Googleのプライバシーポリシー統合前に押さえておきたいこと
どんな情報が保存されているのか(後編・その2)
●(引き続き)Googleダッシュボードをチェックしよう
前回に引き続き、Googleダッシュボードをチェックしていこう。なお、以下はGoogle+を利用している場合となる。また、前回もご紹介したが、Googleダッシュボードへのアクセスは以下の通りだ。
Googleのどのサービスでもかまわないが、ログイン後に右上に表示されるユーザー名(またはGmailのアドレス)をクリックすると、プルダウンメニューが表示される。このプルダウンメニューの中にある「プライバシー」という項目を選択すると、Googleアカウントのプロフィール画面になる。
プロフィール画面の下の方に、[Googleプライバシー]という項目があるので、ここで[ダッシュボードにログイン]を押す。
◆iGoogle
iGoogleの設定状況が確認できる。「iGoogle設定の管理」を選べば、ここでiGoogleの設定もできる。iGoogleで表示させているコンテンツを複数まとめて削除したり、全体を整理できるほか、iGoogleの設定をインポート/エクスポートすることもできる。
余談ながら、iGoogle設定画面の連絡先には、Google+の「サークルのメンバー」が自動的にインポートされるようだ。というより、連絡先そのものがGoogle+と統合されているようだ。
iGoogleの項目では、表示させているコンテンツ(ブログのフィードなど)の数が表示される | iGoogleの設定画面。設定のインポート/エクスポートもできる |
◆Latitude
リアルタイムに位置情報を公開するというサービスだけに、Google Latitudeを利用するには、ユーザー側で利用の手続きを行う必要がある。
Google Latitudeを有効にしていると、ダッシュボードで位置情報とか履歴の状況が確認できる。ただし、1回チェックインした位ではまだダッシュボードに表示されないらしい。筆者はふだん、foursquareを使っていてGoogle Latitudeは使っていないため、残念ながらダッシュボードに履歴を示す画面を取得できなかったことをお詫びしたい。
まだLatitudeを利用していない状況での表示 | Latitudeの利用状況をダッシュボードに表示するには、ロケーション履歴を有効にしてから1~2週間必要。今回は時間的に間に合わず、詳細画面がキャプチャできなかった |
◆Picasaウェブアルバム
Picasaを単独で利用する場合もそうだが、Google+で写真をアップロードしたりアルバムを作ったりすると、自動的に内部ではPicasaが利用されるようで、こちらに反映されることになる。プライバシーに関係しそうな部分はPicasaの[プライバシー設定の管理]で制御できる。
[プライバシー設定の管理]でポイントになるのは、[場所]で場所のデータを明示的に示すかどうかと、写真のURLを明示的に示すかどうかだ。旅行の写真など、「ここで撮影した写真だよ」と明示的に伝えたい場合はこれらを有効にしておくのが便利だが、逆に写真から場所を知られたくない場合は、このチェックを外しておこう。ただし、[場所]の設定をオフにしても、撮影した画像自体にジオタグ(GPSなどで取得した位置情報)が埋め込まれていれば、画像のExif情報を確認すれば撮影した場所が判明してしまう。とくに、携帯電話やスマートフォンで撮影した画像の公開には注意が必要だ。
Picasaウェブアルバムでは、投稿時にジオタグ(location)を削除する機能があるので、少ない枚数であればそれを利用する手もある。iOS用やAndroid用のジオタグを確認・削除するアプリもあるので、行った場所を知られたくない場合はそうしたアプリを利用するといいだろう。パーティなどの写真では、自分だけでなくそこに写っている人のプライバシーも合わせて公開していることになる点に注意が必要だ。
Snap15-Photo25:ダッシュボードからはPicasaの利用状況の概略が示され、詳細は「Picasaウェブアルバムの全ての設定の管理」で確認できる | [プライバシー設定の管理]画面 |
◆Voice
Google Voiceを使っている場合は、ここで履歴が表示される。実際に使ってはいなくても、[Google Voice 設定の管理]をクリックすると、設定管理画面が表示されるが、この管理画面はまだ日本語化もされていない。[contacts]の項目では、GmailやGoogle+の利用履歴から登録された相手が表示される。今後プライバシーポリシーを統合することで、こうした複数サービス間での情報の共有がいっそう推し進めると思われる。
なお、Google Voiceの利用にあたっては、前もってGoogleウォレットで専用Creditを購入する必要がある。
利用したことがあれば、ここに履歴が表示される。ここでは、とくに利用した覚えはないが何かの時に設定でもしたのか、転送電話が1件登録されているらしい | ContactsにはGmailやGoogle+の利用履歴から収集された連絡先が表示されるようだ(この例の場合、ほとんどの連絡先はGmailで自動登録されたもの) |
◆YouTube
