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ソースネクスト松田社長インタビュー

「無料オフィスで浮いた金額をソフト購入に」

 ソースネクストは14日、Web上でOfficeファイルを編集できる無料サービス「ThinkFree てがるオフィス」ベータ版の提供を開始した。ThinkFree,Inc.との提携により実現したこのサービスは、専用ソフトをインストールせずにワープロ・表計算・プレゼンテーションファイルを作成可能で、MicrosoftのOfficeソフトとの互換性を持つことなどが特徴だ。ソースネクスト代表取締役社長の松田憲幸氏と執行役員の小嶋智彰氏、ThinkFree,Inc. CEOのTJ Kang氏に、「ThinkFree てがるオフィス」の戦略を伺った。なお、製品内容については、こちらのニュース記事を参照してほしい。


Microsoftからの訴訟リスクは限りなく低い

ソースネクスト代表取締役社長の松田憲幸氏(右)とThinkFree,Inc.でCEOを務めるTJ Kang氏
――中国などに先駆けて日本語ローカライズ版を提供した理由は

Kang氏:現在、英語版のみで提供している「ThinkFree」は米国からの利用が半数を超え、残りの半分で多いのが英国、韓国、日本、中国、ブラジルの5カ国からのアクセスです。人口が多い中国市場は魅力的で、実際にサービス提供の話も進めていますが、我々は最初のローカライズ版を提供するのにあたって日本を選びました。海外進出時に重視した点としては、無料サービスの価値が認められる文化があるかどうかということです。中国は不正コピーが出回っていて、実際にMicrosoft Office製品の海賊版を利用しているユーザーが多い。多くの人が無料で不正ソフトを使っている環境では、無料サービスの価値を理解してもらいにくいと考えました。

――「ThinkFree てがるオフィス」は、Microsoft Officeのファイル形式やユーザーインターフェイスの互換性が特徴だが、Microsoft製品を模倣することによる法律的な問題はないのか

Kang氏:この問題は頻繁に聞かれますが、問題点としては「ファイル形式を解析して良いのか」と「ユーザーインターフェイスが似ていても良いのか」という2点が挙げられます。

 まず、ファイル形式を解析する問題については、これまでも他社製品をリバースエンジニアリングして、自社製品に反映させた企業が訴えられたケースが何度かあります。例えばかつて、ゲーム機のメーカーがソフトベンダーの囲い込みのために、ゲームソフト会社からソフトを納品させて、専用カートリッジ用の独自フォーマットで記録して発売するということが行なわれていました。ハードメーカーはゲームを発売するためには独占契約を締結させ、カートリッジのフォーマットについてはゲームソフト会社にも開示せず、リバースエンジニアリングで解析したら訴えるとしていました。これを不服としたソフト会社が、リバースエンジニアリングによって、そのゲーム機でも他のプラットフォームでも動くように移植して発売したところ、ハードメーカーが訴えました。しかし、判決としては、このリバースエンジニアリングは正当であるとして罪に問われませんでした。

 一方、ユーザーインターフェイスの問題については判例がないため、クリアではない点があります。過去にユーザーインターフェイスが模倣されたとして、AppleがMicrosoftを訴えたり、LotusがBorlandを訴えていますが、いずれも和解という形で解決しています。米国で過去に判例が出ていないため、裁判には時間がかかります。また、Microsoftはオフィス市場を事実上独占していることから、競合他社を訴えるには慎重にならざるを得ないでしょう。ThinkFreeのようなベンチャー企業を訴えることは、ThinkFreeを有名にするだけです。このように、Microsoftにとっては訴訟を起こすメリットがほとんどないことから、訴訟される可能性は限りなく低いと考えています。

 ThinkFreeでは2,400万ドルの増資を行なっていますが、ベンチャーキャピタルが最も気にしたのもこの点です。増資時には、弁護士を集めて法的なリスクは十分検討済みです。


9月をめどに日本語完全対応

――「ThinkFree てがるオフィス」では、Excelなどのマクロ機能についても互換性はあるのでしょうか

Kang氏:マクロ機能は、Windowsプラットフォームと密接に結びついているため、サポートが難しいということが背景にあります。また、我々としては、Windowsにこだわるよりも、「ThinkFree てがるオフィス」がプラットフォームに依存せず、MacやLinux、携帯電話などからも使えることを重視しています。

