MSが若者向けWindows Phone「KIN」発表、ソーシャル機能に特化


 米Microsoftは12日、ソーシャル機能に特化した若者向けWindows Phone「KIN」を発表した。端末はシャープが製造し、携帯キャリアについては米Verizon Wireless、英Vodafoneと提携する。5月には米国で、秋からは英国、ドイツ、スペイン、イタリアで発売する。価格などはまだ明らかにしていない。

 Microsoftのエンターテインメント/デバイス部門担当プレジデントであるRobbie Bach氏は発表会において、この端末が若者世代に向けたものであることを説明した後、この世代の特徴は「友人、友人、そして友人だ」と述べた。そのため、KINは若者の友人関係や会話の中心となっているソーシャルネットワークに焦点を合わせ、他の機能についてはほとんど紹介されなかった。同社が2月に発表した「Windows Phone 7」が多機能スマートフォンであるのに対して、KINはプラットフォームこそWindows Phoneではあるが、ソーシャル機能に特化している。


今回発表された「KIN」端末2種「KIN」のロゴ

友人の近況アップデートをホーム画面に表示

 KINのインターフェイスはシンプルだ。ホーム画面にはいつも友人の近況アップデートが表示されており、この画面は「KIN Loop」と呼ばれる。また、画面中央下に小さい緑色の丸があり、これは「KIN Spot」と呼ばれる。

 KIN Loopの近況アップデートは、FacebookやMySpace、Twitterなどサードパーティから取得する。自分の最も近い友人、最近は会っていないがネットワークに登録している友人、フォローしている有名人、ソーシャルネットワークで知り合った友人など、友人にもさまざまな種類があるが、KIN Loopではアルゴリズムに基づき自分に近い友人の近況アップデートを優先的に表示し、リアルタイムに次々と更新していくという。画面はマルチタッチ画面となっているため、その場でタッチして返信することも可能だ。

 近況アップデートや写真、動画などを共有したい場合は、共有したいものをKIN Spotの上にドラッグ&ドロップするだけでよい。KIN Spotはドロップされたものを自動的に識別し、適切な処理を行う。

コンテンツはクラウドに保存

 KINでは、受信したすべての近況アップデートやタイムライン、自分が投稿したすべてのコンテンツをクラウドに保存する。これは「KIN Studio」と呼ばれ、ブラウザーからでもアクセスできる。ブラウザーからアクセスしたKIN Studioにはタイムラインが表示され、そこから時期を指定すると、その時期に自分が投稿したすべてのコンテンツ、受信したタイムラインや近況アップデートを表示できる。そこからコンテンツを共有することも可能だ。

 すべてのコンテンツはクラウドに保存されるため、端末のメモリー残量を気にする必要がない。また、端末を乗り換えたり、なくしたりした場合にも、コンテンツを失うことがないというメリットを強調している。

携帯音楽音楽プレーヤー「Zune」を統合

 KINは、携帯音楽音楽プレーヤー「Zune」をWindows Phoneとして初めて統合した。サブスクリプション制の「Zune Pass」に加入していれば、Zuneに登録されている数百万曲をその場でストリーミングで聞くことができる。また、自分の保有している楽曲を保存しておくことももちろん可能だ。FMチューナーも内蔵している。

 KINにはブラウザーが内蔵されており、Microsoftの検索エンジン「Bing」でWeb検索、ローカル検索を行い、地図を表示させることなどが可能だ。

端末は2種類、QWERTYキーボードを装備

 今回発表された端末は、「KIN ONE」と「KIN TWO」の2種類。KIN ONEは丸みを帯びたデザイン、KIN TWOは大きなワイド画面で、両端末ともスライドアウトするQWERTYキーボードを搭載。KIN ONEでは片手での入力を、KIN TWOは両手での入力を想定している。また、両端末ともマルチタッチ画面を装備する。

 KIN ONEでは、5.0メガピクセルカメラでSD品質動画を撮影可能、KIN TWOでは8.0メガピクセルカメラで720pのHD画質動画を撮影可能だ。両端末ともにLEDフラッシュを搭載し、夜間や暗い場所でも明瞭な画像を撮影できる。撮影した画像は自動的にジオタグが付与されるため、画像および動画を撮影した場所を「Bing Maps」で確認できる。


KIN ONEKIN TWO

KIN ONEKIN TWO

 KIN ONEにはモノラルスピーカー、KIN TWOにはステレオスピーカーを搭載している。KIN ONEはメモリー4GBで約1000曲を保存可能、KIN TWOはメモリー8GBで約2000曲保存可能だ。

 Microsoftは2008年に携帯端末サービス企業のDangerを買収した。今回発表したKINは、このDangerから得たノウハウや技術を利用し、一から開発した端末だとしている。若者にターゲットを絞ったため、「金曜日の朝から月曜日の朝まで」使用できる電池容量があるとしている。また、価格帯も若者が入手しやすい値段にしたい意向だ。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2010/4/13 12:09