|
NTTレゾナント技術マーケティング部の内山匡部長
|
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントは8日、ブログ検索の技術をテーマとした技術者向けのセミナー「gooオープンカンファレンス」第5回を開催した。ブログ検索エンジンのAPIを提供する「BLOGRANGER 2.0」など、同社のブログ検索に対する取り組みが紹介された。
まず、NTTレゾナント技術マーケティング部の内山匡部長は、「検索インデックスの量と検索速度の向上を図る第1世代を経て、検索時のイメージに沿った検索結果を提供するWeb検索の精度を競う第2世代に到達した」と検索技術の推移を説明。現在の第3世代は、「ユーザーの目的に応じて最適な検索結果を返す時代」で、特徴のある検索サービスが求められていると語った。
gooが手がける検索技術としては、日常生活に役立つ検索サービス、言い換えると「行動支援メディア」を目指すという。この行動支援メディアでは、Attention(注意)、Interest(興味・関心)、Search(検索)、Comparison(比較)、Examination(検討)、Action(購買)、Share(情報共有)の頭文字をとった消費購買行動「AISCEAS(アイシーズ)」をサポートする。
特にgooでは、検索・比較に寄与する検索サービスや、検討・情報共有に影響を与えるブログなどの消費者が生成するメディア「CGM(Consumer Generated Media)」関連のサービスを提供している。具体的には、質問文をそのまま入力して検索できる「日本語自然文検索」やブログ検索のほか、場所・地域の情報を提供する「goo 地図」や「goo 地域」、Webページに書かれた評判を検索する「評判検索」などを手がける。さらに、ブログ検索とgoo 地図を組み合わせて地域に関する口コミ情報を検索できる「ローカルトピック検索」を紹介した内山氏は、「各サービスが関連し合うのがWeb 2.0時代の特徴。その中核となる技術がブログ検索である」と話した。
10月には次世代の検索技術を体感できる実験サイト「gooラボ」で、ブログ検索エンジンのAPIを提供する「BLOGRANGER 2.0」を公開。内山氏は、「これまでのブログ検索はCGM検索がメインで、消費購買行動における検索、検討・情報共有に寄与していた。一方BLOGRANGER 2.0では、ブログの検索結果を自分のサイトに貼りつけられるため、ユーザーの注意や興味・関心も喚起できる」とアピールした。
|
|
gooが目指すWebサービスの世界
|
BLOGRANGERへの期待
|
● トピック情報の検索ではウェブ検索よりもBLOGRANGERが優位
|
BLOGRANGERの開発に従事するNTTサイバーソリューション研究所の藤村考主任研究員
|
|
BLOGRANGER 2.0のフィルタ別アクセス割合。「トピック」を利用する人が圧倒的に多かった
|
NTTとNTTレゾナントでは、「BLOGRANGER 2.0」の前身にあたるブログ検索サービス「BLOGRANGER」を2005年12月に開発し、gooラボで2006年3月末まで公開していた。BLOGRANGERは、キーワードによるブログ検索機能に加え、「トピック」「ブロガー」「リンク先」「感想」という4種類のフィルターで検索結果を分類・細分化できるのが特徴だ。
BLOGRANGER 2.0では、ユーザーが持つコンテンツとBLOGRANGERのブログ検索機能を組み合わせて、新たなサービスを作成するためのJavaScript APIを公開。さらに、JavaScriptなどのプログラミングの知識がないユーザーのために、WebページのHTMLソースに貼り付けるだけで、BLOGRANGERのブログ検索機能を利用できるWebパーツも提供する。
BLOGRANGERの開発に従事するNTTサイバーソリューション研究所の藤村考主任研究員は、BLOGRANGERの有用性を評価するために実施したアンケートの結果を発表。BLOGRANGERの成果を振り返るとともに、BLOGRANGERの将来像などを語った。
アンケートでは、当時人気を集めていた検索語の上位40語から1つ選んでもらい、gooの「ウェブ検索」「ブログ検索」「BLOGRANGER」の検索結果に対する満足度を比較した。有効回答者数は2,191人。
それによれば、ブログ検索ではウェブ検索でインデックス化される前のブログを検索する例も見られたが、全体的にはブログ検索はウェブ検索に対して優位性はなかったという。一方BLOGRANGERは、公式サイトや詳細情報を検索する場合ではウェブ検索に劣ったが、話題や評判、ブロガーの検索については、BLOGRANGERがウェブ検索よりも満足度が高い。
BLOGRANGERで検索結果を分類する4つのフィルターのアクセス数の割合では、「トピック」が67%で最も高く、「ブロガー」が19%で続いた。9%の「感想」と5%の「リンク先」について藤村氏は、「BLOGRANGERの検索対象は、過去1カ月の情報のみ。それよりも過去に投稿された情報を検索できなかったため、利用が少なかったのでは」と分析。その結果、「BLOGRANGER 1.0は、旬な話題をユーザーに気付かせるパーソナルな情報収集ツールに進化させるべき」との結論に至ったという。
藤村氏は、情報収集ツールの代表例としてRSSリーダーを挙げるが、「RSSリーダーでは購読先を指定するのが面倒。指定したブログサイトが移り変わることがあるほか、片っ端からRSSを購読すると重要な話題が埋もれてしまう」など不便な点を指摘。検索結果をRSS配信することについては、「どの話題が盛り上がっているかわからなかったり、検索語の指定も難しい」と語り、「BLOGRANGERのマイニング機能で、必要な情報を抽出すべき」との考えを示した。
最近では、「ブログパーツやガジェットなど、ユーザーに情報を気付かせるミニアプリケーションの潮流があり、これらがポータルサイトを構成するという考えが主流になりつつある」ことから、「BLOGRANGER 2.0ではブログ検索技術をパーツ化することにたどり着いた」と説明。将来的には、「情報収集エージェント」「マイニング技術という遺伝子を持つ」「カスタマイズ可能」といったBLOGRANGERの定義をもとに、BLOGRANGERをさらに進化させたいと訴えた。
|
|
全体的にはブログ検索はウェブ検索に対して優位性はなかった
|
話題や評判、ブロガーの検索については、BLOGRANGERがウェブ検索よりも満足度が高い
|
関連情報
■URL
gooオープンカンファレンス
http://help.goo.ne.jp/supporters/article/862/4/
■関連記事
・ 「gooブログ検索」「ブログレンジャー」開発者が語るブログ検索技術(2006/04/26)
( 増田 覚 )
2006/11/09 15:46
- ページの先頭へ-
|