5月24日から27日まで開催する「技研公開2007」では、番組を「作る」「送る」「使う」技術に分けて最新技術を紹介する。「送る」では、ネットワークを利用した制作・送出システムや、IP放送に関する技術などを展示する。
● IPネットワークを利用した番組制作と放送
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編集端末
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ネットワークを利用した制作・送出システムでは、「プラグアンドプレイ型番組制作システム」「分散サーバーシステム」を紹介。放送局をネットワーク化することで、ワークフローの改善、番組素材や機材の共有化などを行ない、番組制作および送出業務の効率化を図る。
プラグアンドプレイ型番組制作システムは、編集端末が作業に応じて、必要な素材や空いている機器を放送局のネットワーク上から検索し、接続するもの。新開発の同期伝送プロトコルを使うことで、遠隔地にある複数の素材を使って、リアルタイムな編集処理が可能という。
分散サーバーシステムは、完成した番組を短時間で送出システムに登録するための高速ファイル転送を可能にするもの。1Gbpsのネットワーク上にある複数のサーバーが自律的にファイルを複製し、冗長化を図る。ファイル転送時には、使用していないサーバーを自動選択して輻輳による遅延を防ぐ。
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編集機器
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分散サーバーシステム
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IPネットワークの放送利用技術としては、位置情報を利用した「放送検索システム」を紹介。外出先で簡単に現地のIP放送を受信できるもので、次世代ネットワーク(NGN)を応用する。デモでは、大阪から神奈川の湘南に移動した状況を再現。端末に表示されたチャンネルが、即座に現地の情報に切り替る。
端末は、DHCPサーバーから位置情報を受信し、さらにチャンネル検索データベースへ送信することで現地の放送局情報を取得する。データベース側は、SIPのプレゼンス機能を利用。放送局の受信パラメータ情報などを参照して、当該の放送局を端末に送信する。防災放送や電車運行情報など、速報を流すことも可能だ。
このほか、FTTHを用いたデジタル放送の品質確保技術を紹介。送信側では誤り訂正用のデータを基本階層と補強階層の2つに分けて送り、受信側では通常は基本階層のみを受信する。データを受信できなかった場合、補強階層を追加して受信したり、再送を要求することで、品質の確保と伝送効率向上の両立を実現するという。
IP放送で流れている不正なコンテンツの受信をブロックするための技術も紹介。正規の放送局が送信するコンテンツは暗号化を行なった上、タイムスタンプやメッセージ認証子を付加する。受信側では、タイムスタンプとメッセージ認証子を検証し、パスしたコンテンツのみを視聴できる。担当者は、「IP放送であれば、双方向のサービスも考えられる。そのとき、正規の放送局に成りすまして、世論調査やアンケートなどを不正に行なう恐れもあるため、将来を見越した対策を提案する」と述べた。
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放送検索システムのデモ
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デモに使用した端末
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不正コンテンツ検出技術の概要
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IP放送の受信・検証結果
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関連情報
■URL
技研公開2007
http://www.nhk.or.jp/strl/open2007/
■関連記事
・ NHKの技研公開、スーパーハイビジョンやオンデマンド配信を展示(2007/05/22)
( 野津 誠 )
2007/05/23 16:18
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