YouTubeを単に視聴するだけでは、ダッシュボードに情報が表示されるようなことはない。YouTubeにアカウントを持ち、お気に入りを登録したり、動画を投稿すると、ここでその情報が表示される。[プライバシー設定の管理]をクリックすると、自分のアカウント情報にもとづいた広告表示のオンオフや、投稿した動画の視聴統計を公開するかのオンオフ設定ができる。いずれもデフォルトは有効になっているので気になるようであればオフにしておこう。
3月1日以後は、Googleが各サービスで得たユーザーの情報が統一的に管理され、すべてのサービスで共有される。個人的なメールで頻出するキーワードを解析し、そのキーワードにフックする広告が各サービスで表示されるといった情報の使われ方がなされる可能性があることは頭に入れておいた方が良いだろう。
ユーザー名と性別は公開情報であることを示す人型アイコンが付いている。アップロードして動画やお気に入り、再生リストなどが表示される | YouTubeのプライバシー設定では、検索とコンタクトの制限、広告の設定、統計とデータの項目が設定できる |
◆ウェブ履歴
Googleの根幹となるサービスだ。ウェブ/画像/ニュース/動画/地図/ブログ/...、とグループ分けされた上で、それぞれについて詳細な履歴が保存されている。明示的にウェブ履歴の収集を止めない限り、こうしたデータが継続的に蓄積される。今回改めてチェックしたところ、筆者の場合は2007年10月16日以降の履歴が残っていた。
ここには常に最新のものだけが掲載される。一覧については、ウェブ検索なら、[ウェブ]をクリックすると右の画面が表示される | 筆者のウェブ履歴。履歴からどこかに飛んだ場合は、その飛び先まで履歴が残される。消したい場合は対象にチェックをつけて上の「削除」を押すか、もしくは「ウェブ履歴を全て削除する」を押す |
◆カレンダー
マイカレンダーや共有している他のユーザーのカレンダー情報などが表示される。カレンダー自体がプライバシーのかたまりなので、特段プライバシーに特化した設定は設けられていない。カレンダー設定、モバイルの設定がここから行える。モバイル設定では携帯電話やスマートフォンなどへのカレンダーの通知設定ができる。Androidでは、メールやカレンダーの共有は、Googleアカウントの設定だけで可能。iPhoneではMicrosoft Exchangeの設定から、Googleアカウントを登録し、Googleのカレンダーやメールの共有ができる。
登録したカレンダーごとに、最新の予定(最後に入力した予定)が表示される。また、共有しているカレンダーについては、共有人数と共有を示す人型アイコンが表示される | モバイルに通知する設定の画面。ここではモバイル通知を利用していないが、設定するとモバイル端末にメールが届き、届いたメールにある確認コードを再度ここで登録することにより、モバイル通知が開始される |
◆グループ
Googleグループを利用すると、各々のグループ毎に最新の情報が表示される。多くのサービス同様、利用していなければ、項目自体が表示されない。
ダミーでとりあえずグループを作ってみた。グループに名前をつけると、「マイグループ」ではなくつけた名前が表示される |
◆コンタクト
Googleコンタクトに登録された人数のみが表示される。ここに登録されるのは、GmailとGoogle+で登録した人と思われるが、筆者の場合、登録したこともGmailやGoogle+でやりとりしたこともないFacebook CEOのMark Zuckerberg氏が入っていることから、それ以外のところからも引っ張ってくるようだ。前述のGoogle Voiceの中の[Contacts」リストと内容的には同じものだ。
[コンタクト]を押すと、Googleコンタクトに登録された一覧が確認できる | [その他の連絡先]にMark Zuckerberg氏がなぜか入っている。Google+でフォローした覚えも、もちろんメールを交わした覚えもないのでなぜ入っているのか謎だ |
◆ソーシャルコネクションとソーシャルコンテンツ
具体的にソーシャルコネクションやソーシャルコンテンツのページを見ればわかりやすいのだが、要するにGoogle+などで他のSNSと接続していると、その接続されたSNS上の情報を取得、解析してリンクを整理してくれるものだ。なお、これらのコンテンツの取得、解析にはオプトアウトの設定が見当たらないので、取得と解析を止めたい場合は、他のSNSとのコネクションを切るしかないようだ。
ちなみにこのコンテンツの取得、解析をやめたい場合は、他のSNSとのコネクションを切るしかないようだ | 下にある直接的なコネクションでは、筆者がTwitterでフォローしているアカウントからリンクされるURLがまとめられている | リンク先コンテンツ。筆者はFacebookとTwitterとGoogle+と連動させた結果、こんな具合に解析された |
◆トーク
Google Talkを利用しているとコンタクトの件数が表示される。
この画面はGoogle Talkを使っていない状態でキャプチャしたが、この後Google Talkを使ってみたあとも表示は変わらなかった。 |
◆ドキュメント
Googleドキュメントの利用状況が表示され、最後にアクセスしたドキュメントの名前が表示される。共有しているドキュメントには人型アイコンが付く。ドキュメントの設定画面では、プライバシー設定などはとくに設けられていない。
