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「文化庁の独走を許すな」池田信夫氏らがダウンロード違法化に反対


緊急シンポジウムの模様はストリーミング放送されたほか、YouTubeやニコニコ動画でも公開される予定だ
 インターネット先進ユーザーの会(MIAU)は26日、文化庁から「違法複製物や違法配信からのダウンロード行為を違法化(以下、ダウンロード違法化)することはやむを得ない」との見解が示されたことを受け、「ダウンロード違法化の是非を問う」と題した緊急シンポジウムを開催した。

 シンポジウムには、IT・音楽ジャーナリストで私的録音録画小委員会の専門委員を務める津田大介氏や、AV機器評論家の小寺信良氏らMIAU発起人のほか、上武大学大学院経営管理研究課教授の池田信夫氏、弁護士の小倉秀夫氏、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構専任講師の斉藤賢爾氏らが参加。それぞれ、経済や法律、技術的な観点からダウンロード違法化の問題点を指摘した。

 18日に開かれた私的録音録画小委員会の2007年第15回会合では、事務局である文化庁著作権課の川瀬真氏が、「客観的に見ても、違法着うたサイトやファイル交換ソフトで、適法配信を凌駕するような複製が行なわれていることは事実」と指摘。これらの複製行為がなければ、ユーザーの購買につながるかどうかは定かではないとしながらも、権利者に対価を支払わない“フリーライド(ただ乗り)”の典型であると述べ、違法複製物や違法配信からのダウンロード行為について、私的使用のための複製を認める著作権法第30条の適用範囲から除外し、違法行為とするとの考えを示していた。

 これに対してMIAUは19日、私的録音録画小委員会の議論をまとめた中間整理について募集したパブリックコメントでは、ダウンロード違法化に対する反対意見が多数を占めていたにもかかわらず、多数意見への具体的な配慮措置をせずにダウンロード違法化を認める見解を示した文化庁を非難。こうした文化庁の動きに反対する活動として、今回の緊急シンポジウムを開催するにいたった。


小倉秀夫氏「ダウンロード違法化で著作権法が“情報統制法”になる」

弁護士の小倉秀夫氏
 ファイル交換ソフトや違法着うたサイトを使って、楽曲や映画、ゲームソフトなど他人の著作物を無許諾で不特定多数に配信することは、著作権法で禁止されている。しかし、そうした違法コンテンツであっても、ダウンロードする側は法的責任を問われることはなかった。自らのブログ「benli」などを通じてダウンロード違法化に反対している弁護士の小倉秀夫氏は、ダウンロード行為を取り締まることの問題点について、法的な観点から次のように説明する。

 ダウンロード行為を取り締まるにはまず、ダウンロードしたユーザーのPCのHDDを調べる必要があるが、当然ながらHDDの内容は不特定多数に公開されていない。また、ユーザーを特定するためのIPアドレスについても、ダウンロード行為時のIPアドレスを第三者が知る方法は技術的に存在していないという。こうしたことから小倉氏は、ダウンローダーの探知は困難であると指摘する。

 残された手段としては、権利者などが「違法ダウンロードしてそうだ」という市民に目をつけ、裁判所による証拠保全手続きを用いて、市民が使用するPCのHDDをコピーすることだ。しかしこの場合では、該当ファイル以外のデータも証拠保全としてコピーされるため、一般市民のプライバシーが著しく害されることになる。「権利者側はそこまで考えていないかもしれないが、国民の意思に反してまでダウンロード違法化を進める以上、権利者が権利行使しないことを担保するものは何もない」。

 なお、文化庁では法改正が行なわれてダウンロード違法化が実現した場合のユーザー保護措置として、権利者などに適法配信サイトであることを示す識別マークを普及させるという見解を示している。この識別マークについて小倉氏は、海外のサイトに識別マークを付けてもらうことは難しいことから、“情報鎖国”につながると語る。また、識別マークを使わないインディーズや識別マークの申請が困難なアマチュアがアップロードしたファイルの流通を阻害する恐れもあるため、表現の自由や知る権利に重大な危険が及ぶ可能性があると警告した。

