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NHK総合企画室の和田郁夫担当局長
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インターネットイニシアティブ(IIJ)は15日から17日まで、ネットワーク技術の最新動向などを解説するイベント「IIJ Technical WEEK 2006」を開催している。15日には、日本放送協会(NHK)総合企画室の和田郁夫担当局長が、2008年中に開始予定のオンデマンド映像配信事業「NHKアーカイブズオンデマンド」の概要を説明した。
イベントの冒頭でIIJの鈴木幸一代表取締役社長は、「日本が世界に誇れるのは安価なブロードバンド環境。とはいえ、ハイビジョンクラスの映像コンテンツをインターネット上で配信するためには、新たなスキームが必要。今日は、その現実的な回答として、NHKに参加してもらった」とコメントした。
NHKアーカイブズオンデマンドは、NHKが過去に放送した番組をサーバー上に収録し、ユーザーが見たい番組を直感的に選べるほか、ユーザーレビュー機能などを備えるのが特徴。日付を設定して過去の番組を閲覧できる「見逃し番組リクエスト」や、NHKのアナウンサーが番組を推薦する「NHKセレクション」などのコンテンツを用意する予定だ。
ユーザーはまずプロフィール画面で好きな番組やジャンル、出演者、注目するキーワードなどを登録。登録後に与えられるマイページでは、登録情報と番組のメタデータが照合され、ユーザーの嗜好にあった番組が推薦されるという。例えば、ドキュメンタリーに興味があるとした場合、マイページに「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」などの番組のサムネイル画像が表示。同番組のサムネイル画像をクリックすると、主題歌を歌う平原綾香が出演する番組などの情報も表示される。
番組のサムネイル画像をマウスオーバーすると、出演者の情報や関連番組、番組に対する評価や感想が表示されるようになっている。例えば、Aさんの評価を見ると、Aさんが推薦する番組情報を取得することも可能だ。
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NHKアーカイブズオンデマンドのプロフィール画面
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プロフィール登録後に与えられるマイページ
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日付を設定して過去の番組を閲覧できる「見逃し番組リクエスト」
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NHKのアナウンサーが番組を推薦する「NHKセレクション」
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番組に対するユーザーレビュー機能も備える。正式サービス時には、顔写真の代わりにアバターなどを用いるという
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番組を視聴する手続きの手順
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● オンデマンド映像配信が成功する鍵は「出演者の権利処理」
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NHKをめぐる制度的な枠組み
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NHKアーカイブズオンデマンドを手がける意義について和田氏は、NHKの映像資産に対する需要が多いことを挙げる。「視聴者の情報ニーズはニッチ化しているが、NHKでは森羅万象あらゆる番組が揃っている。これらの番組をロングテールに並べるだけでも需要は大きい。テレビの接触時間が減るなかで、インターネットを活用したビジネスに踏み出さざるを得ないという感触も得ている」。
また、視聴者との関係性を築くためのサービスという意味合いも大きいという。放送は視聴者に対して一方通行のプッシュサービスといわれるが、インターネットを用いることで視聴者の需要を把握しやすくなる。和田氏は、「インターネットの世界では、自分が情報を集めるだけでなく発信するWeb 2.0の世界が広がっている。それを我々の事業にも取り入れ、新たなユーザー回路を構築したい」と強調。NHKアーカイブズオンデマンドが、21世紀のNHKのあるべき姿の先行モデルになるとした。
なお、現行の放送法ではNHKが映像資産をインターネット上で配信することは禁止されている。しかし、2006年6月20日には政府与党が「番組アーカイブを有料公開するために必要な対応を行なう」と合意。これを受けて9月1日には総務省が「通信・放送分野の改革に関する工程プログラム」を公表し、NHKの映像資産を配信するために、「所用の法案を次期通常国会に提出する」と言及した。和田氏によれば、2007年5~6月に法案が成立した後、政令などの整備を経て、2008年中にはNHKアーカイブズオンデマンドを開始できる見込みという。
ただし、NHKアーカイブズオンデマンドが成功するためには、「出演者の権利処理」という問題が残っている。放送番組の出演者は、NHKに対して番組がネット配信されることを許諾していないことが多い。そのため、出演者からネット配信するための許諾が得られなければ、その出演者が登場する番組はNHKアーカイブズオンデマンドで使用できないことになる。この問題について和田氏は、「NHKだけでなく、出演者にも利益となるルールを根気強く確立して、視聴者の期待に応えたい」と語った。
関連情報
■URL
IIJ Technical WEEK 2006
http://www.iij.ad.jp/techweek/
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