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第122回:iPhoneで走行動画を撮れる「ドライブレコーダーアプリ」特集


 ここ数年、自動車の衝突事故などを記録するための「ドライブレコーダー」が普及しつつある。YouTubeなどの動画共有サイトにもドライブレコーダーで撮影したと思われる車載映像が数多く投稿されており、走行動画を撮影するという行為はかなり身近になってきているようだ。

 最近ではGPSを搭載して位置情報も同時に記録できる製品も増えており、このような機器を使うと、撮影した動画をPCに転送してデジタル地図とリンクさせながら見ることも可能だ。

 さらに専用の機器ではなく、iPhoneなどスマートフォンにインストールするだけでドライブレコーダーとして使えるアプリもリリースされている。今回は、iPhoneで使えるドライブレコーダーアプリについて紹介してみたい。

「ドライブレコーダー」とは

 まずはドライブレコーダーの基本についておさらいしてみよう。ドライブレコーダーとは、自動車のダッシュボードなどに設置して、交通事故の映像を記録するための装置だ。走行中に衝撃を感知した時点の前後数十秒間の映像や音声、速度などのデータを記録することが可能で、衝撃がなくても記録できる手動スイッチなども搭載する。記録した映像やデータはPCなどに転送して専用ソフトで確認できるので、トラブル時の客観的な証拠にもなるし、急ブレーキや急加速などの履歴も記録されるため、ドライバーの安全運転の意識向上にもつながる。

 GPSを搭載したドライブレコーダーは、動画や音声に加えて位置情報も記録できる。記録した動画を再生する際に、Google マップなどと同期させて自車位置が地図上に表示されるので、走行経路やGPSによる速度情報も確認できる。

 現在、カーナビメーカーやカー用品メーカー、PCサプライメーカーなどさまざまな会社がドライブレコーダー市場に参入しており、価格も1万円以下で買える安いものから3〜4万円近くする高級機までいろいろなタイプがある。一方、最近では専用機ではなく、スマートフォンにアプリをインストールしてドライブレコーダーとして使う人も増えてきた。

低価格の専用機として人気のmobitec社製「DR-1000」と「DR-2000」 液晶ディスプレイを搭載したGeoCross社製「VISION DRIVE VD-3000J」

ドライブレコーダーアプリのメリット/デメリット

 スマートフォンをドライブレコーダーとして使う場合のメリットは、なんといっても価格の安さだ。安くなってきたとはいえ、5000円以上はする専用機と比べると、1000円以下で使えるドライブレコーダーアプリは実にお手ごろだ。車載用クレードルや給電用のシガーライターソケットなどをすでに持っている人なら、初期投資はかなり少なくて済む。しかもドライブレコーダーの低価格機の多くがGPS非搭載であるのに対して、ドライブレコーダーアプリは、スマートフォンのGPSを使って位置情報を記録する機能を搭載しているものがほとんどだ。専用機でGPSを搭載するタイプだと確実に1万円は超えるから、それを考えると価格的なメリットはさらに大きくなる。

 ただし、ドライブレコーダーアプリの中にはバックグラウンドで音楽を再生できないものもあるので、走行中にスマートフォンで音楽再生もしている人は注意が必要だ。基本的には、突然の事故に備えてダッシュボード上で常に作動させ続けてこそ意味があるアプリなので、助手席に座っている人がスマートフォンを使ったり、電話したりすることも難しくなる。また、長時間使用するとスマートフォンが高熱を発してアプリが動作停止になってしまうこともあるので、夏場には注意が必要だ。

 さらに専用機の中には防犯対策のため駐車時や停車時にも記録を行える「駐車モード」を備えた機種や、メインカメラとリア/室内カメラの2チャンネル撮影が可能なタイプもあり、これらの付加価値に魅力を感じる人も専用機を選んだ方がいいだろう。

 専用機とスマートフォンアプリのどちらを選ぶかは人それぞれだが、まずは無料の体験版アプリや、価格の安いアプリで試してみて、ドライブレコーダーの必要性を確認した上で専用機を購入するという手もある。クルマを運転する機会の少ない人にとって高価な専用機を買うのは抵抗あるだろうし、レンタカーを借りた時など一時的な用途として使うのにもドライブレコーダーアプリは最適だ。