 著作権法が改正された場合の懸念点としては、日本音楽著作権協会(JASRAC)をはじめとする権利者側が、一般市民が知って良い情報と知るべきではない情報をコントロールできることになると指摘。「著作権法が“情報統制法”に変わる危険がある」として、著作権法の位置づけ自体が変わることへの警鐘を鳴らした。


ダウンロード行為を取り締まるには それでもダウンロード行為を取り締まるには

池田信夫氏、ファイル共有による経済的不利益を否定「社会全体ではプラス」

上武大学大学院経営管理研究課教授の池田信夫氏
 「日本経済にとっての意味」という経済的な視点からダウンロード違法化の問題点を解説した池田信夫氏は、経済学で最も権威があるというシカゴ大学の経済誌に掲載された「Oberholzer-Gee and Strumpf」という研究結果を引き合いに出し、ファイル共有が権利者にとって経済的不利益を与えているという事実はないと訴えた。

 この研究は、ファイル共有によって生じる音楽家とレコード会社の「機会損失(C)」と「宣伝効果(B)」および「消費者の効用(U)」を測定したもの。それによれば、ファイル共有によって楽曲が売れなくなる「機会損失」を確認できたものの、その一方でファイル共有で楽曲を視聴することでCDやDVDの購入に至る「宣伝効果」も認められ、そのバランスに大差はなかったという。

 「B≒Cならば、B+U>Cとなるはず。つまりファイル共有には、消費者が普段入手できないコンテンツを楽しむ『U』の部分があるため、全体の効用としては、ファイル共有は社会全体にとってはプラスになっているのではないか。業者は機会損失しか見ていないため、ファイル共有は不利益かもしれない。しかし、法律は業者が作るものではなく、政府が作るもので、政府は社会全体の利益を増進すべきだ。」

 また、ダウンロード違法化が日本経済に与えるダメージとしては「萎縮効果」を指摘。池田氏は、個人情報保護法の施行によって多くの企業でコンプライアンス意識が高まっていることを挙げ、ダウンロード違法化が認められた場合にはその意識はさらに高まり、企業では違法の可能性があるサイトの閲覧を一律禁止するなど、「WWW使うのはやめましょうとなる恐れもある」と語る。このような萎縮効果は実際の損害よりも遙かに大きく、日本経済へのダメージは数兆円規模に達するとの考えを示した。

 萎縮効果の影響としては、動画共有サイトをはじめとする著作権法的に“グレー”なサービスが、成り立ちにくくなることも意味する。海外に目を向けると、10年前には存在しなかったGoogleの時価総額は約20兆円に上るが、日本では著作権法を「異様に厳密に」運用したことで、検索エンジンのサーバーを国内に設置できないなど、新たなサービスへの芽が摘まれてきたと指摘。池田氏は、「政府が新たな価値を生み出して成長力を高めろと言っているのに、成長を阻害するような政策を文化庁が進めている」と述べ、日本経済全体の観点から見て、ダウンロード違法化は愚かな政策であると訴えた。


ファイル共有の「経済的不利益」について ダウンロード違法化が日本経済に与える影響

斉藤賢爾氏「ダウンロード違法化は情報の価値を制限する」

慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構専任講師の斉藤賢爾氏

技術的観点から見たダウンロード違法化の問題点
 技術的な観点からダウンロード違法化の是非を説明した斉藤賢爾氏は、「情報は複製されてはじめて価値を生む」と語る。ユーザーの複製に制限をかけることは、価値の生まれ方に制限をかけることであると指摘し、「ダウンロード違法化は、情報の価値を制限することになる」と主張した。

 技術的な視点から見た問題点としては、1)ストリーミングとダウンロードは区別できない、2)録音・録画とその他の情報の記録は区別できない、3)情を知っているかどうかは区別できない――の3点を挙げる。

