旅行先で立ち寄る公共の場所での高速接続も確認しておくとよいだろう。空港そのものが無料のアクセスを用意しているところと、有償の接続を用意しているケースがある。
例えばLAX(ロサンゼルス国際空港)では、T-mobileが接続を提供しており24時間9ドル99セントで接続できる(クレジットカードがあれば、T-mobileのアクセスポイントに接続してカード番号を入力すれば利用可能)。今回の旅行で時間があって試せた範囲ではNRT(成田国際空港)は有料アクセスおよび無料アクセス(ANA/UAのラウンジ内提供を確認している)が提供されていた。米国側は、LAS(ラスベガス国際空港)は空港が無料アクセスを提供しており、MCO(オーランド国際空港)も無料だった。
● 公共の場所での無料アクセスにはワナも
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空港ゲートそばで見かけたReCharge Zone。verizonが提供しているので、ケータイの充電をしつつ、読書でもしてくださいということだろうか?
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ただし、公共の場所で見つける無料アクセスポイントにはワナのケースもあると、Kaspersky Labがブログ内で発表している。アクセスポイントが提供されているか、旅行前に空港の公式サイトで確認したほうがよいだろう。また公共無料Wi-Fiに限らず、ホテルにおいて高速インターネット接続環境を使う場合にもLANを通じての侵入に対策をしておく必要があるだろう。
空港にアクセス手段が用意されているのは空港インフォメーションのためということもあり、有償接続でも空港インフォメーションに限れば無料というケースもある。ちなみにLASの場合はメールアドレスを入力するだけで利用でき、引き続き空港サイトに飛ばされる。
一般に飛行機が空港に到着しても預けた荷物はなかなか出てこない。LASに到着したらゲートに残ってメールチェックをしてからバゲッジクレームに降りるというのが、私の最近の行動パターンだ(バゲッジクレームよりもゲートの方が治安面で有利なのでバゲッジクレームエリアでノートPCを広げないようにしている)。ちなみにLASが無線アクセスを提供する以前には「有線ネット接続可能公衆電話」が用意されていた時代もあった。
ホテルでは昔ながらの電話線とモデムを使ったアクセスも有効だろう。日本で使っているプロバイダーが海外ローミングを提供している場合はこれを使うのもよいが、ローミングの場合、アクセスポイントの範囲が今ひとつ狭くてホテルの市内料金外というケースが多いので気をつけたい。一般にホテルからの市外通話は高い。
その場合は接続のみを提供する会社を使ってもよいだろう。筆者はかつて「Maglobe」というISPを使用していた。いくつかのプランがあるが、一番安い「Traveler」は14ドル99セント(最大1年間有効)で、ハワイとアラスカを除く、ローカルアクセスポイントで「54セント/時間」、トールフリーでも「2ドル49セント/時間」とつなぎっぱなしにしてもさほど懐が痛まない。国内ISPのローミングプランよりも激安だ。3回更新し合計4年使っていたが、最近ダイヤルアップで接続する機会が減ってしまったこともあり、2007年で期限切れになってしまった。メールチェック程度にしか使わないなら1日10ドル近く出す高速アクセスを使わず、ダイヤルアップで済ませるというのもよいだろう。
なお、ラスベガスのカジノホテルには「客室内から追い出してカジノ(フロア)に行ってもらおう」という観点から本来無料なはずの「トールフリー(日本で言うフリーダイヤル)」にも接続料を取る(カジノフロアにある公衆電話からのトールフリーは当然無料)。ラスベガスでのダイヤルアップは高くつくと思ってよい。
● ラスベガスでは「充電スポット」も登場
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ReCharge Zoneの向かいにあった有料充電端末。最大30分で3ドルでカード払い専用(V/M/A/D/J)だ。結構いい値段。後ろを覗き込んで見たが電話線の類はなく、カード処理はおそらくオフライン処理のようだ
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床のコンセントは充電用に占拠されている、というのが空港のお約束の光景だ
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日本では「ケータイを勝手に充電したら盗電で書類送検された」という事件があったが、少なくとも空港に限ってはそんなことはないようだ。
機内の特に前方ではPCを使うビジネスマンが多い。筆者がよく使用するユナイテッド航空は前方にシートピッチを(5cmほど)広げた「エコノミープラス」を上級会員向けに提供している。上級会員の場合、さらに席に余裕がある場合、通路際でも窓際でもない席をブロックして空けておくという施策を行なっている。このためエコノミープラス席では3人がけの座席に2人が座り、それぞれの前のテーブルにはノートPCがドカっと乗り、テーブルに乗らない飲み物類は中央のテーブルをシェアして使うという光景をよく見る。
彼らの多くは仕事のためにノートPCを持ち込んでおり、横から見ると、プレゼンのためのPowerPointのチェックや、部下が作成したであろうWordのチェック・添削をしていることが多い。ゲート前にいくつかあるコンセントの前に座っている人は大抵PCを使っているか、充電のために居座っているケースが多い。
国際線にはPC用電源が用意されているシートもあるが、まだ少数派(基本的にビジネスクラス以上)だ。機内用の特別な電源を必要とするのが以前は多かった(DC 15V程度を供給するEmPowerという規格が以前一般的だった。最近はAC 110Vを提供する会社が増えつつある)。
PCを使う人の基本は「飛行機に搭乗する前にフル充電しましょう」となっており出発ゲート前で充電する人は多いが、それで逮捕されたとか書類送検された、お小言を言われたという話は聞かない。
この状況にビジネス(広告)チャンスありと捉えたのか、今回の旅行では2つの新設備を見かけた。1つは日本でもコンビニ等でよく見かける携帯類の有料チャージスポットだ。各社のプラグがずらりと並んでおり、携帯だけでなくiPodコネクタも見かけた。もう1つはPC用の利用スペースとも言えるものだ。
国内でも最近マクドナルド等で携帯やノートPCが利用しやすいようにコンセント付きのカウンター席が増えているが、同じようにカウンター式でコンセントのついたスペースがスポンサーのご好意で(?)用意されていた。搭乗ゲートのそばで場所もよく、使いたかったのだが、写真を見てわかるようにすでに満席だった。従来どおり、コンセントそばの床に座ってPCや携帯の充電をする人も健在だ。
今回の旅行ではACアダプタを忘れたので、ラスベガスに到着後すぐに電気屋に行って汎用電源アダプタを買った。AC(120V)/自動車/航空機(EmPower)で利用できるほか、11種類のプラグと6種類の電圧調整によって、多くのノートPCで使えるのが魅力だ(ショップも売れるかどうかわからない品揃え強化よりも、この手の商品1つで済むのでありがたいだろう)。日本ではTargusの製品が売っているが、ラスベガスで買いに行った店では私の使っているPCに合うプラグ付きの製品は売り切れていた。Targusの製品はプラグごとに電圧を自動調整するので過電圧で壊す心配がないが、APCのこの製品には5V供給用USBコネクタもついているのが便利そうだ。
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隅のほうでは床に座り込んでPCを使っている人もよく見かける
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APCのこの製品には5V 2Aが取り出せるUSBジャックも付いており、USB充電ケーブルも使える。なお、APCの日本法人では取り扱っていないようだ
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( 小林哲雄 )
2008/01/29 12:09
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