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国内検索事業者が語る“サーチエンジン 2.0”とは


 インターネットの最新動向をテーマにしたイベント「CNET Japan Innovation Conference 2005 Summer」が20日、都内で開催された。「ユーザーが求めるサービスを探る――サーチの未来」と題されたパネルディスカッションでは、業界のキーパーソンらが検索エンジンの未来像を議論した。

 出席者はヤフーの井上俊一氏(リスティング事業部検索企画室長)、NTTレゾナントの国枝学氏(ポータル事業本部メディア事業部検索担当部長)、アスクジーブスジャパン取締役・COOの樋口将嘉氏の3人。モデレーターは、自身も検索エンジンの開発に携わった経験があるというデータセクション代表取締役CEOの橋本大也氏が務めた。


ヤフーの井上氏 NTTレゾナントの国枝氏

アスクジーブスの樋口氏 モデレータを務めたデータセクションの橋本氏

Web 2.0なのだから検索サービスも「2.0」に

ヤフーのサーチクエリ分析。多様なクエリが検索されていることがわかる
 次世代インターネットを表わす言葉として「Web 2.0」があるが、モデレーターの橋本氏は「インターネットがWeb 2.0になるなら、検索サービスも“2.0”になるのではないか」と、検索サービスのあり方を出席者に問いかけた。

 これに対して、月間ユニークユーザーが90万に達したというAsk.jpでは、「検索サービスは意志決定の全てに関わるプロセス。単に言葉の意味などを調べるだけでなく、行為や結論を導くソリューションプラットフォームだ」(樋口氏)と位置付ける。一方、gooを担当する国枝氏は「Web検索やイメージ検索はGoogleだが、フロントエンドの部分にはNTTの各研究所が開発した技術を活用している。gooは、日本人の行動支援メディアだ」と日本国内の技術であることを強調した。

 「Yahoo! Japanは“ライフエンジン”だ」と定義するのは井上氏。「サーチのクエリを見ると多種多様で、いわゆるロングテイル(Long Tail)な状況だ。Yahoo!の検索ビジョンというのは、単に情報を探すというだけではなく、個々人の多様な知恵や知識を共有する方向になる」。


究極のインターフェイス「自然文検索」は“神”

gooの中古車検索に応用しているという3D表示
 検索結果の表示方法など具体的な議論もあった。樋口氏は「Ask.jpでは、検索エンジンTeomaによる検索のほか、キーワードに対してロングテイルの頭の部分、つまり、実際に検索された回数が多かった回答を表示する『一発検索』を用意している。また、キーワードの上位概念や下位概念など関連するキーワードを表示して、絞り込み検索をしやすくするなどの工夫もしている」という。

 国枝氏は「検索が高機能になると、表示要素が多くなる。どのようにして見やすくするかを実験中だ」とコメント。gooの中古車検索に応用しているという3D表示や、「究極のインターフェイス」だという自然文検索(5月9日実験終了)などを紹介した。「自然文検索は、現在のところ精度はあまり高くない。しかし、実験中は『日本シリーズの優勝チームは?』などと検索され、某掲示板などでは“神”と呼ばれた時もあった。3D表示は高スペックなPCが必要だが、動作環境を満たすユーザーからはおおむね好評だ」。

 井上氏は「検索エンジンの初期から、キーワードを入れて検索結果が表示されるナビゲーションは変わっていない」と指摘する。検索結果から「これだ」と思うリンクをクリックし、疑問が解決しなければ再度検索結果に戻るということを試行錯誤するスタイルだ。

 この点について井上氏は「現状では、頭の中で最適な検索結果を組み立てないと見たいサイトにたどり着けない。また、実際に“ドンピシャ”なページがあるかどうかもわからない。リンク先に飛ぶ前に、ある程度情報を見せるナビゲーションが必要なのではないか。リンクに縛らず、検索結果にアプリケーションを表示させたっていい」とコメント。次世代ナビゲーションには「キーワードを入力したら、そのサイトが生成されてしまうくらいの斬新さがあってもいいのではないか」との見解を示した。


パーソナライズドサーチやシェアドサーチで知りたい答えを探す

Yahoo!の目指す検索サービス
 パーソナライズドサーチについては、樋口氏が「同じことを同じ人が考えていたとしても、時と場合に応じて求められる結果が異なることもある」と指摘。「一番重要なことは、ユーザーが求めている情報の質だ。ブログが流行してCGM(Consumer generated media)が増加しているが、政府や企業など公的なメディアと混ぜて出力してしまっていいものか」と懸念を示した一方で「mixiや『教えてgoo』のようなCGMからアイデアが浮かぶこともある」(橋本氏)との意見もあった。

 「gooでは、ブログ検索やニュース検索といった専門検索を使い分けていただくという負担をユーザーに強いていた」と国枝氏。「本来は、入力されたキーワードから状況を判断し、1つの検索フィールドで全部検索できればいい」という。また、モバイル検索についても言及し、詳細は明らかにされなかったが「データベースや機能をバージョンアップする予定だ」と述べた。

 井上氏は「携帯電話や情報家電はインフラ。その先で、ユーザーのニーズに応じて検索結果を返すのは、パーソナルサーチでありシェアドサーチ。人間は、どこまでいっても自分の知りたい答えを求めるものなのだ」という。ここでいうシェアドサーチとは「教えてgoo」や「Yahoo!知恵袋」などのような知識共有型サービスのこと。「Web検索は全般的なことをカバーする。その上に特定的な分野をカバーするバーティカルサーチ、さらに個人の情報や興味などをカバーするパーソナルサーチが存在する。インターネットの本質はコミュニケーション。最終的にコミュニケーションに繋がるサーチのひとつがシェアドサーチだ」。

 最後に井上氏は、Yahoo! JAPANのさまざまな検索サービスを1つに集約し、機能拡充を図った新サービス「Yahoo! SEARCH」ベータ版を公開したことを会場に告げ、「新しい検索エンジンを体験してほしい」と呼び掛けた。


関連情報

URL
  CNET Japan Innovation Conference 2005 Summer
  http://japan.cnet.com/info/cjic2005/
  関連記事:次世代のWebの在り方「Web 2.0」[Broadband Watch]
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/alphageek/9965.html

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NTTとNTT-X、gooで日本語自然文検索「Web Answers」の共同実験(2004/02/05)
Yahoo! JAPANの検索を集約した検索特化の新サービス「Yahoo! SEARCH」(2005/06/20)


( 鷹木 創 )
2005/06/20 19:24

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