 ダウンロード違法化をめぐる議論では、ストリーミングによる視聴については違法ではないとの見解が文化庁から示されている。1)について斉藤氏は、両者を分けているのは情報の複製先であり、両者は情報を扱うソフトウェアの処理次第でどのようにも組み替えられると指摘する。

 2)については、デジタルが0と1で表現された情報であることを示した上で、音と画像を区別するのはデジタルデータの解釈の違いであると指摘。ダウンロード違法化に関しては、現在のところ「録音録画物」を対象に議論が進められているが、録音録画物と他の情報記録を区別することはできないとした。3)に関しては、違法サイトであることをユーザーが認識していたかどうかは主観の問題で、第三者が判断するには状況的証拠によるしかないとした。


津田大介氏、「DRM普及で補償金廃止」はSF的な近未来の話

IT・音楽ジャーナリストの津田大介氏
 続いて行なわれたパネルディスカッションでは、18日に開かれた私的録音録画小委員会で、文化庁が「デジタル著作権保護(DRM)技術の発達と普及に伴い、私的複製を認める著作権法第30条の適用範囲を縮小し、補償金制度も廃止する」との見解を示したことについて、モデレーターを務めた小寺氏が「非常に大きな問題だと思う」と指摘。この問題に関してパネリストに意見を求めた。

 18日に文化庁が提出した資料によれば、ユーザーの私的複製を管理できるDRM技術が普及した段階で、娯楽目的の私的複製への対価を契約ベースで徴収することにより、補償金制度を廃止するとしている。ただし、DRMが普及する段階については「20XX年」としており、具体的なスケジュールは記されていない。

 この点について斉藤氏は、「すべてのDRMは解除可能」と述べ、この事実に基づいて政策を考えているのかと疑問を呈した。「20XX年というのはある種SF的な近未来。現実問題として、DRMはたいてい破られる」と同感する津田氏は、「えぐい話」として、DRM技術が開発される過程において、DRMを解除するための情報が流出するケースが少なくないと指摘する。

 「DRMは、各国の企業が参加するフォーラムで、暗号化情報などを共有してフォーマットを作っている。しかし、ある国ではフォーラムに加入してDRMの情報を盗んでから潰れるペーパーカンパニーがあり、その会社からDRM解除ツールが流出した事例もある。また、リバースエンジニアリングで技術的に解除されることもある。マイクロソフトが『絶対に破られない』としていたWindows Media DRMも簡単に外された。このようないたちごっこが続く中、DRMと契約ベースで完全に権利者も消費者も納得する世界は来ないのでは。」(津田氏)

 小倉氏は、文化庁が示すDRMが権利者と消費者の当事者間による契約であることを示した上で、「契約を結ばない権利者の著作物についてはどうするのか」という疑問を投げかける。また、著作者が死亡してしまった著作物についても、どのように契約を結んでDRMによって利用できるようになるかも不明であるとして、文化庁の構想は土台無理であるとの考えを示した。

 さらに小倉氏は、DRM技術の普及に伴い著作権法第30条第1項の範囲が縮小され、最終的に廃止された場合には、裁判所が家庭内で行なわれている私的複製に介入することになると指摘。「例えば、PCに関しては『使い方を開示しろ』ということになるし、手で書き写すことについても『ノートを見せろ』となる。子供が勝手に絵描き歌に従ってドラえもんの絵を描いてもアウトになる。30条1項がなくなると、そういうことになる」。


著作権は情報通信政策と整合的に進めるべき、池田氏が文化庁の“独走”を批判

 現時点でのコンテンツに関する行政のあり方について小寺氏は、「著作権を所管している文部科学省の一部門である文化庁が、総務省と経済産業省をコントロールしている状況に見える」と問題提起した。これに対して池田氏は、かつて経済産業省の外郭団体である経済産業研究所で法案作成にかかわってきた経験として、「霞が関の中でも文化庁は孤立している存在。経産省と総務省は文化庁の独走に手を焼いている」との持論を展開した。

