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やじうまWatchで振り返る2008年


 平日にはほぼ休みなく、毎日ご覧いただいた「やじうまWatch」、お楽しみいただけたでしょうか? 今年1年を記事から振り返る、と口で言うのは簡単だけれど、1年分の記事の数はやたら多く、読み返してまとめるのも自分で書いたものながらなかなか大変な作業となってしまった。以下、10項目に大きく分けてみた、やや偏った視点からのネット模様をどうぞお楽しみください。


日米文化摩擦? 恥ずかしい、アマゾン「ほしい物リスト」流出

アマゾンの「ほしい物リスト」機能の公開設定が話題に
 今年は、文化摩擦が引き起こしたような事件が多かったように思う。たとえば、アマゾンの「ほしい物リスト」の流出だ。自分の欲しいプレゼントのリストを、家族や友人に見せておく、そんな欧米の風習をそのままなぞったのが、アマゾンの「ほしい物リスト」だった。つまり、公開がデフォルトだったわけだけれど、日本では「自分が見るための、欲しい物メモ」と受け取られていた。他人には見せられないリストが当然のように作られていたわけで、検索すると誰でも見ることができる状態に置かれてしまった(2008/03/12)。海外からやってきた、前提とする文化が違うサービスが巻き起こした騒動だったわけだ。Googleマップの「マイマップ」が公開を前提としていて、非公開だと思った人たちが作ったマイマップから個人情報が流出した一件もあったけれど、これも文化摩擦の側面があるだろう(2008/11/05)。ワールドワイドで提供されるサービスの日本語版が出てくる限り、これからもたぶん、似たようなことは起こるのだろう。


不自由を無理矢理解消する、地デジチューナーのコピーフリー化

 現行のアナログ放送が停止する予定の2011年まではまだ間があるけれど、今年は広報のテレビCMが流れたこともあって、地上デジタル放送が世間一般にずいぶん浸透したようだ。とはいえ、ハイビジョンの美しい画面を、全部の世帯が欲しがるわけでもなさそうで、地デジ対応テレビが普及するのにどれだけ掛かるのか、あまり明るい見通しではなさそうだ。また、地デジは録画に制限があって、これがまた少々ややこしい仕組みで、今までアナログ放送を録画していた感覚からすると息苦しい。そのコピーを制限する仕組み、DRMを解除する手法が、今年は広く出回った。日本製の一般的なPC用チューナーカードをコピーフリー化する手法が出回ったり(2008/07/29)、昨年11月に登場した台湾製の地デジチューナー「フリーオ」がB-CASカード不要に改良されたり(2008/08/21)、暗号を解読しない地デジチューナーが現れたりした(2008/08/20)。急激な不況と合わせて、テレビ業界がこれからたいへんな局面を迎えようとしているのは間違いなさそうだ。


世代交代を促す、microSDカードなどの記録メディアの低価格化

 記録媒体の価格が日を追うごとに安くなる、これはもう大昔からずっと続いてきたことだ。多少の上下はあるものの、だんだんと安価になる傾向は変わらない。ただ、ある程度まで下がると下落傾向が急に緩やかになり、より大容量・高密度のメディアに容量あたりの単価で抜かれ、世代交代が起こってくる。今年、夏のコミケで販売する写真集を、microSDカードに納めて販売する同人サークルが現れていた(2008/07/31)。携帯電話でも読み取れる十分な容量のメディアが安価に手に入るから、という理由だった。フロッピーディスク、CD、DVDと様変わりしてきたデータ受け渡し用のメディアが、フラッシュメモリーに切り替わり始めた兆しだろう。今年、楽天市場でmicroSDカードを売りまくった「上海市場」では現在、Transcend製の2GB品を税込297円で販売中だ。また、秋葉原では1TBのHDDが人気だった時代がそろそろ終わりを告げ、容量単価で優れる1.5TBのモデルに急激に代替わりしつつあるようだ。


