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総務省の田村憲久副大臣
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「ITU TELECOM WORLD 2006」で4日、「Shaping our future digital society」と題するセッションが開催された。総務省の田村憲久副大臣が講演し、日本のIT戦略やデジタル社会の問題点を語った。
田村副大臣は冒頭、ブロードバンドの普及などIT基盤整備を目標に掲げた日本初のIT戦略「e-Japan戦略」が2001年1月に策定され、2003年7月には「e-Japan戦略II」として補完されたと説明。さらに、2006年1月に政府が決定した「IT新改革戦略」の内容を紹介した。
田村副大臣によればIT新改革戦略は、ICT(情報通信技術)を駆使することにより、「すべての人が高度な医療や保険を受けられる社会」「エネルギーや資源を効率的に使い、環境への負担を軽減する社会」「テロや地震を含む災害のリスクを避けられる社会」の実現をビジョンとして掲げているという。同戦略は、「ICTを導入して構造改革を進めること」や「誰もが利用しやすいIT社会を実現する」などの原則のもとに策定されていると話した。
2004年12月にはe-Japan戦略を補完するために、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」が、簡単にネットワークに接続できるようにするユビキタス社会の実現を目標に掲げる「u-Japan政策」が策定されたと説明。この政策では、RFIDやIPv6などのICTが反映され、実際にRFIDは食品のトレーサビリティ、IPv6はホームセキュリティシステムなどとして利用されているとした。
このほか、デジタル社会で発生する問題をどのように解決するかというテーマで講演。「現実の社会の問題は、デジタル社会でも起こる。デジタル社会は、全世界に解放されていることから、デジタル社会の問題を取り締まるには現実社会と同等かそれ以上に厳しいルールが必要」と訴えた。
日本のデジタル社会では、著作権侵害や迷惑メールなどが問題視されていると述べ、携帯電話宛の迷惑メールを具体例として挙げ、政府が法規制を厳しくしたことにより、問題が緩和されたとした。ただし、現状では国内の迷惑メール送信事業者は取り締まれても、海外からの迷惑メールには対応できていない状況だという。田村副大臣は、「ITU TELECOM WORLD 2006の舞台が、世界の迷惑メールを止めるための重要な役割を担ってほしい」と、ITUへの期待を寄せて講演を締めくくった。
関連情報
■URL
ITU TELECOM WORLD 2006(英文)
http://www.itu.int/WORLD2006/
■関連記事
・ 政府が新たなIT戦略「ITの構造改革力で日本社会の改革を推進する」(2006/01/19)
・ 12月策定の「u-Japan構想」にみる総務省の将来展望(2004/10/06)
( 増田 覚 )
2006/12/06 15:53
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