Googleのプライバシーポリシー統合前に押さえておきたいこと

オプトアウトアドオンと削除


 ここまでどんな情報が保存されているか、公開されたくない情報や不必要な情報をできるだけ渡さないようにすること、ウェブブラウザーによってローカルに保存された情報の削除方法を見てきた。最終回となる今回は、Google Analyticsオプトアウトアドオンなど、トラッキング拒否ツールの紹介と、Googleストリートビューの削除依頼の仕方などをご紹介する。


Google Analyticsオプトアウトアドオンなど、トラッキング拒否ツールを使う

 Googleアカウントにログインしないで検索するなど、アカウントと紐付いた履歴がGoogleに残らないようにする。さらに、ウェブブラウザーでも、Google Chromeのシークレットウィンドウを使ってアクセスする、あるいはFirefoxでブラウザー終了時にすべての履歴やキャッシュを削除するよう設定するなどの方法で、Cookieや履歴が残らないようにすることはできる。

 しかし、それだけ対策したとしても、他サイトにアクセスするとやはり履歴は残る。

 たとえば、Google Analyticsのタグを埋め込んだサイトにアクセスすると、訪問履歴はウェブサイト側に残ることになる。これはGoogle Analyticsだけでなく、各種アクセスカウンターなど、アクセス解析のためのタグを仕込んだサイトは必ずアクセスログを取得している。現在では、無料ブログサービスなどでもアクセス解析機能が提供されており、どこかのサイトにアクセスしたら必ずアクセスログは残るものと考えた方が良いだろう。

 もっとも、アクセス解析のために取得したログは、アクセスした時間、利用しているISP、IPアドレス、リファラー(訪問の際にリンクを踏んだ場合は、そのリンクがあったページ)、ウェブブラウザー名、バージョン、アクセスしたPCのOSのバージョン、ディスプレイ解像度、対応する言語や文字コードなどで、これらのログから個人特定はできない。

 もちろん、警察の捜査などにおいては、アクセス時間、ISP、IPアドレスがあればISPに情報開示を求めることで、その時間にそのIPアドレスを割り振られていたユーザーを特定することは可能だが、逆に言えば、犯罪捜査などの特別の場合以外ではアクセスログから個人特定はできない。

 ただし、Google Analyticsのようにタグを埋め込むことで、個人特定はできないにしろ、ひとりのユーザーの挙動を、何カ月にもわたってトラッキング(追跡)することが可能だ。中には、そうしたトラッキング自体が嫌だと感じる方もいるだろう。

 実は、こうしたトラッキングを拒否するツールをGoogle自身が提供している。

 Googleは、2010年5月にGoogle Analyticsオプトアウトアドオン(http://tools.google.com/dlpage/gaoptoutと呼ばれるアドオンの提供を開始した。提供開始当初はChrome/Firefox/IEのみの対応だったが、現在はそれに加えて、Opera/Safariにも対応している。設定はウェブブラウザーによって多少異なり、たとえばChromeなら有効か無効かの設定しかないが、Operaでは「保護されたページで有効にする」か「プライベートタブで有効にする」かを選択できる。

Chromeでは有効にするか無効にするかの設定しかできないOperaの場合は、有効にする際のオプションが選べる

 こうしたトラッキングを無効にするオプトアウトツールについても、ウェブブラウザーのアドオンとして提供されている。現時点では、一番こうしたツールが充実しているのはFirefoxだ。また、FireFoxはVersion 4以後でトラッキング防止機能を搭載しており、これを有効にすることも効果的だ。Operaは、Cookieツールと共通のものが1つある。

Firefoxのアドオンマネージャ(about:addons)で“Opt Out”を検索した例「Ghostery」は総合的なセキュリティ対策ツール。原稿執筆時点での最新バージョンは0.9.5だったFirefoxのプライバシー設定の中にトラッキングの項目がある。ここで「トラッキングの拒否をWebサイトに通知する」にチェックを入れると追跡防止になる

 IEはGoogleのアドオン以外にも6種類のプラグインがIEギャラリーから入手できる。Chromeは現在のところ、Googleが提供するアドオンが唯一のツールのようだ。


Googleに保存された情報を削除する~自分の所有するサイトの場合

 最後に、Googleの蓄えているデータの削除についてご紹介したいと思う。Googleはウェブ検索で最適な結果をユーザーに即時に提供するために、キャッシュという形でさまざまなウェブページを保存している。

