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「市民ジャーナリズムには、情報の真偽を見極める目が必要」と語るダン・ギルモア氏
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財団法人日本SOHO協会は1日、「Web2.0時代におけるSOHOの可能性とチャレンジ」をテーマとするシンポジウムを開催した。ジャーナリストでIT関連の人気ブロガーとして知られるダン・ギルモア氏が講演し、個人の情報発信とその影響力を語った。
ギルモア氏は、シリコンバレーの地元紙「サンノゼマーキュリー」のコラムニストとして1994年から2004年まで勤務。2005年には市民ジャーナリズムの普及を目的としたグラスツール・メディア社を設立し、草の根ジャーナリズムを実践している。
ギルモア氏は、ブログやPodcasting、動画投稿などの技術が浸透した結果、「メディアが民主化されてきている」と主張。メディアが情報を一方的に伝えるという旧来のジャーナリズムから、消費者が情報発信する双方向型のジャーナリズムが生まれているためだ。
双方向型のジャーナリズムでは、「誰もがジャーナリストになりうることが特徴」(ギルモア氏)という。例えば、ロンドンで発生した爆発事件では、通行人が携帯電話のカメラで現場を撮影。その通行人は、メディアが爆発事件に関する画像を公開する前に、写真共有サイト「Flickr」で写真を掲載し、多くの注目を集めた。
一方、個人が手軽に情報発信できるようになったことで、読者は情報の真偽を見極めることが求められるという。ギルモア氏は、「Photoshopなどの画像編集ソフトを使えば、写真の合成は簡単。情報を取捨選択するメディアリテラシーが必要」と語り、すべての情報を鵜呑みにしてはいけないと警告した。プロ・アマを問わずジャーナリストに求められるものとしては、「正確性」「独立性」「透明性」「公平性」などを挙げる。市民ジャーナリズムのビジネスモデルについては、専門分野に特化した情報を発信することで、広告収入を得られるとの考えを示した。
なお、「オーマイニュース」を始めとする国内の市民ジャーナリズムが成功する可能性については、「まだまだ始まったばかりで、今後が期待される」と話した。
このほかシンポジウムでは、日本SOHO協会が7月に設立した「日本市民記者協議会」を紹介。市民記者のモラルや専門性を育成することで、市民記者の地位向上を図ることなどがアピールされた。
また、総務省情報通信政策局の藤本昌彦氏が、政府のSOHO支援政策を説明。2010年までに、ITを活用してオフィス以外の場所で働く「テレワーカー」を就業人口の2割にするという政府の目標や、「テレワーク人口の倍増」が盛り込まれた安倍首相の所信表明演説を紹介し、民間企業のテレワーク導入を促進するためのガイドラインを作成していることなどを訴えた。
関連情報
■URL
日本SOHO協会
http://www.j-soho.or.jp/
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( 増田 覚 )
2006/11/01 20:04
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