 例えば2004年には、海外で適法に生産され、日本国内よりも安価で販売されている邦楽CDの逆輸入などを禁止する「レコード輸入権」が著作権法で認められたが、その際には流通を促進して産業を振興する立場の経済産業省と、文化庁で意見が対立。そこで経産省は、レコード輸入権を認める代わりに、レコードの再販制度を廃止してもらうという「おかしな口約束をしたが、ふたを開けてみると、輸入権だけが閣議決定されて再販制度はそのまま。経産省が騙されたかたちだが、この手のことは多い」(池田氏)。

 総務省では現在、通信・放送にかかわる現行法制を「情報通信法(仮称)」として一本化し、通信と放送という縦割りの構造から、インフラやコンテンツといったレイヤー構造への転換を打ち出しているが、経産省もこれに賛同しており、「情報通信を所管している省庁では、通信と放送の区別をなくすべきと考えている」状況だという。

 こうしたことから、DRMと契約ベースで著作権処理を行なうことで、将来的に私的録音録画補償金を廃止するという文化庁の構想は、通信(自動公衆送信)と放送を区別する法体系を残したまま、通信だけに煩雑な権利処理を強要するものであると指摘。「これ以上狂った政策を続けて良いのだろうか」とし、著作権は神社仏閣を相手にする役所が扱うことではなく、情報通信政策と整合的に進めるべきものだと訴えた。


法律の解釈は役所の都合で決められる、将来的にはストリーミングも対象に?

 このほか津田氏は、ダウンロード違法化の議論では、「ストリーミングは対象外」「刑事罰は適用されない」「民事訴訟をするとしても、立証責任は権利者側にある」などの利用者保護措置が文化庁から示されているが、私的録音録画小委員会では、権利者側がYouTubeやニコニコ動画などの動画共有サイトにアップロードされる違法動画をなくすことを求める発言が多く見られると指摘。今後は、さらなる規制強化を望む権利者側から、ストリーミングを対象にしたり、刑事罰も適用して欲しいという話が出てくるかもしれないとの懸念を示した。

 法律が最初の立法主旨から変わってくる可能性について池田氏は、「日本の法律は、本体が割と抽象的で、政令や省令は国会を通さないところで役所が都合の良いように決めている。さらに、官僚がガイドブックなどに記載する逐条解釈というものがあって、裁判所ではなく役所が法律の解釈を決められる」とコメント。津田氏の懸念が現実になる可能性は十分にあると話した。

 民事訴訟の立証責任は権利者側にあるという点について小倉氏は、「(この見解を示した文化庁著作権課の)川瀬室長は『なかなか行使されないので、ユーザーに不利益なことは起こらない』と言っていたが、裏を返せば、行使されれば、ユーザーに辛いことが起きるということ」と指摘。「権利は行使されないから安心してね」という言い方で弊害が大きな権利を創設することは、間違っているとの考えを示した。


ダウンロード違法化の勝負はまだ付いていない

AV機器評論家の小寺信良氏
 会場からの質疑応答では、私的録音録画小委員会のパブリックコメントに7,500件の意見が寄せられたことに対するMIAUメンバーの感想が求められ、小寺氏は「MIAUではジェネレーターを作ってパブコメ出してもらうようにしたが、ログを残していないのでジェネレーター経由の数は把握していない。ただし文化庁では、MIAUが用意したテンプレートを使った意見数を言及したことから、テンプレートの善し悪しは今後研究して、次回このような機会があれば改善していきたい」と回答した。