 キャッシュは、グーグルのプログラムが自動的に世界中のウェブページにアクセスする=クロールすることで、一定期間ごとに新しい内容に更新される。クロールする頻度はサイトによって大きく異なる。クロールの頻度は、おそらくサイトの人気や更新頻度などにより調整され、長い場合には数カ月以上という話も聞くが、その間キャッシュは更新されないことになる。

 このため、何らかの形で個人情報などがどこかのページに掲載されてしまい、しかもそこがキャッシュされたような時に、当事者が気づいて慌てて当該ページを削除してもキャッシュは残ったままで、数カ月からひどい場合は1年以上にもわたって、検索したユーザーの目に晒されたままとなってしまう、という事態が現実に多く起こっている。

 こうした際には、検索結果でウェブページを表示しないようにしたり、キャッシュの削除をGoogleに申請することができる。これらのメニューには、Googleへログインして、ダッシュボードのMe on the Webからアクセスできる。

 ログイン後に、ウェブブラウザーの画面右上に表示されているアカウント名をクリック→プルダウンメニューで[プライバシー]→右のメニューから[プライバシーツール]→[Googleダッシュボード]→[Me on the Web]→[不要なコンテンツを削除する方法]で、[Google の検索結果からページやサイトを削除する]というページにアクセスする。

 ここでは[自分が所有するサイトのコンテンツを Google の検索結果から削除する]と[他のサイトのコンテンツを Google の検索結果から削除する]の2つから選択する。

 [自分が所有するサイトのコンテンツを Google の検索結果から削除する]を選択すると、以下の選択肢が表示される。

・1つのページ全体を削除する
・ページをキャッシュから削除する
・1つのディレクトリまたはサイト全体を削除する
・画像を削除する
・Blogger、マップ、YouTube などの Google のサービスから情報を削除する
 
 1つのページ全体、ページのキャッシュを削除、ディレクトリまたはサイト全体、画像の削除については、画像削除では画像のURLが必要であるほかは、基本的に同じ手続きとなる。なお、ここで削除を申請するには、まず実際にそのページが削除済みである必要がある。ページが存在している間は、Googleでは対応しない。Googleの検索結果に出ないようにしたり、キャッシュの削除依頼をしても再びクロールすればまたキャッシュやインデックスが生成されてしまうので意味がないためだ。

 また、自分のサイトとして各種削除依頼をするには、ウェブマスターツールで確認済みのサイトのページを、サイトの所有者が削除する場合に使用することという条件が付いている。

Googleダッシュボードの「Me on the Web」から[不要なコンテンツを削除する方法]をクリック削除したいのは自分が所有するサイトのコンテンツか、他のサイトのコンテンツかを選択
[自分が所有するサイトのコンテンツを Google の検索結果から削除する]を選ぶとこの画面になる自分が所有サイトを削除する場合は、ウェブマスターツールで確認済みのサイトであることが条件になる

 サイトの所有者であることを確認済みにするには、ウェブマスターツールのページ(https://www.google.com/webmasters/tools/home?hl=ja)にアクセスして、[サイトを追加]をクリックするとポップアップウィンドウが表示されるので、そこにサイトのURLを入力する。

 サイトのURLを登録しただけでは確認済みのサイトにはならないので、サイトの確認には、登録したサイトの右側に表示される[サイトを管理]を押してプルダウンメニューで[このサイトを確認]を選択する。[おすすめの方法]タブで表示されるGoogle推奨の方法は、(1)確認用HTMLファイルをダウンロードして、(2)サイトのトップレベルに設置。(3)「サイトのURL/確認用HTMLファイル名」へアクセスして確認用HTMLファイルが間違いなく設置されているのを確認して、(4)このページにある[確認]ボタンを押す。

 なお、確認済みサイトとしておくためには、ここで確認が成功しても、確認用HTMLファイルは削除してはならない。

 サイトの確認方法としてはそのほかに、サイトのホームページにGoogleの発行したメタタグを設置する、 Google Analyticsアカウントを使うなどがあるが、Googleが推奨する通り、確認用HTMLファイルを設置するのが最も手軽な方法だろう。

 サイトが確認済みになると、ウェブマスターツールのメニューから削除申請が行える。ウェブマスターツールから削除を行うと、削除したページはGoogleの検索結果に表示されなくなる。このツールを利用するメリットは、すぐに検索結果から問題のページを外すことができる点だ。

