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第76回:GoogleやPanoramioを検索できるPND、GARMIN「nuvi1480」レビュー
株式会社いいよねっとが11月に販売を開始した「nuvi1480」は、同社のパーソナルナビゲーションデバイス(PND)の最上位モデルだ。この機種は、定評あるGPS機器を数多く発売している米GARMIN社の最新機種を日本語化したもので、カーナビに加えてワンセグ視聴機能も備えている。また、本機の目玉となる機能として、オンライン検索機能も新たに搭載された。今回は、その機能や使い勝手について詳しくレポートしよう。
●GARMIN製PNDのフラッグシップ機種
「nuvi1480」の実売価格は4万5000円前後。約3万円で販売されている下位機種の「nuvi900」に比べると1ランク高価だ。まさにGARMINのPNDのフラッグシップモデルであり、ディスプレイもそれに見合った大画面の5インチタッチパネル液晶(480×272ピクセル)を搭載している。
サイズは137×86×18mm(幅×高さ×厚さ)、重量260gと大ぶりで、ダッシュボードの上で大きな存在感を放つ。実際に車に載せて走ってみるとよくわかるが、エントリー向けの小型PNDに比べると画面は圧倒的に見やすく、フルナビに迫る快適なナビゲーションが味わえる。内部メモリも4GBと、PNDにしては大容量だ。
車に取り付けたところ(上)。下は5.8インチ液晶を搭載したCDナビ |
また、本機にはワンセグチューナーが内蔵されており、テレビの視聴が可能だ。録画機能(最大4時間)もあるため、内部メモリに保存したテレビ番組を好きな時に見返せる。microSDカードスロットも装備しており、MP3ファイルを保存したカードを挿せば音楽も聴ける。ちなみにこのスロットに海外版の地図データを挿すと、海外でも使用可能だ。
このほかバックカメラからの映像入力端子も搭載しているし、オービスデータの無料ダウンロードサービスも提供されているので、高速道路を運転する機会の多い人は重宝するだろう。このような、エントリーモデルとはひと味違った機能が数多く搭載されているのも魅力だ。
ダッシュボードには、ベースを両面テープで貼った上で、吸盤で取り付ける |
●燃費状況をリアルタイムに確認できる「ecoRoute」機能
ユニークな機能としては、「ecoRoute(エコルート)」機能が挙げられる。運転時の加速・減速の状況や、ガソリンの燃費量などを計算して、燃費のいい運転ができているかをスコアで示す機能だ。使用にあたっては、最初に燃料の種類や価格、市街地燃費、ハイウェイ燃費などを入力する必要があり、このデータをもとに計算した結果を、燃料/燃費レポートとして確認できる。
レポートで確認できる情報は、合計距離や合計時間、合計燃料費、平均燃費、二酸化炭素排出量など多岐にわたる。また、この機能を設定するとナビ画面の右側にアイコンが表示されて、燃費のよさを示すスコアが出る。スコアがよくなるにつれて赤・黄・緑へとアイコンの色が変化する仕掛けだ。アイコンの色が常に緑になるようにアクセルを加減すれば、ガソリンを節約してエコな運転を実現できるというわけだ。
「ecoRoute」機能の燃費レポート |
●「Google Earth」に走行軌跡を表示、「Google Maps」も活用可能
走行して得られたGPSの軌跡ログを、PCに転送して活用できる点にも注目したい。GARMIN純正のデータ管理ソフトウェア「MapSource」上でログを確認できるほか、「Google Earth」上に軌跡を表示させることも可能だ。
Google Earth上で軌跡ログを表示 |
データの転送については、「nuvi1480」をUSBケーブルで接続して「Current.gpx」というファイルを「Google Earth」にドラッグ&ドロップするようにWebサイト上で解説が出ているのだが、実際に試してみたところエラーが出てしまう。一度PCのHDDにコピーしてからあらためてドラッグ&ドロップしてみたら、今度は成功した。
ちなみに「MapSource」を使うと、各軌跡ポイントの高度や区間の長さ、区間速度、緯度・経度など細かいデータもチェックできる。高低差もグラフで閲覧できるので便利だ。
「MapSource」のトラックプロパティ画面 |
「MapSource」の垂直プロファイル画面 |
このほか、PC上で「Google Maps」で検索した地点情報を、USB経由で「nuvi1480」の「お気に入り」に送信する「POIダイレクトリンク」機能も搭載されている。
「Google Maps」からGARMINデバイスへの地点情報送信画面 |
●携帯電話とのBluetooth接続で、GoogleやPanoramioを検索可能
注目すべき機能としては、オンライン検索機能がある。これは、携帯電話と「nuvi1480」をBluetoothで無線接続することで、携帯電話の通信機能を利用してネットワーク接続し、施設情報などを入手できる機能だ。
「nuvi1480」では、内部メモリにも、住所検索が約3300万件、電話番号が約800万件、ジャンル検索が約400万件と豊富な情報が収録されているが、これだけでなくインターネット上からも新鮮な情報を取得できるわけだ。