 これに補足するかたちで津田氏は、「レコード輸入権の時には権利者側から動員をかけられ、結局賛成多数ですんなり通った事実があった。少なくとも、僕らもテンプレートを公開する是非は理解している。パブリックコメントの数については、反対意見の6,000通のうち7割がテンプレートと言われているが、これは3割の人が自分の意見で書いてくれたということ。賛成派もテンプレートで送ってきている人が多いと聞いたので、それを言及しないのは若干不公平かなと思いつつ、権利者側の賛成意見よりも自分の言葉で書いた意見が総数として上回ったことは大きな意義だと思う。この問題が話題になったことで、著作権に対してネットユーザーに目を向けてもらえたことも大きい」と答えた。

 また、小倉氏の12月19日付のブログで、民主党の川内博史議員と公明党の山口那津男議員に対して、ユーザー代表との意見交換の場を設けてもらうメールを出したことが記載されていたが、その見込みについての質問も上がり、小倉氏は「年内は無理だが、年明けにはお会いできるかもしれない」と答えた。会場に詰めかけた聴衆には、「国会議員の知り合いの知り合いがアルカイダなくらいですから、みなさんも友達の友達に国会議員がいたら、是非呼びかけて欲しい」と要請。ダウンロード違法化については現時点で自民党の部会決定すら出ていないので、反撃のチャンスはあると訴えた。

 ダウンロード違法化が決定する可能性については、池田氏も「勝負は付いていない」と同意する。「この問題を法案として出すのは、今の国会情勢では相当困難だろう。また、特に民主党はこの種の問題について『おかしい』と考える人は結構いる。民主党にとっても、若者や都会の有権者など、彼らが狙っている層にアピールするチャンス。民主党にうまく働きかければ可能性は十分ある」と語った。


「殴り合い」ではないポジティブな提案も必要

MIAU協力会員がMIAUの名前を出さずに実施したアンケート
 なお、MIAUの協力会員がMIAUの名前を出さず、「はてな」で実施したアンケートによれば、「違法に配信された録音録画物をダウンロードする行為を違法とすることに、賛成ですか、反対ですか」という質問では、賛成が10.7%、反対が70.0%、わからないが19.3%だった。「私的録音録画小委員会の出した結論は、パブリックコメントで寄せられた意見を十分に反映したものだと思いますか」という質問にでは、反映しているが10.8%、反映していないが61.9%、わからないが27.2%だった。

 この結果について小寺氏は、ネットアンケートという特性上、ダウンロード違法化に反対する意見が多いことは想定していたとしたが、「わからない」「どちらとも言えない」という回答が予想以上に多かったとコメント。ダウンロード違法化は、「違法にアップロードされたものをダウンロードするのは違法」という言い方をされると、思考停止に陥ってしまいがちだが、問題意識の高い人が情報発信することで、何が問題になっているかをわかりやすく伝えていく必要があると述べた。

 このほか、権利者側は「MIAUが『違法ダウンロードを助長する団体』」と見ているフシがあるという指摘もあった。これに対して津田氏は、「ある程度の批判を受けることは仕方ない。我々には時間がなく、リソースもない。しかし、僕らがやりたいことは、このようなシンポジウムを通じて、文化庁が進めようとしている方策の問題点を法律や経済、技術の側面から洗い出すこと」と回答した。

 今後のMIAUの活動については小寺氏が、「殴り合いの末で決着して落としどころを見つける」ということよりも、現状ある魅力的なサービスを積極的に利用していくように声を上げていきたいと説明。その具体例として、DRMフリーの楽曲を配信するアップルの「iTunes Plus」を挙げ、「補償金なし、DRMなしを体現している」と評価。また、ニコニコ動画でも、初音ミクの動画によって「Perfume」のCDがヒットするなどの経済活動を紹介したり促進することは、MIAUが違法ダウンロード推進派と見られないようにする方法論のひとつかもしれないと語った。


関連情報

URL
  緊急シンポジウム「ダウンロード違法化の是非を問う」開催のお知らせ
  http://miau.jp/1198252800.phtml
  benli(小倉秀夫氏のブログ)
  http://benli.cocolog-nifty.com/
  池田信夫 blog(池田信夫氏のブログ)
  http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/

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( 増田 覚 )
2007/12/27 20:28

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