電子書籍を1冊から紙の書籍化、富士ゼロックスが印刷・製本・断裁システム


 富士ゼロックス株式会社は31日、書店や大学図書館向けの「電子書籍出版システム」を2012年1月31日に発売すると発表した。電子書籍データをオンデマンドで印刷・製本・断裁して、紙の書籍を1冊から作成できる。同社によれば、その場で1冊から製本まで行えるシステムで、書店の店頭などに設置できる規模の製品としては国内初だとしている。

電子書籍出版システム

 富士ゼロックスの業務用プリンター「4112 Light Publisher」と、米On Demand Booksの製本後処理機「Espresso Book Machine」を組み合わせたシステム。製本可能サイズは、127×114mmから267×210mmまで。製本可能枚数は、1冊あたり20枚から415枚まで(厚さが最大47.6mmまで)。例えば200ページの書籍を1冊製本するまでにかかる時間は、5分前後だという。

 設置スペースは約2平方メートル。標準価格は、4112 Light Publisherが798万円、Espresso Book Machineが1350万円(いずれも税別)。別途、搬入設置調整料金や関連品が必要だ。富士ゼロックスでは年間50台の販売を目指す。

 書店または大学図書館が別途、On Demand Booksのクラウドサービスを契約すれば、同クラウド上の電子書籍ライブラリを利用することが可能。同ライブラリには、GoogleやLightning Sourceによる洋書を中心とした数百万冊の電子書籍が含まれる。書店などでは、絶版本や希少本も紙の書籍として店頭で販売できるようになるとしている。

 このほか、書店に持ち込まれたデータ(PDFフォーマット)も製本できるため、自費出版への活用も考えられるという。

 また、大学図書館では昨今、学術論文の多くはデータで保管されているが、このシステムにより少部数でも製本でき、資料としての利用価値が高まるほか、スキャンしてデータで保存されている著作権の切れた書籍なども再度、紙の書籍化することで活用しやすくなるとしている。


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(永沢 茂)

2011/10/31 14:40