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ISPのフィルタリング導入が進まないのは「ユーザーのニーズないから」


 総務省が26日に開催した「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の第1回会合において、違法・有害情報の実例や、ISPなどにおけるフィルタリング導入促進の現状が報告された。


ネット上の違法情報、フィルタリングだけでなく警察庁との連携も意識

「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の第1回会合
 違法・有害情報の通報窓口である「インターネット・ホットラインセンター」での実例を紹介したのは、「WEB110」代表の吉川誠司氏。無修正ポルノや児童ポルノをはじめ、出会い系サイトや家出サイト、援交仲間募集サイト、規制薬物の広告、預金口座や携帯電話の譲渡の誘引、拳銃の販売、自殺仲間募集サイト、不快表現や暴力表現、学校裏サイト、闇の求人・求職サイト、復讐請負・依頼サイト、裏情報提供サイトの実例を挙げた上で、どのような記述が「不正な誘引」などにあたるのかといった具体的な説明を行なった。

 覚せい剤や拳銃を表わす隠語についても言及し、違法と判断するガイドラインを策定する場合は、これら隠語を広く構成要件として踏まえなければ違法サイトを取りこぼす可能性があると指摘した。また、死体画像については、モデル約款で言及されているために、多くのISPでは公序良俗に反するカテゴリーと判断しているようだが、インターネット・ホットラインセンターでは削除依頼の対象としていないといった相違点があることも説明した。

 なお、検討会の会合は原則として公開し、資料についても総務省のWebサイトで公開していくが、公開することで公共の利益を害する恐れがある場合などは除外するという。吉川氏の説明した違法・有害情報の実例についての資料も非公開とされた。

 紹介された違法・有害情報の実例に関して、モバイル・コンテンツ・フォーラム事務局長の岸原孝昌氏は、拳銃の売買について、なぜリアルな犯罪として取り締まらないのかと疑問を提示し、インターネット上の情報を遮断するという観点にとどまらない対策の必要性を訴えた。また、「フィルタリングをすれば解決するのではないという前提で議論を進めていったほうがよい。フィルタリングが普及しないから、違法・有害情報対策が進まないというのはおかしい」ともコメントした。

 これに対して、検討会の事務局を担当する総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課では、「フィルタリングは合法的なアダルトサイトも遮断でき、有用性がある」としながらも、「それですべて終わるわけではない。違法情報については、警察庁との連携も意識していきたい」とコメントした。


フィルタリングの導入促進、ユーザーもISPもコスト負担が課題?

 フィルタリングの導入促進の現状については4団体から報告された。このうち、電気通信事業者協会(TCA)専務理事の坂田紳一郎氏は、携帯電話キャリア各社による取り組みの結果、フィルタリングサービスの利用者は2006年9月末に63万1,000件だったのが、2007年9月末には約3.3倍の210万1,000件に増加した実績を紹介した。ただし、小・中・高校生でインターネットに接続できる携帯電話利用人口推計が750万2,000人であるという数字に対して「3分の1にも満たない。なおいっそう、この数字を高めていきたい」とコメントした。

 日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)副会長の立石聡明氏は、2007年に実施した「2006年度ISP事業者調査」の結果を紹介。フィルタリングを導入しているのは28.4%、導入予定も9.3%にとどまり、予定はないISPが58.6%あったという。導入しない理由として最も多かったのは「ユーザーからのニーズがない」(47.4%)だった。以下は「コストに見合った収益が得られない」(29.5%)、「導入費用が高い」(20.0%)、「特に理由はない」(17.9%)、「自社導入では運用負荷が高い」(12.6%)、「ユーザー単価が高い」(8.4%)、「自社サポートができない」(3.2%)、「誰も営業に勧めにこない」(1.1%)と続く。

 インターネット協会(IAjapan)副理事長の国分明男氏は、フィルタリングソフトメーカーの現状について説明した。これは、今のところフィルタリングソフトメーカーの業界団体が存在せず、IAjapanが事務局となって普及・啓発のためのアクションプランとりまとめるなどして活動しているためだ。ただし、各メーカーが主にビジネスとしているのは企業向け分野で、社員が業務に不要なサイトなどを見ないようにブロックするのが主目的だという。今後、家庭もマーケットとしていく必要性を指摘した。

 JAIPAの立石氏からの報告で「ユーザーからのニーズがない」という理由でフィルタリングを導入しないISPが47%あった点について、検討会の座長を務める一橋大学名誉教授の堀部政男氏は、「事業者も努力しているが、ユーザーにも問題があるのではないか」とコメントした。また、WEB110の吉川氏は、ISPの導入にコストがネックとなっているという調査結果に加えて、ユーザーがセキュリティソフトに年間5〜6,000円支払って利用しているにもかかわらず、フィルタリングソフトに月額数百円支払わない現状を指摘。「ユーザーにとっても事業者にとってもコストが1つの足かせとなっている。そのコストの負担をどうするかという検討も必要になってくるのではないか」とした。


関連情報

URL
  インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会
  http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/internet_illegal/index.html

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“闇サイト”など違法・有害情報の対策強化へ、総務省が検討会を開催(2007/11/26)


( 永沢 茂 )
2007/11/26 20:11

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