医薬品ネット販売訴訟、販売権を認めた控訴審判決を不服として国が上告


 一般用医薬品のネット販売を禁止した厚生労働省の省令は違法だとして、ケンコーコム株式会社と有限会社ウェルネットの2社が販売権などの確認などを求めていた裁判で、厚生労働省は9日、2社の販売権を認めた東京高等裁判所の控訴審判決を不服として上告した。

 改正薬事法の施行に伴い、厚生労働省では省令(平成21年厚生労働省令第10号)で、一般用医薬品のうちリスクの高い「第1類」「第2類」の医薬品については対面販売が必要として、インターネットなどによる通信販売は原則として行えないとする規定を定めた。これに対して、ネット販売業者のケンコーコムとウェルネットは、改正省令は違法なものだとして、2009年5月に国を相手として、医薬品の通信販売を行える権利の確認や、省令が無効であることの確認などを求める行政訴訟を起こした。

 一審の東京地方裁判所は2010年3月、ケンコーコム側の主張をいずれも退ける判決を言い渡し、これを不服として2社が控訴。2012年4月26日の控訴審判決では一審判決を取り消し、医薬品のネット販売を禁止した規定は、薬事法から省令への委任範囲を超えているものだとして、2社にネット販売の権利を認めた。

 厚生労働省では上告の理由について、「委任の範囲を超えるとの東京高裁の法律判断が妥当とは言い難いといった問題があると考えており、さらに十分な法的議論を尽くすべく最高裁の判断を仰ぐ必要があると判断した」とコメントしている。


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(三柳 英樹)

2012/5/10 12:10