趣味のインターネット地図ウォッチ
ヤフー×MapFan×トヨタ自動車、無料で使える最新カーナビアプリ3種の特徴と使い心地
年末年始の帰省・旅行ドライブにはどれを使う?
2016年12月22日 06:00
これから年末年始にかけて車で帰省・旅行するときに役立ちそうなのが、スマートフォン向けのカーナビアプリだ。無料で手軽に導入できて、中には詳しい渋滞情報まで無料で利用できるものもある。そこで今回は、ヤフー株式会社の「Yahoo!カーナビ」、インクリメントP株式会社の「MapFan」、トヨタ自動車株式会社が提供を開始した「TCスマホナビ」という3つのアプリについて、その特徴や使い心地などを紹介したい。いずれも無料でダウンロードできる本格的なカーナビアプリで、Android版/iOS版が用意されている。
トンネルで自車位置を確認できるようになった「Yahoo!カーナビ」、専用リモコンも発売
スマートフォン向けカーナビアプリではトンネル内に入った際、正確な位置情報を取得できなくなるため、自車位置アイコンはそのまま入口付近で停止するか、または入口に進入したときの速度のままトンネルに沿って自車位置アイコンが進むことになるケースが多かった。
しかし、入口に進入したときの速度を維持したまま自車位置アイコンが進んで行った場合、トンネル内に渋滞が発生して速度が極端に遅くなってしまったり、停止したりした場合に、表示位置が大幅にずれてしまう。車両から車速パルスを取得して速度を検知する車載カーナビと比べると、これはスマートフォン用カーナビアプリの弱点とも言える。
これに対して「Yahoo!カーナビ」では、GPSの電波が届かないトンネル内での案内を改善。11月に実装した新機能により、スマートフォンに搭載されている加速度センサーを利用することで、トンネル内でも自車位置をおおまかに知ることができるようになった。もちろんスマートフォンの場合は機種によってセンサーの精度が異なるため、車速パルスを取得する方式よりも誤差は大きくなるものの、このような機能は他社のカーナビアプリにはなく、かなり意欲的な機能と言える。
実際に「Yahoo!カーナビ」を使ってみた。今回試したのは、首都高速の中央環状線。五反田ICから都心環状線を通って大橋ジャンクションで山手トンネルに入り、初台南ICへと向かうルートで試してみた。
新しくなった「Yahoo!カーナビ」では、内部や出口の直後に分岐があるトンネルに進入する場合、トンネルの入口で事前に「ポン、この先トンネル内の分岐を○○方面です」という案内音声が流れる。これは上記で触れたように、端末によってセンサーの精度が異なるため、GPSと同じような精度を実現できるとは限らないからという理由による。このときも、トンネルに入る前にこのような案内が流れた。
トンネルに入っても、自車位置アイコンは動きを止めずにそのまま高速道路に沿って進み、目的地までの距離も少しずつ0.1kmずつ減っていった。さらに、大橋ジャンクション手前にさしかかると、分岐を知らせる3D案内図も表示された。そのまま進み、目指す初台南ICに近付いたときも、そこから一般道に行くように案内された。まるでGPSの電波を受信できているかのような挙動である。
ただし、トンネル内で案内が表示されるタイミングについては、端末によって違いが見られた。今回はiPhone 7とNexus 5の2つで同じルートを試してみたのだが、iPhone 7の場合は案内のタイミングのほうが実際の車の位置よりも約1km早く、自車位置アイコンのほうが先にトンネルから出て、出口付近で止まってしまった。逆にNexus 5の場合は、実際の車の位置よりも約700mほど遅めで、車のほうが先にトンネルから出てしまった。誤差の程度や傾向については、端末の置き場所や自動車の速度、加速の仕方などによって変わるので、地上で使うのと全く同じような使い心地というわけにはいかないが、トンネルの中でも外と変わらずに自車位置のおおまかな位置を把握できるというのは便利だ。
このほか、「Yahoo!カーナビ」関連のトピックとしては、11月12日に「ナビうま ハンドルリモコン for Yahoo!カーナビ」という商品がソフトバンクセレクションから発売されている。これは、ハンドルに取り付けることで「Yahoo!カーナビ」の操作を片手で行えるハンドルリモコンだ。
カーナビ向けアプリ用のハンドルリモコンとしては、これまでナビタイムジャパンの「カーナビタイム」や「ドライブサポーター」用のもの、NTTドコモが提供する「ドコモドライブネット」用の「ステアリングリモコン」などが提供されているが、これらは音声操作がメインのシンプルなものだった。
「ナビうま ハンドルリモコン for Yahoo!カーナビ」は、十字カーソルや自車位置ボタン、地図の拡大・縮小ボタンなど操作ボタンが数多く搭載されており、細かい操作を行える。なお、音声入力による施設検索も可能だ。ハンドルにバンドで簡単に取り付け・取り外しが行えるので、カーシェアリングなどで一時的に車を利用するときにも手軽に使えるだろう。
実際に使ってみたが、地図のスクロールをカーソルキーでスムーズに行える点がとても便利だった。もちろん操作しやすい位置にあるからといって、運転中のナビ操作は厳禁だが、信号待ちや渋滞中の停止時は、ステアリングを握った状態からすばやくナビを操作し、また運転可能な状態にすばやく戻れるため、その分、余裕が生まれて安全性も向上する。タッチパネルではなく物理キーを使ってナビを操作したいという人にもおすすめだ。
URL
- Yahoo!カーナビ
- https://carnavi.yahoo.co.jp/promo/
地図アプリ「MapFan」が本格カーナビアプリとしてリニューアル
インクリメントPはこれまで、「MapFan+」「MapFan(Androidアプリ)」「MapFan 2015」などの名称で提供してきたiOS/Androidアプリを一新し、新たに「MapFan」という名称で提供開始した。同シリーズはこれまで“地図ナビアプリ”と銘打っていたが、今回からは“無料本格カーナビ”と銘打っており、従来に比べてカーナビ用途を重視した内容となっている。