ようやく日本上陸の黒船「iPhone」に世界中からアプリが続々と

「iPhone 3G」が日本でも発売
 7月、iPhone 3Gが日本で発売された。発売当日は、表参道沿いにあるソフトバンクのショップ前に、徹夜組が原宿の空を眺めながらという、ちょっと贅沢な一夜を過ごしているのが印象的だった。iPhoneはおサイフケータイ(2008/06/20)もワンセグチューナーもない、日本の携帯電話とはだいぶ違ったガジェットだったためか、販売が失速したなどという報道もあった。2年間使い続けることが前提の契約だったために、飽きっぽい人が不買をブログで宣言するということもあった。iPhoneを取り巻く不景気な情報の中で、App Storeに並ぶ、アプリケーションの充実には目を見張った。iPod touchにも多くは利用可能な、有料や無料のアプリケーションが世界中のクリエーターの手によって作られて、日々増えていくのは圧巻だった。やじうまWatchでは、自宅のPC内蔵のチューナーとネットでつなぐ「OrbLive」(2008/11/14)、はちゅねみくがネギを振る「みくみくモバイル」(2008/11/21)、夢の「かめはめ波」を打つ「Kame hame ha」(2008/12/09)、「GW Chef」というちょっと危うい内容のアプリも紹介した(2008/11/06)。これらの中には、App Storeからはすぐ無くなるかと思っていたものもあったが、今もちゃんとあることにちょっと驚いた。


暴言があっても「炎上」しづらい、有名人ブログの変わった設定

 ブログなどのコメント欄に批判が渦巻く状態、「炎上」は今年もちらほらと発生していたようだった。不謹慎なことや脱法行為で批判が集まるのはもう珍しいことではない。そんな中で目を引いたのが、炎上を熱心に記事にしていたニュースサイト「J-CAST」自身が炎上に巻き込まれた一件だった(2008/05/13)。「よゐこ」の有野晋哉さんのブログが炎上した件(2008/06/03)では、ブログの炎上するコメント欄とは反対に、2ちゃんねるのスレッドでは「有野の方が正しい」との意見が席巻して、ネット世論が二重の構造になっていたのも興味深かった。手に入れたばかりのiPhoneの悪口を直情的に書いて、批判が集中しそうになった森公美子さんのブログも特徴的だった(2008/11/05)。記事ごとのパーマリンクもコメント欄もなく、炎上にならない設定がブログになされていたのだ。読者からの意見や感想が届かず、ブログの盛り上がりには欠けるかもしれないが、ちょっとした失敗で炎上するのを避けるにはいい方法だろう。


硫化水素の発生で自殺する方法、ネットとマスコミで広まる現象

 悲しいことで、あまり思い出したくもないのだけれど、どうしても触れておかなければならないだろう。今年に入ってまもなく、「練炭自殺に代わる、新しい自殺方法が開発されました」とのコピペが2ちゃんねるのあちこちのスレッドに現れた(2008/03/28)。硫化水素を発生させ、これを吸引して自殺しろ、というものだ。これが自殺志願者の目にとまり、実行して絶命する人たちが現れたのだ。これがマスコミの報道に載ると、さらに多くの自殺志願者をかき立てることになり、巻き添えとなる人たちも続出する異様な状況となった。この騒動で取り上げられた結果、古くからある入浴剤「六一〇ハップ」は流通から閉め出されることになり、10月末には創業102年の製造工場が閉鎖される事態になってしまった(2008/11/26)


DS-10など、次々に登場した手頃で魅力的な電子楽器の数々

ニンテンドーDS用ソフト「KORG DS-10」
 今年は、魅力的で手軽な電子楽器が次々と登場した1年でもあった。音楽好きを虜にした「Kaossilator」(2007/12/05)が昨年末に登場したあと、今年3月に発表となった「KORG DS-10」(2008/03/13)がまずすごかった。1978年に世に出たアナログシンセサイザー「MS-10」をほとんどそっくりエミュレートした上、簡易なシーケンサーとKaossilator風のタッチコントロールを兼ね備えた、とても魅力的なソフトが現れたわけだ。同じ音楽ソフトを持つ人が多くなれば、ユーザーの皆さん同士のネット上での情報交換も進み、励まし合って新しい楽曲が次々と生まれる好循環になる。DS-10の登場と同じ頃に、学研の「大人の科学」の付録に簡易なアナログシンセサイザー「SX-150」、クラフトワークの「電卓」でも使われた「スタイロフォン」の復刻版も登場している(2008/09/11)。少々値が張るが、ヤマハが発売した、LEDと一体化したボタンを256個並べた楽器「TENORI-ON(テノリオン)」(2008/06/24)もたいへん魅力的だった。


