ブロードバンド推進協議会(BBA)が29日に開催したシンポジウムで、「日米オンライン詐欺の現状と対策は?」と題するパネルディスカッションが行なわれた。米国政府にインターネットのセキュリティ問題を提言する非営利団体「CDT(Center for Democracy and Technology)」のアリ・シュワルツ副局長を迎え、米国のスパイウェア対策や日本の警察庁の取り組みなどが語られた。
パネリストとしては、米国スパイウェア法案制定を働きかけたアリ氏のほか、警察庁生活安全局の安部真課長補佐、ワンクリック詐欺対策サイト「abcdefのワンクリウェア試験記録」管理人の高橋勇人氏が参加。BBAセキュリティ専門部会部会長を務めるウェブルートソフトウェアの野々下幸治氏がモデレーターとなり、オンライン詐欺対策に関する質問をパネリストに投げかけた。
● オンライン詐欺は既存の法律でも対応できる
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米国スパイウェア法案制定を働きかけた非営利団体「CDT(Center for Democracy and Technology)」のアリ・シュワルツ副局長
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警察庁生活安全局の安部真課長補佐
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――日本国内でオンライン詐欺を取り締まる法制度が誕生する動きは出ているのか?
安部氏:ウイルス作成を取り締まる法案は検討されているが、現段階でオンライン詐欺を取り締まる法案は具体的に検討されていない。
アリ氏:オンライン詐欺を取り締まる法律を新たに作るのは、インターネットの利用を制限することも懸念される。オフライン(既存)の法律で、オンライン犯罪を取り締まることは可能だと考えている。米国でスパイウェア法案が制定された際は、CDTが司法省や連邦取引委員会に提言した。重要なのは、まず法案のアウトラインを作ること。消費者からの意見を求めることも大切だ。
――オンライン詐欺を取り締まるにはどうすればよいか?
高橋氏:ワンクリック詐欺サイトは、1年以上も閉鎖されずに存続しているケースが多い。すぐに閉鎖される詐欺サイトでも、(違法サイトとして処罰できないことから)1カ月くらいは生き残っている。
安部氏:フィッシングで取得したオークションサイトのIDとパスワードを用いて、商品を架空出品して落札者から代金をだまし取ったケースでは、詐欺と不正アクセスの罪で検挙した。基本的には、警察ができるのは捜査して逮捕すること。少額犯罪でも、組織犯罪であれば、不法な収益を没収できる可能性もある。
アリ氏:政府がオンライン詐欺犯罪を調査すべき。情報を要求するために特別な召喚状を出せるからだ。罪と刑罰のバランスを見つけることも重要。米国は7つの州でスパイウェア法案が適用されている。カリフォルニア州にはスパイウェア法案があるが、罰則がより厳しい既存法で犯罪者を罰している。しかし、テキサスでは、スパイウェア法案の方が厳しい罰則を設けているので、そちらを適用している。
● オンライン詐欺で泣き寝入りしないように
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ワンクリック詐欺対策サイト「abcdefのワンクリウェア試験記録」管理人の高橋勇人氏
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モデレーターは、BBAセキュリティ専門部会部会長を務めるウェブルートソフトウェアの野々下幸治氏
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――利用規約に同意させるような契約画面を表示しているワンクリック詐欺サイトは、合法といえるのか?
安部氏:きちんとした契約手順を踏んでいるかが判断のポイント。契約に必要な手順を省いたり、わかりにくい記述で相手を誤信させて契約させた場合は、詐欺行為といえる。
高橋氏:通常の契約は、Webサイトが料金やサービスの条件を明示して、これにユーザーが同意した場合に契約が成立する。しかし、ワンクリック詐欺サイトでは、料金説明がわかりにくいケースがほとんど。誤って契約してしまっても、料金を支払う必要はないと思う。
――フィッシング詐欺やワンクリック詐欺では、被害金額が少ないために泣き寝入りするユーザーが多い。こうした場合、被害者はどうすればいいのか?
安部氏:被害に遭ったら、早めに警察署に届け出てほしい。残念なことに、ネット詐欺に明るくない担当者もいるが、内部教育を再度徹底している。警察本部にはサイバー犯罪相談窓口があるので、ここに相談するのもいい。被害に遭った場合、PCのHDDの状態をなるべくそのままにして、犯罪者とのメールや振り込んだ記録も保管しておいてほしい。
高橋氏:誤って支払ってしまった場合、振り込んだ直後であれば、金融機関に申告すれば振込を取り消すことができる。
関連情報
■URL
ブロードバンド推進協議会
http://www.bba.or.jp/bba
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・ 画像で見るワンクリック詐欺サイトのよくある手口(2006/07/26)
( 増田 覚 )
2006/11/30 11:28
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