 このほかスマートフォンのメリットとして、大きなディスプレイで撮影した動画をすぐに再生できる点も挙げられる。液晶搭載のドライブレコーダー専用機も増えつつあるが、ディスプレイが2.5型くらいの小さなものがほとんどだ。スマートフォンアプリと専用機、それぞれのメリットとデメリットを考えた上で最適なチョイスをしてほしい。

クレードルにiPhoneをセットする場合は、カメラのレンズが遮られないように位置を少しずらす必要がある

スマートフォンをドライブレコーダーとして使えるアプリ

 それでは、iPhone向けのドライブレコーダーアプリをいくつか紹介しよう。

 なお、今回、画面キャプチャーを撮るにあたって筆者は知人に頼んで助手席で操作してもらった。ドライブレコーダーアプリを運転中に操作すると大変危険なので、ドライバーが運転中にスマートフォンを操作するのは控えるよう気を付けていただきたい。また、クレードルを取り付ける際も、走行中に外れたり、エアバッグの位置に干渉したりしないよう十分に注意しよう。


DriveMate Rec
http://itunes.apple.com/jp/app/drivemate-rec/id430511107?mt=8

 カー用品メーカーの株式会社カーメイトがリリースしたドライブレコーダーアプリで、価格は600円。メインの「Drive Recorder」モードでは、急ブレーキや衝突などの衝撃を感知すると、前後最大10秒間の動画を記録することが可能。衝突時以外でも、RECボタンを押せば同じように前後10秒間を録画できる。録画開始の加速度(0.1G〜1.0G)および録画時間(前後各1〜10秒)、画質(低画質/高画質)は任意に設定可能。Drive Recorderとは別に「Video Recorder」モードも搭載しており、画面上のRECボタンを押すと最大120分間の連続撮影が行える。

 両モードで撮影した映像は「Viewer」モードで再生できる。このモードでは動画をフルスクリーンで再生できるほか、Google マップの地図画面と並べて自車位置を表示することも可能だ。再生する際は速度や加速度、高度なども表示される。また、録画した映像をiPhoneのカメラロールにエクスポートしたり、YouTubeに直接アップロードしたりする機能もある。エクスポート/アップロードの際は、動画のみの出力だけでなく、地図や速度などの情報も表示されるViewerモードの再生画面をそのままエクスポート/アップロードすることも可能だ。




 なお、Drive Recorderモードの録画時は、音声は録音せず動画のみで、Video Recorderモードの録画時は音声も記録可能。出力時もDrive Recorderモードは無音、Video Recorderモードは音声付きとなる。また、Drive Recorderモードで記録した映像をエクスポートする場合はフレートレートは固定されるが、Video Recorderモードで記録した映像をエクスポートする際は、フレームレートの高/低を選べる。

 このほか、ユニークな機能として「Time Trial」というモードがある。これは、最初に自宅から会社など走行する機会の多いコースの軌跡を記録し、あとで同じルートを走行する際に、以前に記録した位置情報と走行中の車両位置を比較しながらドライブできる機能だ。

 地図と合成した画面をエクスポートする機能やTime Trialモードなど多彩な機能を搭載した本アプリだが、録画中は、再生中の音楽が止まってしまうという欠点もある。Video Recorderモードで録画している間はずっと音楽が聴けず、Drive RecorderモードでもRECボタンを押して録画をオンにした途端、音楽が止まる。ドライブ中にiPhoneで音楽を聴いている人は注意しよう。

「DriveMate Rec」のメニュー Drive Recorderモードでスタンバイ中の画面
Video Recorderモードで撮影中の画面 Time Trialモードの画面

Ployd Black Box
http://itunes.apple.com/jp/app/ployd-black-box-jpn/id461311235?mt=8

 今年の秋にリリースされたばかりのアプリで、韓国Beagle社の開発した「Ployd Black Box」の日本語版。価格は600円で、iPhoneのほか、Android版もある。日本では、株式会社ケーシーエスが販売・サポートを担当している。

 起動するとカメラ映像とともに「REC」ボタンが表示され、ボタンをタップすると録画が開始される。撮影中は「常時映像」として10分間隔で自動的に保存されて、保存されたファイルは古い順に自動的に削除されていく。常時映像の録画中にiPhoneのセンサーが衝撃を感知すると、10秒間の映像がイベントとして自動保存される。また、画面右下の「SAVE」ボタンをタップしてもイベント映像として10秒間保存される。さらに静止画撮影機能を搭載しており、常時映像を録画中にも写真を撮影できる。