なお、Googleドキュメント以外のツールを使ってアップロードしたドキュメントにアクセスしても、この画面には反映されなかった。
ドキュメントの利用状況が表示される。人型アイコンは共有していることを示す。 |
◆ニュース
Googleニュースでカスタム設定を行っている場合、ここに「設定を行ったこと」が示される。詳細は[カスタムセクション]あるいは[ニュース設定の管理]から確認できる。[ニュース設定の管理]はニュース提供元の大まかな設定と、記事の表示形式の設定のみ。細かな調整は[カスタムセクション]からとなる。
[ニュース設定の管理]画面 | カスタムセクションでは、以前に比べて随分調整の幅が広がっていた |
◆バズ
廃止されたGoogle Buzzではあるが、ユーザー投稿そのものは保持されている関係でまだここが残っている。筆者の場合、Twitterと連動していた関係で、廃止直前の2011年11月11日までのTwitter投稿がBuzzの形でまだデータが存在している。そんなわけで、設定はBuzzの削除のみが残されている。
実を言えばこの記事を書くためにダッシュボードにアクセスするまで、まだBuzzが残っていることそのものに気がつかなかった |
◆マップ
Google Mapのアクセス履歴そのものは前述のウェブ履歴の方で管理しており、ここに出てくるのは[マイマップ]と[デフォルトの場所]となる。Google Mapで自分のMapを作ったり公開したりした場合、それがここで示される。
「マッププロフィールの管理」や「マイマップの管理」はGoogle Mapの設定画面に、「プレイスの友達を管理する」はGoogle Placeにそれぞれ移動する。 |
◆リーダー
Google Readerを利用してサイトの更新状況などを確認している場合に、ここに購読状況が表示される。ただここではあくまで購読しているサイトの数(正確に言えば購読しているフィードの数)のみが示される。詳細設定は、「購読の管理」「共有の管理」を選ぶとGoogle Readerの設定画面に飛ぶので、そちらで行うことになる。
詳細設定は、「購読の管理」「共有の管理」を選ぶとGoogle Readerの設定画面に飛ぶので、そちらで行う |
◆その他
筆者の場合は、Google App EngineやGoogle ウォレット、Google Mobileがダッシュボードに対応していないため、その他の項目に表示された。人により、ここで表示される項目は異なるが、ここでは筆者のところで表示されたGoogle ウォレットとGoogle Mobileも簡単に紹介しておく。
[Google App Engine]を個人で利用しているユーザーは非常に少ないと思うので、ここでは割愛する。[Google ウォレット]は、旧Google Checkoutを統合した形になっており、Androidマーケットから有償のアプリを購入したなどの場合はここで確認できる。[Google Mobile]は、ひと言で言えば、モバイル用のGoogle設定となっている。
なお、編集部の例では、Chrome Web Storeなど9種類のサービスが表示された。Google App Engineは利用していなくても表示されるようだが、その他は利用したことのあるサービスが表示されるようだ。
Google App Engineは要するにGoogleの提供するクラウドサービスである | 編集部の例。Chrome Web Storeなど9種類のサービスが表示されている |
Googleウォレットの「お支払い方法」にはカード情報が、アドレス帳には配送先の住所のデフォルトが格納されていた | Mobile用に切り替わる。こちらの検索の設定は、PC用(というか、非Mobile用)とは個別に設定できる |
さて、予想していたよりかなり長くなったが、2回に分けてダッシュボードをご紹介してきた。
前回ご紹介した通り、Me On The Webでは、自分の個人データが公開されたときにメールで通知する機能も利用可能だ。忘年会の出欠もネットサービス、商品予約もネットショッピングという時代になり、今後はさらに、ネット上に何の履歴も残さずに社会生活を送ることは難しくなると思われる。
肝心なのは、自分についての情報をコントロールすることだろう。公開していい情報と公開したくない情報をきちんと切り分け、公開したくない情報はオプトアウトし、公開したくない履歴は削除する。基本的に公開されないはずの情報でも、設定ミスで公開されていたということはままある。
先日もAndroidマーケットで、有料アプリを購入した場合、購入したユーザーの住所と電話番号、メールアドレスがすべて販売者から見られることが話題になった。Googleでは、住所の詳細が表示されたのは「設定ミス」が原因として、たとえば「東京都千代田区〇〇1-1-1」であれば、「東京都千代田区」など市区町村名までしか表示されないように変更されたが、実際にこうしたミスが起きており、今後も起きないとは限らない。公開されたくない情報は、必要がなければ削除しておくに越したことはない。
Googleに保存された情報でも、自分で削除できる履歴や、削除依頼を出せるものがある。次回は、こうした削除の方法をご紹介する。
関連情報
2012/2/20 18:15
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