宇宙航空研究開発機構(JAXA)は16日、東京・品川プリンスホテルで宇宙の利用を考えるシンポジウム「見上げる宇宙から使う宇宙へ2004」を開催した。会場では高速インターネットを実現する通信衛星の模型や、技術試験用のポータブル端末が展示されていた。
展示されていた通信衛星の模型は、高速インターネット衛星「Wideband InterNetworking engineering test and Demonstration Satellite(WINDS)」と、技術試験衛星VIII型「Engineering Test Satellite - VIII(ETS-VIII)」との2台。WINDSは、Ka帯を利用して地上と衛星との間で通信が可能な試験衛星。衛星から地上へは最大155Mbps、地上から衛星までは1.5Mbpsの伝送速度を実現できる。また、直径5mクラスの地上局を設置することで、最大1.2Gbpsのデータ通信も可能だとしている。アクティブフェーズドアレイアンテナを装備し、日本だけでなく東南アジアも通信範囲。8入力8出力のマルチポートアンプを搭載し、送信ビームの出力を天候に合わせて調整できるという。
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WINDS
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地上へは最大155Mbpsで伝送できる
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ETS-VIII。巨大なアンテナが特徴的
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ETS-VIIIは、全長40m、全幅40mで静止軌道上の質量が3トンクラスになる大型衛星で、正六角形のアンテナ14台を昆虫の複眼状に集合させたテニスコート大(19×17m)の巨大アンテナを2基搭載している。同じく展示されていた技術試験用ポータブル端末と通信試験を行なうため目的で開発された。2.6~2.5GHz帯のいわゆるSバンドと呼ばれる周波数帯を利用して、端末と衛星間で最大1.5Mbpsの伝送速度を達成できるという。また、原子時計と時刻比較装置を搭載しており、GPSと組み合わせて衛星測位システムの基盤技術を習得するという。
なお、ポータブル端末の大きさは28.5×37.4×12.5cm(幅×奥行き×高さ)。重さは約8.5kg。AC100Vで駆動する。変調方式はπ/4シフトQPSK。会場スタッフによると、「ロケットが無事打ち上がるかどうかにもよるが、ETS-VIIIが2006年、WINDSが2007年にそれぞれ打ち上げられる予定だ」という。
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ポータブル端末にノートPCを搭載したところ
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背面には送受信用のアンテナが埋め込まれている
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関連情報
■URL
見上げる宇宙から使う宇宙へ2004
http://www.jaxa.jp/spacebiz/enterprise/
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( 鷹木 創 )
2004/12/16 16:21
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