ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年9月9日


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衛星インターネット通信に新たな方式:TRW
モーバイルインフォサーチ実験
余談3題:ADSL実験/汎用モバイルサーバー/ブラウザーとメール/休刊連絡



[衛星データ通信][方式申請](レベルA'
衛星インターネット通信方式にまたひとつ新顔が加わる


 日経新聞9面には、米総合製造企業で衛星も手掛けるTRW社が、米連邦通信委員会(FCC)に対して高速データ通信を行う衛星システムの方式を申請したという記事が掲載されている。9月4日のTRW社のニュースリリースの記載では、静止衛星を使った全世界的な超高速データ伝送システムとなり、無線周波数はEHF帯である37.5GHz~50.2GHzを使い、インターネット通信への用途を重視した、最低1.5Mbpsから最高3Gbpsの伝送速度を実現するとなっている。
 既に、同様な衛星を使った高速データ伝送システムとしては、米MSボーイング社が出資しているテレデシックや米ヒューズ社の「SPACEWAY」(1月9日のWatchリポート参照)、米モトローラが推進する「Celestri(セレストリ)」(6月18日のNEWS Watch及び7月30日のWatcherリポート参照)、米ローラル仏アルカテル共同で開発するシステム「サイバースター」構想「スカイブリッジ」構想を統合したもの:6月20日のNEWS Watch参照)など、FCCに申請された方式としてはかなりの乱立状態にあり、そこに今回新たなシステムが登場した事になる。
 他にも、EHF帯の無線周波数を使うような高速データシステムとしては、気球を主要都市上空約20kmに気球を静止させるような、米スカイステーション・インターナショナルの構想(3月3日のNEWS Watch参照)や、30GHz前後のミリ波帯を使った郵政省の飛行船通信システム開発(5月26日のNEWS Watch参照)などもあり、我々の頭の上から数々のデータ電波が降り注ぎそうな予感もある。しかし、これらの中で最終的に生き残れるシステムは1~2個ぐらいが良いところで、地上の高速データ通信の発展如何では、無用の長物と化す可能性も充分にあるだろう。



[PHS][位置情報](レベルB9月9日のINTERNET Watch-Web参照
NTTのモーバイルインフォサーチ実験


 日刊工業新聞11面及び日経新聞13面&日経新聞13面には、NTTとNTTパーソナル中央が19日から、PHSの位置情報を利用したインターネットサービス実験「モーバイルインフォサーチ」を開始するという記事が掲載されている。9月8日のNTT及びNTTパーソナル中央のリリースの記載では、今年7月からスタートした「PHS位置情報提供サービス」と、今回新たに開発した「位置情報エージェント技術」により、PDAなどをPHS接続したユーザーに対して現在位置を自動的に送信して、その地区の地図や店舗情報などをWWWサーバーから検索、提供する実験となるようだ。この実験が9月19日から12月末日まで行われることから、その前の9月11日と12日の両日、池袋サンシャインで開催される「EC・情報流通フォーラム」での展示は、興味がある方にはグッド・タイミングとなるだろう。
 こんな中、今年8月のPHSの新規加入が大幅に落ち込んだという記事が、日経新聞11面&日経新聞9面及び日刊工業新聞11面に掲載されており、PHS業界が音声通話市場での乱売体質から抜け出し、今回のようなデータ通信市場への着実なる拡大を目指している理由も、この落ち込みを見込んでのこととも言えそうだ。




余談その1:ADSL実験5月21日のINTERNET Watch関連記事参照)
 日刊工業新聞1面には、NTTが9月から、ADSLの商用化実験を行う方針を明らかにしたという記事が掲載された。約1年間、実際の利用状況での実験を行い、結果の外部発表もするようだ。
 これは、8月28日のINTERNET Watchで報告された、長野県伊那市におけるxDSL技術公開利用実験を、9月から開始する件に対抗する措置と思われる。伊那市の実験には、KDDが協力しており、実験では「NTTの回線に頼らない有線放送電話網を利用する」といった部分が一番の引っかかりと思われる。

余談その2:汎用モバイルサーバー
 日刊工業新聞10面には、通信ソフトのインターコムが、Web機能を持つPDAなどで汎用コンピュータのデータを直接利用できるサーバソフト「FALCONモバイル・サーバー」を開発したという記事が掲載された。SHARPのザウルスやNECのモバイルギヤ、CASIOのカシオペアによるデモを、9月24日から千葉・幕張メッセで開催される「World PC Expo97」にて行うようだ。
 汎用コンピュータの活用には本家のIBMも、UNIX/WindowsNTの導入やロータスノーツをブラウザーに利用して汎用コンピューターをインターネット対応型にする(3月7日及び6月18日のNEWS Watch参照)試みを実行するなど、イントラ/エクストラネットへの用途拡大を図っており、今回のようなモバイルへの応用技術も、企業などにおけるコンピュータ資産の有効利用につながるだろう。

余談その3:ブラウザーとメール
 日経産業新聞9面には、富士通ビー・エス・シー(富士通BSC)が、ブラウザー上で電子メールを利用できるメールシステムを構築するためのサーバー側に組み込むソフト「ブラウザメール」を開発したという記事が掲載された。このソフトを使えば、メールとブラウザーの機能統合が可能で、メール用ソフトで問題となる複雑な設定作業が省略できるので、イントラネット向けということらしい。
 同社は他にも「OASYSエクスプローラ」とか「MRofficeのExchange版」など、機能統合されたソフト製作を得意としているようだ。ブラウザメールも同社の他ソフトと同様に、「World PC Expo97」にも出展されると思われる。
(ブラウザーにもともと付属しているメール機能が、そんなにも使いにくいということなのだろうか...(^_^;)

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