|
増田寛也総務大臣
|
総務省は、「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」を設置し、26日に第1回会合を開催した。社会問題となっている“闇サイト”や、青少年が有害サイトにアクセスして犯罪に巻き込まれる問題などへの対策として、フィルタリングのさらなる導入促進やプロバイダーによる削除措置、インターネット利用に関する啓発などについて幅広く検討する。
違法情報としては、名誉毀損や著作権侵害などの権利侵害情報や、児童ポルノやわいせつ物、麻薬の売買情報などがある。有害情報としては、自殺を誘引する書き込みや死体画像などの公序良俗に反する情報、アダルトや出会い系、暴力表現といった青少年に有害な情報がこれにあたる。
総務省ではこれまで、権利侵害情報などの違法情報に対しては、プロバイダー責任制限法に関するガイドラインを整備するなどして、プロバイダーによる削除や発信者情報開示による被害者救済を支援する取り組みを行なってきた。一方、公序良俗に反する情報に対しては、プロバイダーの自主的な対応を支援する契約約款のモデル条項、インターネット上の自殺予告に対応するためのガイドラインなどが挙げられる。また、青少年に有害な情報に対してはフィルタリングの普及・促進を図ってきた。
● フィルタリングや掲示板の自主対策をさらに進める方策を検討
今回設置した検討会では、1)フィルタリングの導入促進、2)電子掲示板の管理者等による違法・有害情報の削除等の促進、3)インターネット利用に関する啓発、4)これら3点に関する政府の支援策等──の4項目を論点とする。例えば、1)についてはすでに携帯電話キャリアなどによる導入促進が行なわれているが、より効果的な方策について考える。また、2)については、掲示板の管理者による削除のためのガイドラインが策定されているが、さらなる対応のための方策が考えられるかどうか検討する。4)については、政府として支援すべき点や、法制度による対応が必要か検討する。
検討会は、学識経験者のほか、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ウィルコムの携帯・PHSキャリアをはじめ、電気通信事業者協会、テレコムサービス協会、日本インターネットプロバイダー協会、日本ケーブルテレビ連盟といった通信業界団体、NTTコミュニケーションズや楽天、DeNA、ヤフー、ニフティなどのインターネット企業をはじめ、消費者団体などの代表で構成される。座長は、一橋大学名誉教授の堀部政男氏が務める。警察庁や経済産業省、文部科学省もオブザーバーとして参加する。
検討会は今後、1カ月に1回のペースで会合を開催。まずはフィルタリングの導入促進について検討し、その中間報告書を2008年3月をめどにとりまとめる。さらに4月以降は違法・有害情報全般についての検討を行ない、2008年秋に最終報告書をとりまとめる予定だ。ただし総務省では、早急な対策については最終報告書を待たずに2007年度内あるいは2007年内にも実施していきたいという。
26日に開催された第1回会合では、増田寛也総務大臣があいさつした。政府の「IT安心会議」がインターネット上の違法・有害情報に対する集中対策を10月にとりまとめたことを受けて、「福田内閣として一丸となって取り組んでいきたい。特に青少年の健全育成の観点から効果的な対策を作り上げていきたい」とコメントした。もちろん表現の自由を尊重するのも大事だとしながらも、「(違法・有害情報対策と)両立するための検討を進め、実りある成果を作り上げていきたい」とした。
関連情報
■URL
インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/internet_illegal/index.html
内閣官房 IT安心会議
http://www.it-anshin.go.jp/
■関連記事
・ ISPのフィルタリング導入が進まないのは「ユーザーのニーズないから」(2007/11/26)
・ ネット上の違法・有害情報、管理者による対処の基準策定などを提言(2006/08/25)
・ 総務省や警察庁など、携帯用フィルタリング啓発活動を関係機関に要請(2007/02/16)
・ 違法情報の削除依頼を無視するプロバイダーの言い分とは(2007/11/22)
( 永沢 茂 )
2007/11/26 18:52
- ページの先頭へ-
|