――現在は、トップページなど一部しか日本語表記に対応していないが、完全日本語対応のめどは

松田氏:今後2~3カ月で重要なページから日本語化を進め、9月中旬までには完全対応して正式サービスを開始する予定です。

――ビジネスユースでは、名簿や売上高などに関する文書ファイルをソースネクストのサーバーに保存することに抵抗がある企業も少なくないのでは

Kang氏:企業のデータ漏洩の原因としては、従業員がPCを紛失したケースが6割を占め、サーバーへの不正侵入による情報漏洩はわずかです。PC上にデータを保存するよりも、安全といえるかもしれません。また、「ThinkFree てがるオフィス」で作成したファイルを自社サーバー上に保存したいというニーズに対するソリューションも用意しています。こうした希望が多ければ、ソースネクストや国内のSIベンダーなどと協力して提供することも視野に入れています。

 「ThinkFree てがるオフィス」の価値は、PCだけでなくモバイル機器にも対応できるところにあります。例えば、携帯電話上でPowerPointを作成し、Bluetooth対応のプロジェクタがあれば、携帯電話からプレゼンテーションを操作することも可能です。現在、デバイスメーカーと話を進めていて、来年早々にもモバイル機器向けサービスを提供できると思います。

 なお、Office 2007ではOpen XMLに対応していますが、今後はMicrosoftとの協力により、「ThinkFree てがるオフィス」でもOpen XMLフォーマットを数カ月以内にサポートする予定です。


初年度はユーザー数獲得で自社製品の販促につなげる

――ビジネスモデルについてはどのように考えているか

松田氏:一般的には無料サービスというと、広告収益によるビジネスモデルを想像しがちですが、少なくとも初年度は「ThinkFree てがるオフィス」の利用者を増やすことに注力します。これによって、ソースネクストのWebサイトへの集客力が高まり、弊社の他製品の販売につながると考えています。そのため、初年度では「ThinkFree てがるオフィス」からの直接的な売上は想定していません。ただし、サービスが広まりアクティブユーザー数が増えれば、「ThinkFree てがるオフィス」は大きなメディアとなります。そうなれば、広告収入も見込めるでしょう。2007年秋にはパッケージ版を発売しますが、無料ユーザー数が少なければ売上は見込めないので、とにかくまずは無料ユーザーの獲得を重視しています。

――オフィスソフト市場のシェア目標は

松田氏:最大の目標は、とにかくユーザー数を増やすことです。もともと、Word/Excel/PowerPointは広く使われていることを考えると、無料の「ThinkFree てがるオフィス」は利用されるはず。また、市場シェアという排他的な考えよりも、アクティブユーザーを増やすことを重視したいです。アクティブユーザーが増えれば、「ThinkFree てがるオフィス」は大きなメディアとなり、次の展開や広告収益モデルの確立が容易になります。そのためには、常に機能向上を図る必要があります。

 PC利用者の大多数が使うアプリケーションとしては、Webブラウザやメーラー、オフィス製品などがあり、メーラーとブラウザは無料というのが常識です。その上、オフィスも無料となれば、浮いたお金を他のアプリケーションや周辺機器に使うことができます。また、現在ではPC購入時にオフィス製品が導入されているだけで、2万円以上高くなります。単純にPCの年間販売台数が1,000万台だとすれば、2,000億円がオフィスに費やされていることになるのです。こうした出費が他の製品に向かうことによって、PC業界全体だけでなくソースネクストの製品の売上増にもつながると考えています。

――2007年9月には有料プランも提供するが、具体的な料金プランは

松田氏:現状では、パッケージ製品を3,970円、ワープロ・表計算・プレゼンテーションの各機能を単体で1,980円で検討しています。オンライン向けの有料プランについては、月額課金制ですが、料金は検討中です。ファイル保管用のオンラインディスクの容量については、要望があれば拡大することも検討します。

――ありがとうございました


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.sourcenext.info/sp/press/070514_thinkfree.html

関連記事
ソースネクスト、Web上で利用できる無料のOfficeサービス「ThinkFree」(2007/05/14)


( 増田 覚 )
2007/05/14 20:54

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