ただし、けっして自動車だけというわけではなく、これまで通り、徒歩や自転車でのルート検索・ルート案内も可能だ。地図についても、市街地の詳細図を見ると、建物の形や地下鉄の駅の出口番号が細かく描かれており、コンビニやファストフード、スーパーマーケット、ファミリーレストランなどのブランドロゴを使ったアイコンが充実しているので、これなら街歩きなどの用途にも使えると思う。
同アプリは、アプリ本体のダウンロードは無料で、オンライン地図表示やルート探索、ナビゲーションなどの基本機能も無料で使用できる。さらに、アプリ内課金オプション(月額400円または365日3600円)や「MapFanプレミアム」(月額324円または年額3888円)を申し込むことにより、オフライン地図ダウンロード、VICS渋滞情報、オービス情報、駐車場満空検索、ガソリンスタンド価格検索なども利用可能となる。
MapFanシリーズといえばオフライン地図のダウンロードが可能な点が特徴だが、リニューアルした「MapFan」においても、この有料オプションでオフライン利用が可能だ。格安SIMなどのユーザーで月々のデータ通信量が気になる人や、山間部など携帯電話が圏外となる地域で使用することが多い人には最適なナビアプリと言えるだろう。なお、オフライン利用の場合、ストレージの空き容量は約6.2GB(このうちデータ容量は約5.5GB)必要となる。地図データは年12回更新される予定で、オンラインでもオフラインでも毎月最新の地図を利用できる。
ルート案内については、方向指示や交差点名、残距離、走行レーンなどが大きく表示されるようになり、従来に比べて視認性が大幅に向上した。また、気になる場所をブックマーク登録することも可能となり、ウェブ地図サイト「MapFan」との連携により、PCとブックマークを共有できるようになった。
このほか、ユニークな機能として「大型車規制考慮ルート検索機能」が挙げられる。大型車規制についての設定は実に細かく選択できるようになっており、車幅は「~1,500mm以下」から「~2,500mm超」まで100mmずつ、車高は「~2,000mm以下」から「4,100mm超」まで100mmずつ、車両総重量は「~5,000kg以下」から「36,000kg超」まで選択できる。
さらに、ルート検索方法についても、「標準」「距離優先」に加えて、「直進優先」「道幅優先」など、大型車の利用を想定した選択肢が用意されている。これらの機能は、大型トラックや大型トレーラーに乗るプロのドライバーはもちろん、車高や車幅を細かく指定できるため、大型RVや、自転車をルーフに積んだ車に乗る一般ドライバーが、低い高架下をくぐるようなルートを通りたくないときなどにも役立つと思う。
URL
トヨタ自動車が投入してきた無料ナビアプリ「TCスマホナビ」
トヨタ自動車が12月1日、カーナビアプリ「TCスマホナビ」を無料で提供開始した。同社はこれまで、車載通信機(DCM)を通じて車両から収集されたビッグデータに基づいて独自の「Tプローブ交通情報」を掲載し、渋滞を回避するルートを案内する「T-Connectスマホアプリ」を有料で提供してきたが、今回の「TCスマホナビ」はこれと同じ情報を無料で提供している。
同社は大規模震災時に、災害時の救援活動支援の目的で、同じくビッグデータに基づく通行実績情報を「通れた道マップ」としてウェブサイトで公開してきた。「TCスマホナビ」においても、大規模災害の発生時に通行実績情報を「通れた道マップ」として表示するとともに、株式会社パスコが提供する被災地の航空写真も表示する。さらに2017年夏には、「通れた道マップ」を反映したルート探索機能も追加する予定だ。なお、平時には「通れた道マップ」とともに、VICSによる「交通規制情報」も掲載する。
地図上のアイコンでは、主要コンビニチェーンやガソリンスタンド、トヨタ系列のディーラー、トヨタレンタカーなどアイコンがブランドロゴで表示される。アイコンや文字の大きさについては3段階で大きさを切り替えられるので、見にくい場合はサイズを変更できる。
地図は2D画面と、斜め上からの視点となる3D画面を選択できる。大規模商業施設や高層ビル、タワー、ドームなどについては固有の3Dモデルが使われており、これは2Dと3Dのいずれの画面でも表示される。
なお、3D画面では、固有の3Dモデルで表示されない一般の建物については階数情報をもとに自動的に四角いビルのような絵で描かれる仕組みになっており、住宅地などに入り込むと陸屋根の建物が重なって建ち並ぶ状態になるため、少々見にくくなる。
地図のカラーパターンはグレーを基調とした「クール」、アイボリーを基調とした明るい印象の「ライト」、ピンクを基調とした「キュート」の3色から選択可能で、色を切り替えると印象はかなり変わる。いずれも「昼」「昼・夜」「夜」の3パターンから選択可能だ。さらに、地図表示なしで右左折の方向のみ表示される「ターンバイターン」表示も可能だ。
同アプリでは、駐車場シェアリングサービスを提供するakippa株式会社のスマホ向け検索・予約サービスと連携するほか、今後はパーク24株式会社が展開する駐車場シェアリングサービスとも連携する予定で、ほかにも「TCスマホナビ」を、外部のさまざまなサービス事業者とオープンに連携する場として活用していく計画だ。
URL
- TCスマホナビ(App Store)
- https://itunes.apple.com/jp/app/tcsumahonabi/id1154773775?mt=8
- TCスマホナビ(Google Play)
- https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.toyota_ms.TcSpNavi&hl=ja