東京ビッグサイトで開催中の「WPC TOKYO 2006」で18日、米Microsoftのマーケティング担当副社長のMichael Sievert氏と、ビジネス部門担当副社長のChris Capossela氏が講演した。まもなく出荷が予定されている次期OS「Windows Vista」とオフィスソフト「2007 Office system」の新機能が紹介され、両者の組み合わせが新たな「デジタルワークスタイル」をもたらすというビジョンが語られた。
● Windows Vistaでは検索機能を向上
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米Microsoftのマーケティング担当副社長、Michael Sievert氏
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Sievert氏は、Windows Vistaはデジタル環境やネットワーク環境がより豊かになった現在の新しい仕事環境への対応を進めたOSであるとして、「情報検索と整理の効率化」「セキュリティの強化とコスト削減」「モバイルとコラボレーションの向上」といったメリットを企業ユーザーにもたらすと強調する。
具体的にWindows Vistaに搭載された新機能としては、まず検索機能の向上が挙げられるとして、Office文書を検索するデモを披露。エクスプローラの右上に設けられた検索ボックスにキーワードを入力することで瞬時に文書が絞り込まれ、プレビュー機能によりアプリケーションを立ち上げることなく文書の内容も確認できるため、容易に目的の文書を探し出せるとアピールした。
こうした検索機能やWindows Vistaの新しいユーザーインターフェイスなどを利用するにはマシンパワーが必要となるが、メモリについてはUSBメモリなどの外部メモリをシステムの高速化に利用できる「Ready Boost」機能を搭載しており、ノートPCなど拡張に限界のあるPCでも快適にWindows Vistaを利用できると説明する。
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Windows Vistaの新しい仕事環境への対応
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プレビュー機能により、検索した文書はアプリケーションを起動しなくても確認できる
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● 2007 Officeもユーザーインターフェイスを一新
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米Microsoftのビジネス部門担当副社長、Chris Capossela氏
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2007 Officeについては、Capossela氏が機能を説明した。Capossela氏は「2007 Office systemはその名の通り、単なるオフィスアプリケーションのスイートではなく“システム”として再定義したもので、アプリケーションだけでなく、サーバーやオンラインサービスとも統合を図っている」と説明。SharePoint Serverとの連携により、企業内でのオフィス文書の共有化や作業のコラボレーション環境も容易に構築できるとした。
2007 Officeの特徴については、ユーザーインターフェイスを一新し、ユーザーがよく利用する機能や一連の操作などをスムーズに行なえるようにメニューを改善したと説明。ユーザーが適用しようとする操作を即座に実際の画面に表示する「ライブプレビュー機能」や、数値から集計やグラフなどを即座に作成するデモを紹介し、ユーザーがOfficeを使って本当に作りたい文書がより簡単に作成できるとした。
また、こうした改善の恩恵は企業ユーザーだけではなく、ホームユーザーにも新たな「デジタルライフスタイル」をもたらすとして、Windows Vista Home Premiumに搭載されるメディアセンター機能を紹介。Windows XPではMedia Center Editionに搭載されていた写真やビデオ、テレビ、映画などをリモコンから利用できる機能などが、さらに強化されていると説明。デジタル写真やデジタル音楽を楽しむという行為が一般化する中で、誰でも簡単にこうしたことが行なえるように機能やユーザーインターフェイスの改善に取り組んだと説明した。
講演の最後には、Windows Vistaのロゴプログラムを紹介。現在販売中のPCには、Windows Vistaへのアップグレードが可能であることを示す「Windows Vista Capable」ロゴと、Windows Vistaの新しいUIなどのより豊富な機能が利用できることを示す「Windows Vista Premium Ready」ロゴが用意されている。これがWindows Vistaの発売後には、Vistaの一部機能が限定されることを示す「Windows Vista BASIC」ロゴと、通常の「Windows Vista」ロゴの2種類になるとして、Sievert氏は「ユーザーには新しい経験をしてもらうために、ぜひ後者のロゴが貼られた製品を購入していただきたい」とコメントした。
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文書に表を挿入しようとすると、「ライブプレビュー機能」により瞬時に操作後のイメージが表示される
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Windows Vistaのロゴプログラム。発売後は「Windows Vista BASIC」と「Windows Vista」の2種類になる
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● 会場では200台以上のVista&2007 Officeマシンを展示
WPC TOKYO 2006の展示会場では、マイクロソフトのブースにWindows Vistaと2007 Officeの製品候補版をインストールしたマシンが約200台展示され、実際にこれらの新機能に触れることができる。
講演後に行なわれた記者会見では、マイクロソフトのDarren Huston社長が「5年前と比べてもハードウェアの性能は10倍以上になった。Windows Vistaと2007 Officeはこうしたハードウェアのパワーを100%活用し生産性を向上する、21世紀を体感できるようなシステム」と説明。「会場には100人以上のマイクロソフト社員がおり、200台以上のマシンを展示しているので、ぜひ来場して新しいシステムに触れてほしい」と語った。
Windows Vistaは企業顧客向けには11月、一般向けには2007年1月にリリースすると発表されている。WPC TOKYO 2006の会場でも、PCメーカーのブースに展示されている新製品の多くに、Windows Vistaへのアップグレードが可能なことを示す「Windows Vista Capable PC」シールが貼られている。また、Windows Vistaの価格は英語版については既に発表されているが、日本語版の価格については「現時点ではまだ公表できない」とコメントするにとどまった。
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左からCapossela氏、マイクロソフトのDarren Huston社長、Sievert氏
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会場にはWindows Vistaと2007 Officeを搭載した200台以上のマシンが展示されている
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関連情報
■URL
WPC TOKYO 2006
http://expo.nikkeibp.co.jp/wpc/
Microsoft Windows Vista ホーム
http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/
2007 Microsoft Office system プレビューサイト
http://www.microsoft.com/japan/office/preview/default.mspx
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( 三柳英樹 )
2006/10/18 20:31
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