「目的地検索」メニューの中に、Googleのロゴが付いた「Internet検索」というアイコンがあり、ここからGoogleでローカル情報を検索できる。用意されているジャンルは「フード」「宿泊施設」「ガソリンスタンド」などで、内部メモリにはない「寿司」や「うどん/そば」といったサブカテゴリーもある。こちらを利用すれば、より詳しいグルメ情報を入手できるだろう。内部メモリと「Internet検索」で重複しているジャンルも多いが、検索結果は不思議とあまり重ならない。
なお、内部メモリに収録された情報の検索とオンライン検索は別メニューとして分けられていて、両方を横断的に検索することはできない。どちらの情報も参照しうと思ったら片方ずつ検索し直さなければならないので少し面倒かもしれない。通常は内部メモリの情報を検索・表示し、オンライン時だけ「Internet検索」からの情報を追加するような形で、シームレスに検索できるようにすればもっと使い勝手がよくなったと思う。
「Panoramio」で現在地周辺の投稿写真を検索 |
写真共有サイト「Panoramio」に投稿されている位置情報(geotag)付きの写真の検索機能も搭載している。「目的地検索」メニューの中にある「Photos」アイコン(「Panoramio」のロゴ)を選択すると、現在地周辺の「Panoramio」の写真が表示されるので、目的地にしたい画像を選択する。写真が表示されたら画面をタッチすると、その施設の地図ページが表示されるので、そのまま位置情報をお気に入りとして保存したり、その施設へのナビゲーションを開始したりできる。投稿情報に頼っているだけに、地域によっては情報量の少なさが気になるが、逆にレアな情報が得られる可能性もある。
オンライン検索で得られる情報には、「Internet検索」の施設情報のほか、「Digital Cyclone」の天気情報と、「Flight Statas」が提供しているフライト情報もある。
天気予報の画面 |
1つ残念なのは、せっかくネットワーク接続機能があるにもかかわらず、渋滞情報を確認できないこと。以前、この連載でも紹介したインクリメントPの「MapFan Navi」などは、インターネット経由で渋滞情報を取得して地図にも反映できたのだが、「nuvi1480」にもこのような機能があればよかったと思う。せめて「nuvi1480」の画面上でWebページを見られるようにしておけば、日本道路交通情報センター(JARTIC)のサイトなどで渋滞情報を閲覧することもできるのだが、残念ながらWebブラウザは搭載されていない。
●地図はゼンリン製、3Dのバードビュー表示も
カーナビとしての基本機能については、大容量メモリを活かしたさまざまな機能が搭載されている。特徴的なのは、3Dのバードビュー表示が可能な点だ。フルナビではおなじみだが、低価格のPNDだと2D地図のみの場合も少なくない。その点、「nuvi1480」では2Dと3Dをワンタッチで切り替えられる。地図はゼンリン製で、縮尺は15mから800kmまで24段階。前述した走行軌跡ログに加えて、経由地を約200地点、お気に入りポイントを約1000地点も保存できる。
バードビュー表示が可能な3D画面 |
交差点を曲がる時に交差点名を読み上げる機能はないが、画面上部に大きく交差点名と「国道○号」と道路名称が表示される。また、大きな交差点の場合は、画面右にリアルな立体地図が表示されるので、その交差点で曲がっていいのかどうかをしっかり確認できる。このほか、複数車線がある場合のレーン情報や、方面看板情報、高速道路のジャンクション情報、ハイウェイ情報なども地図の右側に表示される。
大きな交差点では立体地図が表示される |
●Bluetooth接続できる携帯電話の機種を要確認
「nuvi1480」はルート検索の設定もやりやすく、検索もスピーディだ。また、GPSの電波の感度もかなり良好なのにも驚いた。本機には自立航法機能は入っていないが、ビルの谷間などでもけっこうしっかり衛星を捕捉してくれる。また、木造家屋の2階でも使ってみたのだが、屋内でも微弱ながら衛星を捕捉して、きちんと現在地を表示したのには感心した。衛星の捕捉にかかる時間も短く、電源を入れてからすぐにナビゲーションを開始できる。
電源はDC12V/24Vのカーアダプターと100VのACアダプターが付属するが、リチウムバッテリーも内臓しており、徒歩でも使用可能だ。稼動時間は、3時間以上となっている |
大画面と大容量メモリを活かした快適なナビゲーション機能に加えて、ワンセグの視聴やオンライン検索も可能な「nuvi1480」は、「エントリー向けのPNDはシンプルすぎて物足りないけど、フルナビまでお金をかけたくはない」という層にはぴったりの機種といえる。
1つ注意すべきなのは、手持ちの携帯電話の機種についてだ。「nuvi1480」と連携して使うには、BluetoothのDUNプロファイルに対応している必要があり、携帯電話をモデムとして使用できる機種でなければならない。Bluetoothに対応していても、DUNプロファイルには対応していない機種もあるので要注意だ。接続が確認された携帯電話のリストが、いいよねっとのサイトで公開されているので、「nuvi1480」の購入を検討する際にはぜひチェックしていただきたい。
関連情報
2009/12/10 06:00
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