地図も載っている。
さらに、日本で使用されている地図記号の一部も収録されているので、白地図の上にこれらの記号を重ねることで、本格的な地図を作成することも可能だ。また、日本の人口統計を反映した統計地図も収録されている。
配布フォーマットはEPS(一部AI)、またはGIF(一部JPEG)なので、汎用性も抜群だ。プロのデザイナーから学校の教材まで、幅広く使える素材集として重宝する。もちろん、ビジネスの資料作りにも最適だ。画像処理ソフトなどを用いて、自分だけのオリジナル地図を作成してみよう。
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「世界と日本の白地図素材」トップページ
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白地図素材
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■URL
世界と日本の白地図素材
http://www.freemap.jp/
■「Google Earth 4」の3D建物、極私的“リアル度”ランキング
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「Google Earth 4」ベータ版
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ついに公開された「Google Earth 4」ベータ版。日本語表示が可能になったり、ジョイスティックが使用可能になったり、タイムスライダー機能が加わったりと数々の新機能が追加されたが、やはり最も注目されるのは建物の3D表示だろう。従来は市街地を俯瞰してものっぺりとした平面にしか見えなかったが、本バージョンからはビルや家が立体的に表示されるので、まるで本当に街中を飛んでいるかのようなリアルな感覚が味わえる。
この3D表示は、基本的に高さのデータは1つの建物につき1つのみ。だから、上から見て四角い建物ならば立方体として、丸い建物ならば円柱として表示される。単純なやり方だけに、中には似ても似つかないような形の施設もチラホラ見られるが、一方では実際の形をよく再現している施設も少なくない。
そこで突然だが、現時点で建物の3D表示が「似ていない建物」と「まあまあ似ている建物」の個人的なベスト5を挙げてみた。
・似ていない建物ベスト5
1)東京タワー
2)東京駅
3)大阪城
4)国会議事堂
5)金閣寺
・まあまあ似ている建物ベスト5
1)東京都庁
2)科学技術館
3)毎日新聞社
4)東京国際フォーラム
5)成田空港
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似ていない建物1位の「東京タワー」
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まあまあ似ている建物2位の「科学技術館」
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こうして並べてみると、上に向かって細くなっているタワー型の建物や、城や寺などの複雑な建築は苦手のようだ。逆に似ているのは、真上から見て平面的に特徴のある形をした建物だ。「毎日新聞社」などは、その最たるものだろう。また、「東京都庁」や「科学技術館」のように、高さのデータが1つだけでなく、なぜか詳しく描かれている建物もある。
このベスト5は、あくまでも筆者の独断と偏見にもとづく“リアル度”ランキングだが、読者の方もぜひ「これは似ている!」「これはあんまりだ」と思う建物を自分で探してみてほしい。日頃は見慣れている建物のフォルムを、改めて見直すきっかけになるだろう。
■URL
Google Earth
http://earth.google.co.jp/
■関連記事
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(2006/10/19)
碓氷 貫(うすい とおる)
地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。
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