確認済みのサイトにするには、まずウェブマスターツールのページへアクセスする画面右の[サイトを追加]ボタンを押すと、URLを登録するウィンドウが開くURLを入力してサイトを登録したら、右のプルダウンメニューで[このサイトを確認]を押す
[このサイトを確認]を押すと、この画面になる。Googleが勧める方法はHTMLファイルをサーバーにアップロードするというやり方だ左の画面でHTML確認ファイルをダウンロードして、中を見ると確認用コードの入った1行だけのファイルであることがわかる。このファイルをサーバーにアップロード後、画面下の[確認]ボタンを押すと、確認済みのサイトになるそのほかに、1)メタタグをサイトのホームページに追加、2)Google アナリティクス アカウントを使用する、3)DNSレコードをドメインの設定に追加という方法でも確認済みのサイトにすることができる



 
 [自分が所有するサイトのコンテンツを Google の検索結果から削除する]で表示される箇条書きの最後の項目、[Blogger、マップ、YouTube などの Google のサービスから情報を削除する]で案内されているのは、自分の所有するコンテンツ用の申請ページではなく、法律違反となるような、Googleのサービスから削除すべきと思われるコンテンツを報告するフォームとなっている。

 法律違反となるようなコンテンツとは、たとえば、幼児ポルノ画像がPicasaで公開されているとか、違法薬物販売のAdSense広告を見つけたなどが該当するだろう。これらはプライバシー問題からは外れるので、ここでは詳細な手続きは割愛する。

 また、YouTubeについてはヘルプセンターのページで名誉毀損、著作権や商標権侵害、その他の法律問題を受け付けている。いずれもフォームからの投稿が可能だ。

[Blogger、マップ、YouTube などの Google のサービスから情報を削除する]を選ぶとこの画面になる。法律違反となるようなコンテンツを報告するフォームとなっているYouTubeの削除依頼などは、YouTubeのヘルプセンターから連絡する名誉毀損の申し立てフォーム。電車の中で断りなく撮影された自分の動画をYouTubeで発見したような場合は、「著作権」のフォームから肖像権侵害で申し立てた方が話が早いだろう


Googleに保存された情報を削除する~他サイトの場合

 Googleダッシュボードの「Me on the Web」から、[他のサイトのコンテンツを Google の検索結果から削除する]を選ぶと、以下の項目が表示されるので、該当するリンクをクリックする。

・1つのページ全体の削除をリクエストする
・ページのキャッシュからの削除をリクエストする
・画像の削除をリクエストする
・Blogger、マップ、YouTube などの Google サービスから情報を削除する
・法的な理由でコンテンツの削除をリクエストする

 1つのページ全体の削除、ページのキャッシュからの削除、画像の削除のいずれの場合も、削除してほしいページや画像のURLを入力する。なお、2月22日現在では「Me on the Web」のリンクをたどると、削除リクエストのページは英語ページに飛んでしまうので、こちら(https://www.google.com/webmasters/tools/removals?hl=ja)の日本語ページから削除をリクエストする。

 なお、当然のことながらGoogleでは削除してほしいサイトのページそのものを消すことはできない。Googleに依頼できるのは、検索結果に出ないようにすることと、Googleで保持しているキャッシュを最新の状態に変更するよう依頼することだ。

 キャッシュの削除は、実際のページが更新されているにもかかわらず、Google の検索結果に古い情報が表示される場合に、最新の情報に変更するよう依頼することができる。

 具体的には、前述の「コンテンツの削除ページ」に移動し、[新しい削除リクエストを作成]を押す。するとURL入力画面となるので、問題のURLを入力する。もう問題のURLの先が存在しなければ、確認画面となるので「はい、このページを削除します」を押すとリクエストが登録される。

トップページにはこのページへのリンクが無いのがちょっと不便である。Googleは、キャッシュを消しても元のページが残っていれば意味がないので、最初に元のページを消すようにと説明するとはいえ、直ちにキャッシュを削除・更新してくれるわけではなく、一旦留保する形になる

 なお、自分の所有するページと同様に、Googleとしては、仮に個人情報がウェブ上で公開されていたとしても、それが公開され続けているのであればキャッシュから消しても意味が無いというスタンスだ。従って、まず最初に元のページを消すようにと説明する。逆に元のページが消えれば、もはやキャッシュを保持する意味がないとして、あっさり削除要求を受け入れてくれる。


個人の機密情報がサイトで公開されている場合

 個人の機密情報がサイトで公開されている場合は、ウェブマスターツールのヘルプにある「個人情報が Google で表示されないようにする方法」(http://support.google.com/webmasters/bin/answer.py?hl=ja&answer=164133)のページへアクセスする。

 ページの下の方に、[個人の機密情報がサイトで公開されている場合]という項目があり、その下に以下のような箇条書きのリンクがある。

・自分の ID 番号などの個人情報
・自分の銀行口座番号やクレジットカード番号
・自分の署名の画像
・Google の検索結果に表示されたアダルト スパム サイト内の自分の氏名または商号

