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インターポール金融・ハイテク犯罪捜査局のRalf Zimmermann氏
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インターポールが注力する5つの犯罪領域
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インターネット犯罪対策に関する国際カンファレンス「CeCOS II 東京:Counter-eCrime Operations Summit」で26日、世界186カ国の警察で構成される組織「インターポール」の金融・ハイテク犯罪捜査局に在籍するRalf Zimmermann氏が、「世界の法執行機関の展望」というテーマで講演した。
Zimmermann氏によれば、インターポールが注力している犯罪領域としては、1)公安・テロ、2)ドラッグ・犯罪組織、3)人身売買・児童性的虐待、4)逃亡者の捜査、5)金融・ハイテク犯罪――の5つが挙げられるという。特に、金融・ハイテク犯罪については、インターポール加盟186カ国の警察機関と協力していると説明。さらに、各国の金融機関とも連携を取り、マネーロンダリングやカード犯罪に関する情報を収集しているとした。
特にフィッシングなどインターネットを活用する犯罪については、国境に関係なく行なわれることが多いため、加盟国の関係者との協力が不可欠であると強調した。具体的な取り組みとしては、2003年に世界中のフィッシング情報の収集と分析を開始。その後、一部の国でフィッシング犯罪が横行したことから、警察機関や産業界などでフィッシングに関する情報共有を行なうプロジェクト「Operation GoldPhish」を2005年に発足した。インターポールでは、金銭的被害が発生した国や、盗まれた金銭が不正送金された国などの関係者と情報共有を図り、国境を越えたフィッシング捜査に協力しているという。
その成果としては、2006年に米国がフィッシング詐欺をインターポールに報告した事例を紹介した。Zimmermann氏によれば、その後の調査で、フィッシング詐欺が東欧や東アフリカ、中東諸国にまたがり、中でもエジプトが深く関与していたことが判明。そのためインターポールは、エジプト当局にさらなる捜査を依頼、米国当局も捜査に参加した結果、Operation GoldPhishで蓄積した情報をもとに、エジプト当局がフィッシングに関与した犯罪者47人を逮捕したとしている。
Zimmermann氏は、186カ国との関係を確立しているインターポールにとって、エジプトでの検挙は非常に容易な案件だったと振り返る。加盟国の警察部隊や専門家を紹介してもらえたためだ。「こうした取り組みにより、捜査リソースの無駄が省けるだけでなく、検挙率も高まっている」。Zimmermann氏は今後も加盟国の法執行機関と協力し、成功事例を積み重ねて官民協業をさらに推進したいとアピールした。
関連情報
■URL
CeCOS II 東京 開催概要
http://www.antiphishing.org/events/2008_operationsSummit_jp.html
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・ フィッシング対策団体のAPWGが東京で国際会議「国を守る意識で参加を」(2008/05/26)
( 増田 覚 )
2008/05/26 20:13
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