外出時のインターネット接続の場合、どうやって接続するかがポイントになる。少なくても米国の場合、この心配はかなり解消されつつある。
インターネットが仕事でも当たり前になっている状況は日米ともに変わらない。お高い「一流ホテル」の場合は宿泊費以外にもサービス利用で色々な追加費用がかかる一方、お手頃な価格のビジネスマン向けの宿は無料サービスが多い。これは日本国内のシティホテルとビジネスホテルを比べれば明らかだろう。米国もこの事情は同じで、以前の米国のお手頃価格の宿には「市内通話無料」「朝飯無料」「コインランドリーあり」のような特典がある(「プールつき」すらある)。
● ラスベガスのネット接続環境、日本人観光客が宿泊する一流ホテルは良好
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適当にアクセスしようとすると(アドレスバーに注目)、このような課金画面が出る。サービスタイプや支払方法はプルダウンメニューになっているものの、今回はこのタイプのみだった
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筆者は2007年11月にラスベガスへ行ったが、ネット接続環境は一段とよくなっていた。多くの日本人観光客が宿泊するストリップ地区沿いの「一流ホテル」では、ほとんどが部屋にインターネット接続環境があり、おおむね24時間で10ドル99セント~12ドル99セントで提供しているのが相場だ。このクラスのホテルの場合、クレジットカード払いが一般的なので、支払いは後払いとなる。
有線接続の場合は、ネットワークケーブルを接続して、適当なサイトを閲覧しようとすると契約条件画面が示されて、承認ボタンを押すと利用開始となる。契約は24時間単位で、制限時間を経過するか、ある程度転送が行なわれないとその次の接続時に再度契約画面が表示される(後者は確認だけで新たな課金はない)。
また、無線接続を提供している場合は室外からもアクセスできるため、部屋番号とパスコード(これは室内のTVから確認することができるのが一般的)も入力することになる。ラスベガスに限らずある程度の格のあるホテルの高速インターネット接続環境は大体このような状況だ。
この手の有償インターネット接続環境の場合、気を付けたいことがひとつある。同室者もネット接続を行ないたい場合、当然ながら有線LAN接続のポートは1つしかない。このため、同時に利用することができない。また、この手の課金はMACアドレス単位で行なわれるため、複数のパソコンを持ち込む場合はそれぞれに課金されることに注意したい。両方を解決する裏ワザとして、(利用契約条件で禁止されていたらダメだが)市販のブロードバンドルータを持ち込むという手がある。
● 中堅ホテルチェーンでは無料接続がトレンドに
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部屋からアクセスポイント検索をしてみたところ、8つもヒットした。海外では高速インターネット接続と言ってもそんなに爆速ではないので無線でも十分だ
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一方、米国の中堅チェーンの場合は現在、無料接続がトレンドとなっている。以前は中堅チェーンでも有償提供されるケースが多かったが、2004年3月14日(日付が明白なのは当日行なわれた『WrestleMania XX』をネット中継で見たため)にサンフランシスコ空港に近い「HolidayInn Express」(おそらくココ )に宿泊した。シリコンバレーエリアは宿泊代が高いので、安く泊まるためにクーポンブックをめくっていたら「新築で無料ネットあり」と書いてあったので決めた。
当時はまだ無料の高速接続が珍しかったのだが、エレベーターに「8月までにすべての米国内同チェーンで無料のインターネット接続を用意する」というポスターを掲示してあった。このため「今後はHolidayInn Expressを定宿にしようかな?」と思ったほどだ(筆者はFSP※の関係でMariott系を定宿にしており、当時は一部のCourtyardにて有償提供されていた)。
※編集部註:Frequent Shoppers Programの略。購入金額の累計によって顧客を階層化し、利益貢献度に応じて特典を与える販促手法。
同じように感じる人が多かったのか、マーケティングスタッフがその必要性に気づいたのか、中堅チェーンでは「無料インターネット接続」がその後のトレンドとなった。「BestWestern」「Courtyard」「FairFieldInn」などのチェーンはおおむね無料インターネット接続が用意されており、ホテルの設備状況を表わすアイコンも用意されている。
無料接続の場合は課金はないものの、利用に伴う損害は補償しないとか、不正利用(たとえばスパムメールの送信)に使うなとか、契約確認画面は表示されるので、それを承認しないと使えない。無線アクセスの場合は不正利用を防止するためにアクセスコード(おおむねフロントで尋ねて教えてもらう)を入力するケースもある。
