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国土地理院、地図上で浸水リスクを可視化する「浸水ナビ」を公開

 国土地理院は、地図上で任意の位置の浸水リスクを確認できる「地点別浸水シミュレーション検索システム(通称:浸水ナビ)」を公開した。

浸水ナビ

 従来、自分の住んでいる地域にどのような浸水リスクがあるのかを調べるためには、河川ごとに公表していた「洪水浸水想定区域図」をすべて確認する必要があったが、今回公開された浸水ナビを使うことにより、自宅や会社など、指定した地点の浸水リスクをアニメーションやグラフで確認できる。

 浸水ナビは、まだ日本全域をカバーしているわけではなく、検索できる範囲は地図上で青く塗られたエリアに限られる。7月29日現在、119河川の洪水浸水想定区域図が検索対象となっており、利用にあたってはこの範囲内でシミュレーションを行う地点を指定する。

 地点の指定方法は、緯度・経度入力欄の横にある丸いマークをクリックしたあとに地図上で任意の場所をクリックする方法と、緯度・経度を入力する方法、地名や住所などを入力して検索する方法の3つを用意している。どの方法でも、指定した地点が浸水想定範囲から外れている場合は、シミュレーション対象区域外であるというメッセージが表示される。

青く塗られたエリアが検索対象

 シミュレーション対象区域内で任意の地点を指定すると、地図上に黄色いマークが表示されて検索が実行される。地図上には、「どの河川のどこの地点が決壊(破堤)したら、指定した地点が浸水するのか」を示す「想定破堤点」が青丸のマークで表示される。

 青丸をクリックすると、破堤点最大浸水領域(堤防決壊後に最大でどこがどれくらい浸水するのかを描いた範囲)が地図上に赤色で表示される。この状態で左メニューから「破堤点最大浸水領域の色の切替」をクリックすると、0.0〜0.5m未満は黄色、0.5〜3.0mは水色……といった具合に浸水ランク別に色分けして表示される。

地図上に想定破堤点が表示
想定破堤点をクリックすると最大浸水領域が表示
浸水ランク別に色分けして表示

 また、「地点別浸水シミュレーショングラフ表示」を選択すると、指定地点における浸水深の時間的な変化を示したグラフが表示される。さらに、「浸水域アニメーション表示」を選択すると、堤防決壊後に時間経過ごとの浸水域の変化をアニメーションで見ることができる。

地点別浸水シミュレーショングラフ表示

 このほか、選択したエリア内に水位観測所のマークがある場合は、これをマウスオーバーすると観測所の名称が表示される。この時に表示されるリンクをクリックすることにより、国土交通省が提供する「リアルタイム川の防災情報」のサイトにアクセスして、現在の水位情報を確認することもできる。

 浸水ナビで検索できる範囲は、まだそれほど広くはなく、シミュレーションを行えない地域も多いが、国土地理院では今後、検索可能な河川を随時増やしていく予定だという。また、年度内をめどに、内水・高潮の浸水想定区域図データの検索も可能となる予定だ。台風やゲリラ豪雨などにより水害の発生頻度が増えるこの季節、各地の浸水リスクを事前にチェックしてみてはいかがだろうか。

片岡 義明

IT・家電・街歩きなどの分野で活動中のライター。特に地図や位置情報に関す ることを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから法 人向け地図ソリューション、紙地図、測位システム、ナビゲーションデバイス、 オープンデータなど幅広い地図関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報ビッグデータ」(共著)が発売中。