警察の逮捕すら目立つ道具に? 実行されない犯行予告が相次ぐ

犯行予告の収集・通報サイト「予告.in」
 秋葉原で6月に起こった無差別殺傷事件では、容疑者が事前にネットの掲示板で犯行を予告していた。この時点で、ネットでの殺害予告は重大な犯行が行われる可能性が高いと、取り締まり側に受け取られるようになったわけだ。総務大臣が巨額をかけて犯行予告の検知ソフトを開発するとの方針を示したあとに、すぐ開発された「予告.in」の存在は、今年大きかった。この状況を逆手にとって、わざと犯行予告をして耳目を集める人物も現れた。ハンドル名「パンツ ◆7vYOZotTDo」の男性は、7月に「爆笑問題の太田光を殺します」と2ちゃんねるに投稿して逮捕され、釈放後にゴールデンタイムに放送されたテレビ番組にメールで出演となった。そしてその翌日、犯行予告をさっそく行っていた(2008/11/26)。逮捕すら自分が目立つ道具にしてしまうわけだ。7月には、日韓翻訳掲示板に韓国語で「日本人韓国来るな。来れば殺す。」との投稿もあった(2008/07/16)。国境を越えた犯行予告が現れるのもインターネットらしいところだけれど、取り締まりがしにくいのもやはりインターネットらしいところだ。


狭い路地まで撮影する、Google「ストリートビュー」への強い反発

Googleマップの「ストリートビュー」機能にはユーザーからの強い反発も
 このところ、自治体や弁護士会などで、Googleの「ストリートビュー」を問題視する動きが盛んになっている。昨年5月から米国で提供が始まり、今年8月から日本でも始まったストリートビューだけれど、これもまた米国での基準をそのまま適用したような怪しいサービスとなってしまった。幅広の道ばかりで家の中は外からはうかがえない、米国では都合のいい基準をそのまま日本に当てはめているように見える。大通りで撮影しているならまだしも、そこに住む人しか通らないような狭い路地にまで入り込んで、塀すれすれの距離で高い位置からくまなく撮影していく。高木浩光さんの報告で、学校の敷地や墓地など私有地にまで入り込んで撮影していることもわかった(2008/09/12)。抗議するまで公開されるオプトアウト方式で、本人が知るまではさらしものになる。また、その抗議をする方法もわかりづらく、文字数が制限された使いづらいものだった。一方で、有名人の自宅周辺の、広い地域の画像が丸ごと削除されていたこともあり(2008/09/19)、これは外部からはよく理解できない基準だ。Googleマップでは現在、ズームを最大にするとストリートビューに切り替わるようになっている。ストリートビューをどうしてもユーザーに使わせたいようだけれど、これでは本来の地図や航空写真が使いづらくてかなわない。


「変態新聞」の名前をほしいままにした、毎日新聞の尻ぬぐい

 今年、ネットでは「変態新聞」とあだ名をつけられてしまった毎日新聞。きっかけは、毎日新聞が公開していた海外向けWebページ「WaiWai」だ。真偽不詳の怪しげな記事を長年にわたって公開していた(2008/06/19)。日本の代表的新聞社の名前で公開していたものだから、冗談も真実のようになり、日本に関するいびつな情報が世界中に伝わってしまった。今から思えば、そこまではまだ大した問題ではなかったようだが、その後、毎日新聞は記事を訂正することなく問題のWebサイトを閉鎖。検索サイトにも現れないように設定を変更するなど(2008/07/10)、誤解を解く努力を放棄して、新聞社のメンツを最大限に保とうとしたように見える。これが「変態新聞」の評価を確定させてしまったようだ。11月に起こった元厚生事務次官の殺傷事件に関しては、ウィキペディアの編集時間を読み間違えて、大々的に誤報を流してしまった。そして誤報を訂正する「おわび」記事では、被害者ともいえるウィキペディアの執筆者に責任をすっかり転嫁するような記述にした(2008/11/20)。この執筆者との面会では「毎日新聞は正義」とも言われたという(2008/12/01)。悲しいまでに、裏目に出た尻ぬぐいの行動だった。


今年、本当に注目していたのはこれだ!

 以上、なんとかまとめたわけだけれど、筆者が内心、一番注目していたのは「ダムカード」だったりする(2008/01/18)。1月に紹介したときには、今年1年でそれなりにブレークしてほしいと願っていたのだけれど、12月になってから車載撮影の動画を1本紹介しただけで今年が終わりそうなのが非常に残念だ(2008/12/03)。そもそも筆者も私事で忙殺されていたため、ダムに出向くことができず、カードを1枚もゲットできなかった。来年こそ、ダムカードが広まる良い1年でありますように。


関連情報

URL
  やじうまWatch
  http://internet.watch.impress.co.jp/static/yajiuma/

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やじうまWatchで振り返る2007年(前編)(2007/12/26)
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( めたるまん(山崎一幸) )
2008/12/26 16:12

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