なお、無線LANの場合は部屋によって電波が届きにくいケースもあるので、チェックイン時に確認するとよい(以前「ロビーとその近くの部屋なら届くが、近くの部屋は空いてない」と言われて閉口したことがある。また「つながらない」と言ったところ、中継用のアクセスポイントを貸してくれたこともあった)。
有線接続の場合、LANケーブルが用意されていないケースがほとんどなので必ず持参するようにしたい(これは持って帰られてしまう可能性があるから)。今回、筆者は「電源アダプタを忘れる」という大ポカをしたため、ラスベガスについたらまずアダプタを買いに出かける羽目になった。
このようにノートPCを米国旅行に持ち出す場合は、ホテルの高速ネット接続を確認するのがよいだろう。アメリカの旅行サイトではホテルの設備条件の絞り込みに「High Speed Internet Conneciton」という項目がある。これを接続の目安にするとよいだろう。ただし、前述のように「明記されていない限りすべての部屋で使えるとは限らない」ことに注意したい。
● 低価格チェーンにも高速ネット接続が広がる
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ホテルの電話の横にはデータポートがあるのがお約束だが、さらにRJ-45コネクタがついている。Motel6にこんな設備があるとは思わなかった
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これがアクセスコードが書いてあるスクラッチカードだ。オンライン決済にすればよいと思うのだが、宿泊客がすべてクレジットカードを持っていないという事情があるのだろう
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今回の旅行では「チェーン店で最低クラス(≒安い)」とされている「Motel6」を使った。一日外に出て写真を撮ることが目的だったため、宿の質にこだわる必要もなかった上にラスベガスのホテルの価格が上がったためだ。レンタカーを使うのでストリップ地区である必要もないが、ここは過去に何回か使っていて勝手がわかっていた。このクラスの場合、クレジットカードが必須というわけではなく、チェックイン時にまとめて清算するので現金でも問題ない。
2006年まではここに(ダイヤルアップ以外の)インターネット接続はなかったが、2007年はフロントで2ドル99セント(24時間)のアクセスカード(パスワードが書かれたスクラッチカード)を買うだけで、有線/無線LANのインターネット接続を行なうことができるようになっていた。
ネット無料系では部屋の設備を更新する必要性があることから、新築でない場合、無線LANでの提供が多い(すぐ隣にある「America Best Value Inn」では無線LANによる無料接続を提供しており、2006年はその「漏れ電波」がMotel6の部屋まで届いていた)。ところが、電話設備を改良することによって、電話機にRJ-45コネクタを付けた有線アクセスが可能になっていた(おそらくVDSLを使ったのだろう)。泊まった部屋から無線LANアクセスポイントの検索をしてみたが、これも十二分に提供されていることがわかる。
先のアクセスカードもこの宿独自のものではなく、Motel6のロゴの入ったものなので、Motel6全般でサービス提供を始めつつあるようだ。宿泊料に上乗せではチェーンのメリットが失われるため、必要者に売るのは現実的な対応だろうし、2ドル99セントなら十分リーズナブルだ。なお「Motel6 Las Vegas Flamingo #37」は地理的条件もよく、部屋もそれなりに綺麗だ。
先日確認したところ、Motel6の場合Wi-Fi接続のアイコンが用意されており、ラスベガスがあるネバダ州に14店舗あるMotel6でWi-Fi接続を提供しているのは2店舗だ。ただし、有線接続提供の場合にはアイコンが表示されないのはちょっと不親切な気がする(それぞれの詳細説明を見るとちゃんと書いてあるがわかりにくい)。
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上から見るとどこにでもあるような普通のホテルの電話機だが……
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後ろから見ると、新モジュールが合体している。既存の電話配線を利用して、電話とネットを多重化しているようだ。手書きの文字は部屋番号
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・ お出かけインターネット:最近の米国の場合(後編)(2008/01/29)
( 小林哲雄 )
2008/01/28 11:07
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