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未成年者の携帯“フィルタリング原則化”、課題は山積み、効果も疑問


 慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ総合研究(DMC)機構が21日、「インターネット上の安全・安心に関する緊急フォーラム−未成年者向け携帯フィルタリングサービス原則化の是非を問う−」を開催した。総務省の担当課をはじめ、高校生らに人気の携帯サイト「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)らが出席。未成年者が使用する携帯電話の“フィルタリング原則化”を総務大臣が携帯キャリアに要請し、これが実行された際の問題点について議論した。

 この要請は、2007年12月10日に出されたもので、各携帯キャリア側もすでにこれを受けて施策を発表している。しかし、適用されるフィルタリングポリシーがキャリアごとに一律で、ユーザーごとにカスタマイズできないレベルのものであることなど、問題点が指摘されている。また、コミュニティ機能のあるサイトが、自殺サイトや出会い系サイトなどと同じカテゴリーに分類されているために、SNSのあるモバゲータウンをはじめ、例えば地域のスポーツサークルで開設している掲示板なども遮断されてしまうとして、モバイルコンテンツ業界に大きな影響を与えると同時に、ユーザー側の利便性の問題も指摘されている。

 この要請が出されたタイミングも波紋を呼んだ原因だ。総務省では11月26日に「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の第1回会合を開き、学識経験者や携帯キャリア、コンテンツプロバイダーなどを交えながら、対策の検討を開始しようとした矢先だったためである。

 今回のフォーラムは慶應義塾大学三田キャンパスで行なわれ、200名以上が参加。会場はほぼ満席となり、関心の高さがうかがえた。


フィルタリングという言葉がひとり歩き、有効性には疑問

モバイル・コンテンツ・フォーラム事務局長の岸原孝昌氏(左)、ディー・エヌ・エー代表取締役社長の南場智子氏(右)
 モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)事務局長の岸原孝昌氏は、「フィルタリングという1つの魔法の杖があって、これを導入していないのはキャリアの怠慢というのが一般的な理解」であり、いろいろなところでフィルタリングという言葉がひとり歩きしていると指摘。岸原氏が調査したところによると、衆議院の青少年委員会や各政党を含め、どのようなフィルタリングを導入するのかについての議論がされた形跡がないという。その結果、本来であれば「1億人の利用者がいれば、1億通りのフィルタリングポリシーがあってしかるべき」なのに、今回のようなフィルタリングでは「実際にインターネットの中で、有効性がどこまで担保できるか疑問」とした。

 ただし、岸原氏は、PC用フィルタリングソフトのようにポリシーをカスタマイズできるようにするなど、フィルタリング自体を高度化することについては、「1つの方法だが、解決策がそれしかないというのは愚策」と強調する。不法サイトやギャンブル、出会い系などはカテゴリーでフィルタリングすることで対応できるが、「いろいろな選択肢がある中で、フィルタリングをどう機能させるかという議論をしてかなければならない」という。例えば、子供が見ているサイトの履歴を保護者に提供し、そこで親子間で判断するようなサービスも必要ではないかとした。

 DeNA代表取締役社長の南場智子氏は、モバゲータウンのサービス内容や利用状況を説明し、青少年の有意義なコミュニケーションや創作の場が形成されている点を強調。モバゲータウン内にコミュニティ機能があるがためにフィルタリングで遮断されてしまうことについて、「自殺サイトやアダルトサイト、出会い系サイトと同列に有害として扱われているということ、一生懸命取り組んでまともな事業活動をやってきているサイトが有害と言われる屈辱も非常に大きい」とコメントした。

 また、現状の対応として、フィルタリングを適用すると、具体的にどういうサイトが見られなくなるのか、ユーザーが理解した上でサインしてもらうようなプロセスを求めた。「自殺サイトやアダルトサイトだけではなく、掲示板など書き込みができるサイトはすべて見られなくなる」と書かなければ、ユーザーは判断できないとの指摘だ。


“フィルタリング原則化”による混乱で、総務省の担当課長が更迭?

慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ総合研究機構教授の中村伊知哉氏(左)、総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課課長補佐の岡村信悟氏(右)
 今回のフォーラムは、慶應義塾大学DMC機構教授の中村伊知哉氏がモデレータを務めたが、中村氏は冒頭、パネリストを紹介する中で、当初出席が予定されていた総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長の佐藤裁也氏が異動したことを説明。「ついこの間、突然のことだが、佐藤課長が更迭になりました。この問題と全く関係ないとは思えない。役所のほうも、そのようにこの問題を重要視していることの表われだろう」(中村氏)。真偽のほどは不明だが、これに対して、1月1日付で配属になったばかりで代わりに出席したという同課課長補佐の岡村信悟氏は「あくまで通常の人事だと思っている」と受け流す場面もあった。

 「このような混乱を総務省は予想していなかったのか」との中村氏からの質問に、岡村氏は「総務省の立ち位置は本来、豊かなユビキタスネット社会を構築すること。ところが、そこが行政の難しいところで、振り子が左右に振れる勢いが近年特に強くなってきている」と分析する。

 すなわち、2007年の夏頃から秋頃にかけて、違法・有害サイトから青少年を保護する方策について議論が高まった際、「未成年者が携帯電話を持つこと自体がけしからん」というような極端な議論もあり、「我々政府全体の中でも、今のところはむしろ、今回の大臣要請という決断をしなければ、もっと極端なところにいってしまうという思いはあった」という。「正直、フィルタリングというものにすがっているということだと思う。本来は教育だったり、これから何年かかけて築き上げていく環境が解決していくものかもしれない」(岡村氏)。

 検討会の報告を待たずに大臣要請を出したことについては、このような措置をとるにあたっての問題点をきちんと議論した上で行なうことが理想だったとは認めたものの、「すいません、総務省としては、その判断はしてしまっている。いろいろなご批判があるのは受けなければならない」とコメント。今後、モバイルコンテンツ業界や携帯キャリア、保護者の代表であるPTAも含め、「あるべき着地点」について議論し、例えば、MCFが計画している、健全サイトを認定する第三者機関の取り組みなどをしっかり行なっていくとした。



関連情報

URL
  フォーラム概要
  http://note.dmc.keio.ac.jp/topics/archives/253

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( 永沢 茂 )
2008/01/22 20:40

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