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「JUMPERZ.NET」を運営する金床氏
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Kaspersky Labs JapanのMichael Molsner氏
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インターネット犯罪対策に関する国際カンファレンス「CeCOS II 東京:Counter-eCrime Operations Summit」で26日、「ネット犯罪の技術 - ネット犯罪のレスポンス」と題して3つの講演が行なわれた。
まず最初に、ネットワークやセキュリティ関連の情報を提供している「JUMPERZ.NET」を運営している金床氏が「ウェブアプリケーションセキュリティ最新動向」と題し、Webに関連する新たなテクノロジーのセキュリティの話題として“クロスドメインアクセス”を紹介した。
クロスドメインアクセスとは、簡単に言えばスクリプトが複数のWebサイトにまたがって実行されるといったものだ。本来ならばセキュリティ上の問題に繋がることが多いために禁止されるべきものだが、現在はこれを禁止するのではなく、セキュリティ上の問題が起こらない形で許可しようという方向になっている。
ところが、そのような「安全に許可する」ための仕様が複数存在し、しかも今後普及が見込まれるInternet Explorer 8(ベータ版)やFirefox 3(ベータ版)、Flash Player 9.0、Silverlight 2(ベータ版)などの仕様がそれぞれ異なっているため、セキュリティに携わっている人間にとって厄介な状況になっている点が指摘された。
次にKaspersky Labs JapanのMichael Molsner氏が「Phishing Extreme」と題して、珍しいフィッシングサイトの実例をスクリーンキャプチャで見せながら1つずつ紹介した。紹介された中で最も印象的だったのは、LinuxベースのビデオレコーダーやWebカメラなどのネットデバイスが、デフォルトパスワードのままであったなどの理由で侵入され、フィッシングに使われてしまった事例である。さらにWebカメラが乗っ取られたケースでは、家の内部の写真が“公開”された状態になっていたとのことである。
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Anti Phishing Working Group(APWG)のリサーチャーであるPat Cain氏
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最後に、Anti Phishing Working Group(APWG)のリサーチャーであるPat Cain氏が「共通データフォーマットを通じたネット犯罪に関する国際協力レスポンスのコーディネーション」と題して、APWGが押し進めている情報共有フォーマットの標準化のための取り組みについて紹介した。
フィッシングに関する情報としては、フィッシングサイトのURLが最も重要だが、対応をとる上で必要な情報は、IPアドレスなど他にもいくつかある。しかし、実際に送られてくる情報の中には、そのような必要な情報が不足しているために情報共有が遅れ、結果として対応が遅れてしまうケースも少なくない。そこで、あらかじめ情報共有のためのフォーマットを定めておけば、必要な情報が欠けることなく、より迅速な情報共有を実現できるというわけだ。
フィッシングに限らず、コンピュータセキュリティインシデントに関する情報を共有するための標準フォーマットとしては、XMLベースの「IODEF(Incident Object Description Exchange Format)」がすでにRFC5070として存在し、CSIRT(CERT)などを中心にIODEFを使用するツールも存在している。APWGでは現在、IODEFをベースにフィッシングやネット詐欺用に拡張したものの普及を進めている。
すでにAPWGでは、IODEFを用いたネット犯罪に関するデータのレポジトリを構築・運用しており、フィッシングに関するレポートをIODEFでも受け付けている。
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IODEF(Incident Object Description Exchange Format)のサンプル
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APWGが構築・運用している、IODEFを用いたネット犯罪に関するデータのレポジトリ
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関連情報
■URL
CeCOS II 東京 開催概要
http://www.antiphishing.org/events/2008_operationsSummit_jp.html
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( 山賀正人 )
2008/05/27 12:09
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