 走行中は画面左下に速度がアナログとデジタルの両方で表示されて、進行方向の方角も表示される。ユニークな機能としては、ECOドライブ判定機能が挙げられる。これは走行状態を診断して5段階評価する機能で、右下の「ECO」というマークをタップすると、急停車回数や急加速回数、走行時間、最高速度、平均速度、走行距離などの詳細データが表示される。

 保存された映像は、常時映像・イベント映像・写真の3フォルダに分類。各映像は映像のみで表示できるほか、Google マップの地図と並べて見ることも可能だ。動画再生時は自車位置が移動する様子も地図上で確認できる。また、撮影した動画をカメラロールにエクスポートしたり、YouTubeに投稿したりすることも可能だ。

 加速度センサーの感度は5段階、ビデオ品質は4段階に切り替え可能。衝撃を感知した際に、あらかじめ登録しておいた緊急電話の番号に自動的に電話をかける機能もある。

 なお、このアプリは事故が起きた場合の処理の仕方についての案内も収録している。事故現場の証拠保全をするために現場や車両、衝突個所を撮影し、目撃者を確保し、加害者の身元と陳述を確保するようガイドしてあり、事故現場の位置情報を送信したり、写真や位置情報、録音データ、連絡先などを事故ファイルとしてメールで送信する機能も用意されている。

 使い勝手は悪くないし、ECOドライブ判定機能や緊急時に電話連絡する機能なども便利だ。ただし、ひとつ気になる点として、保存した録画データを同アプリ上で再生した場合、なぜか全体的に少し潰れたような横長画面になってしまう。地図と並べて表示させたり、エクスポートしてPC上で見る場合は普通の動画なので我慢はできるが、この点についてはアップデートでの修正を期待したい。あと、「DriveMate Rec」と同様、撮影中に音楽を聴けないのも残念だ。

「Ployd Black Box」の作動時の画面 メニュー画面
ECOドライブ情報 記録した動画を再生
事故処理のやり方を丁寧に解説 なぜか横長になってしまう動画再生時の画面

ドライブレコーダー
http://itunes.apple.com/jp/app/id463250694?mt=8

 リグレックス株式会社が販売している「ドライブレコーダー」は、上記の2アプリに比べると機能はシンプルだが、その分、価格は350円と安い。起動するとカメラ画面となり、「Recording Start」と表示されるので、タップすると録画がスタートする。録画が始まると、最新の映像を最大20分間記録し続けて、衝突を検知すると自動停止して1分間〜3分間延長記録する。録画時間は1分〜20分の間で1分ステップで細かく決められる。

 なお、映像の保存は動画ではなく、静止画の連続撮影となる。撮影間隔は0秒(本体の性能に任せる)のほか、0.5秒、1秒、2秒、3秒、5秒の中から設定可能だ。静止画での撮影にしたのは本体発熱を軽減するためとのこと。録画履歴は1〜10個の間で設定可能で、保存された履歴は古いデータから自動削除される。

 撮影した映像は地図と並べて表示できるほか、地図画面だけの表示も可能だ。録画中・再生中ともにメニューなどが極めてシンプルで、すっきりした画面となっている。静止画での連続撮影なので再生させると滑らかさに欠けるし、速度などの情報なども表示されない。さらに、GPSのログがけっこう荒れているのも気になった。DriveMate RecおよびPloyd Black Boxに比べて誤差が大きく、ログの精度を気にする人にはあまりお勧めできないが、とにかくひたすら走行映像を記録したいという人には向いている。

 また、現バージョンでは撮影したデータをエクスポートすることができないが、PCとの連動やデータの外部メディアへの取り出し、TwitterやFacebook、mixiなどとの連動が今後予定されている。さらに、区間時間の計測機能なども盛り込まれる予定だという。機能的には現時点では前出の2アプリには及ばないものの、今後の進化が楽しみなアプリだ。

「Recording Start」をタップすると録画開始 録画中の画面
設定画面 記録した動画のリスト
記録した動画を地図とともに再生

2011/10/27 06:00


片岡 義明
 地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。書籍「パソ鉄の旅−デジタル地図に残す自分だけの鉄道記−」がインプレスジャパンから発売中。