雑誌を記事単位でネット配信、2011年実用化に向けポータル開設へ
2009年度実証実験のイメージ |
実証実験の流れ |
出版社やIT関連企業、広告代理店などが参加する「雑誌コンテンツデジタル推進コンソーシアム」は11日、雑誌コンテンツをネット配信するプラットフォームの実証実験の概要を発表した。雑誌専門のポータルサイトや著作権処理ルールなどを検討し、2011年度の事業化を目指すという。
実証実験では、雑誌コンテンツを記事単位で配信するためのポータルサイトを2010年1月上旬に構築。雑誌コンテンツのデータは印刷会社に提供してもらい、出版社側で書籍情報や検索情報などのメタデータを付与した上で配信する。
ポータルサイトで雑誌コンテンツを選ぶ方法としては、雑誌名別やキーワード検索、新着記事/雑誌、注目キーワード(タグクラウド)、レコメンド、人気ランキング、全文検索、見出し検索、ジャンル検索などを想定している。
記事の閲覧方法については、Adobe Readerや既存のビューワーのほか、コンソーシアム独自のインターフェイスも検討。実証実験の初年度ではPCを対象に、2年目は携帯電話やスマートフォン、電子書籍専用端末にも配信する。
実証実験のモニター参加者は、雑誌広告や日本雑誌協会のWebサイトなどを通じて12月中旬まで募集する。定員は1500人以上としているが、11月10日時点で応募件数は3467件に上るという。モニター参加者は、与えられたポイントで雑誌コンテンツを購読する仕組み。
雑誌専用ポータルサイトのイメージ案 | 実証実験モニターの募集状況 |
●雑誌記事の権利処理、出版社への集約化図る
弁護士で新潮社の法務対策室に所属する村瀬拓男氏 |
コンソーシアムの議長を務める集英社の大久保徹也氏 |
コンソーシアムでは、雑誌コンテンツのデジタル化に際して必要な著作権処理ルールのガイドラインも策定する。具体的には、雑誌コンテンツのネット配信に伴う権利処理を、出版社で一括処理するための仕組みを検討する。
弁護士で新潮社の法務対策室に所属する村瀬拓男氏によれば、出版社が雑誌記事の執筆を外部の著者に依頼する際には、雑誌掲載時の原稿料のみを支払うことが多く、ネット配信などの二次利用に必要な権利処理が行われることは少ないという。
実証実験への参加を表明している雑誌は「AERA」(朝日新聞出版)、「週刊現代」(講談社)、「週刊プレイボーイ」(集英社)、「日経トレンディ」(日経BP社)、「週刊文春」(文藝春秋)、「DOS/V POWER REPORT」(インプレスジャパン)など50社100誌。
出版社以外ではヤフーや楽天、ニフティ、KDDI、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、アドビシステムズ、インテル、ソニー、シャープ、パナソニック、富士通、ビデオリサーチ、凸版印刷、トーハン、日本出版販売、電通、博報堂など44社が参加を表明している。
コンソーシアムの議長を務める集英社の大久保徹也氏は11日に開かれた総会で、「マルチデバイスに対応したファイルフォーマットで雑誌コンテンツのアーカイブを作りたい。雑誌コンテンツがデジタルでも存在理由があることを実証したい」と意気込みを語った。
関連情報
(増田 覚)
2009/11/12 06:00
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