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IIJの鈴木幸一代表取締役社長
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IIJのサービス沿革
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インターネットイニシアティブ(IIJ)は2日、設立15周年の記念イベント「IIJビジネスフォーラム」を開催した。鈴木幸一代表取締役社長が同社の歴史を振り返ったほか、浅羽登志也取締役副社長がインターネットの未来像について語った。
「過去15年を振り返って空白感があるのは、世界の既成概念を壊すような技術を提供できなかったこと」。IIJ設立から現在までをこう振り返る鈴木社長は、空間の制限にとらわれずにコンピュータで情報共有するというインターネットの理念(フィロソフィー)は、当時多くのエンジニアが集まった米国のシリコンバレーで培われたものだと指摘する。
その後も米国では、世界標準となるインターネット技術が次々と登場するが、日本のインターネット業界は「現象にキャッチアップするのに終始し、米国のフィロソフィーの上澄みでお金儲けをする人が多い」と苦言を呈する。
こうした中IIJでは、1992年に日本初のインターネット接続サービスを開始するなど「それなりの苦労をしたが、結果として技術が蓄積できた」と評価。世界で最も高品質かつ安全なインターネット技術を提供している自負があると訴えた。また、1999年には「アップルやインテルと並んで市場に進出したい」という思いからNASDAQに上場。日本ではグローバルな感覚を実感できなかったが、NASDAQ上場によりIIJのフィロソフィー形成につながったと振り返った。
IIJの今後については、「僕らは世界を変えるものを提供できなかったという思いを抱きながら、新しいコンセプトを作ってインターネットの世界に貢献したい」と語る。具体的には、一人ひとりに最適化したネットワークを構築し、インターネットがユーザーに必要な情報を事前に提供したり、情報を共有したい相手とのみつながるネットワークの実現が目標。個人がコンピュータを支配したいという思いからパーソナルコンピュータが生まれたように、ネットワークのパーソナライズ化を目指すという。
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浅羽登志也取締役副社長
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“インターネット進化論”と題する講演を行なった浅羽副社長は、ネットワークのパーソナライズ化が、インターネットの進化の方向性であると説明。インターネットの未来像では、ユーザーがTPOに応じて情報提供を受けられる世界が実現するだろうと話した。
「現在のインターネットはパーソナルではない。例えば、Googleに(本イベントが開催された)『東京フォーラム』と入力したとする。私が入力した場合には、東京フォーラムで開かれるイベントの情報が表示されればうれしいが、誰が入力しても検索結果は同じ。ネットワークが各ユーザーの状況を理解した上で情報提供すれば、欲しい情報が勝手に入手できるようになる。」
ただし、ネットワークのパーソナライズ化には、いくつかの重要な技術が必要となるという。まずは、ユーザーのアイデンティティやプロファイル、TPOの認識を管理する「認証技術」。さらに、オーバーレイやP2P、移動中でも機器がネットワークに接続できる「ネットワーク技術」のほか、情報にタグを付与したり情報アクセスの管理を行なう「情報配信・管理技術」が不可欠であると指摘し、IIJではこれらの技術開発を推進していきたいと述べた。
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サービスのこれまでの発展と今後の進展
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ネットワークのパーソナライズ化で実現するサービスのイメージ
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関連情報
■URL
IIJビジネスフォーラム
http://www.iij.ad.jp/forum/
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