 該当するものを選んでクリックすると、申告フォーム画面になるので、必要事項を記入して送信する。

ウェブマスターツールのヘルプにある「個人情報が Google で表示されないようにする方法」ページの下の方にある[個人の機密情報がサイトで公開されている場合]の項を見る左の画面で、[自分の銀行口座番号やクレジットカード番号]をクリックした場合に、このフォーム画面になる。必要事項を入力して送信する


Googleストリートビューの削除依頼

 さて、おそらく一般にはこの削除依頼をする機会が最も多いかもしれない。一時期プライバシーの問題でかなり話題になったGoogleストリートビューだ。以前に比べると自動ぼかしツールがうまく働くようになったものの、あまり見られたくない洗濯物が外に干してあるベランダの画像が全世界に公開されていた、といったことはあり得る。たとえ表札にぼかしが入ったとしても、自宅の外観を見られたくない、という人もいるだろう。

 また、Googleのストリートビュー画像は更新される、ということは覚えておきたい。今日チェックしたストリートビュー画像は問題なくても、数年後には新しく撮影し直した画像に差し替えられる。新しい画像には、見られたくないものが写っていたという可能性もある。年に1回程度、たとえば誕生日とか日を決めて、自宅付近のストリートビュー画像を確認するのもいいだろう。

 ということで、ここでは株式会社Impress Watchが入居しているビル画像を例に上げてご説明しておこう。まず、ストリートビューで対象となる画面を開く。ここで画面の左下に問題の報告ページへのリンクがある。これをクリックすると「不適切なストリートビューを報告」ページに移行する。

左下にある"(c)2012 Google. 問題の報告 画像撮影時期:2009年11月"という文言で、「問題の報告」のみリンクになっているので、これをクリック理由、問題の詳細、メールアドレスを入力して、ストリートビュー画像の問題の部分が中央に表示されるよう調整する。最後にCAPTCHA文字を入力する

 「不適切なストリートビューを報告」ページでは、まず最初に、不適切な理由が3つ示されている。それぞれの理由をクリックすると、より詳細な項目が表示されるので、項目を選んだあと、必要なら問題の詳細をテキストの形で記述して、メールアドレスを入力する。その後、画像のプレビューを操作して、消したい部分が赤枠の中に入るように調整し、最後にスクリプトによる依頼をはねるためのCAPTCHA文字列を入力して申告終了である。

 なお、Googleストリートビューの報告は、前述したキャッシュの削除と異なり、Googleにログインしていなくても報告可能だった。

プライバシー関連だとこの3つから、さらに処理を選ぶ。例えば自宅だと、ここで「自宅が写っている画像を見つけたので、ぼかしてほしい」と「自宅の表札が写っている画像の不鮮明処理を依頼」が選択できる不適切な内容の場合、[画像にヌードなどの不快な内容が含まれている][プライバシーに関する問題][その他]の3つの項目が並んでいる「その他」は、ストリートビューの間違いや画像が悪い、あるいはセキュリティの問題を指摘するなどの項目のほか、ストリートビューに関する全般的なフィードバックを送るという項目があった。


ネット上に露出する自分の情報をコントロールする

 Googleダッシュボードの説明で、[ソーシャルコネクションとソーシャルコンテンツ]の項目で説明したが、Googleのサービスではオプトアウトができないものも多い。Google1社に情報が集中するのが気になる人は、検索とGmailはGoogle、SNSは他社のもの、たとえばTwitterやFacebook、チャットはMSのLiveメッセンジャー、オンラインストレージはDropbox、といった形で使い分けていくのも手だ。

 もちろん、とくにそういうことが気にならないなら、Googleのサービスを使い込むことで、より作業効率を追求することもできる。結局のところ、自分に合った使い方は、自分で考えて見つけていくしかないだろう。

 当初考えていたよりも長くなってしまったが、今回はGoogleのプライバシーポリシーの統一に関係しそうな情報をまとめてご紹介させていただいた。読者のご参考になれば幸いである。



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2012/2/24 06:00


大原 雄介
 ライター業もそろそろ20年目を突破。一応当初はPC系兼業ライターということでスタートしたものの、最近は専ら組み込み系がメインの専業ライターに。PCや組み込み系ではOSから下のレイヤ、ネットワーク系ではL2~L3以下のレイヤを専ら得意とする。ちなみに本職は「猫に傅く事」で、そのための費用稼ぎにライター業を営んでいる。