インターネットはこうして創られている~IETFの仕組み
第1回:IETFが広島にやってくる
今年7月に開催されたIETFのストックホルム会場「Stockholm City Conference Centre」。中にキャバレーやダンスホールがあり、そこもミーティングの会場として使われた |
ふだん当たり前のように使っているインターネット。このインターネットはどうして動いているのだろう? と思ったことはないだろうか。
パソコンひとつ取ってみても、たくさんのメーカーが作っており、オペレーティングシステムもWindowsやMacOS、Linuxとさまざまなものがある。他にも、サーバーやルータなどインターネットを構成する機器はたくさんあるが、そもそもこれらの装置が「ちゃんと」つながるということはあたりまえのようで、大変なことである。
この「なぜ?」の答えは簡単で、みんなでルールを決めてそれに従って各機器を使っているから「ちゃんと」つながるのである。このルールを「通信規約」あるいは「プロトコル」と言う。TCPやIP、http、ftpのいずれも名称の最後の「P」または「p」はプロトコルを指しており、いずれも「ちゃんと」つながるためのルールなのだ。
では、このルール、どこで決めているのだろうか? たとえば、無線LANの802.11nもプロトコルのひとつだが、これはIEEE(アイトリプルイー;The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.=米国電気電子学会)で決められている。
しかし、前述のIPをはじめとするインターネットを構成するプロトコルの多くは、IETF(Internet Engineering Task Force)で決められている。そして、このインターネットのプロトコルを決めている現場に読者のみなさんも参加できると言ったら、驚かれるかもしれない。
●IETFは誰でも参加できる
インターネットの技術に興味を持ち、関連するプロトコルの設計のための議論に積極的に参加したいと思うならば、誰もが参加することができるのがIETFの大きな特徴の1つである。
多少のルールはあるが、あなた自身が新しいプロトコルを提案していくことも可能なのである。議論は、メーリングリスト上での議論と年3回行われる会議で進められるが、実はその1回が、この11月に広島にやってくるのだ。2002年7月に横浜で開催されて以来、7年ぶりの日本での開催となる。
全体会議(プレナリ)の様子。ストックホルムでは1000人程度の参加者があった。広島も同程度の規模になる見込みだ | 広島での開催をアナウンスする慶應義塾大学環境情報学部 村井 純教授。即席で折り紙の鶴を折って広島の紹介をしていた |
海外でのミーティングだと、興味があっても気軽に行ってみるというわけにはいかないが、そういう意味で今回の日本での開催は、「ちょっと様子を覗いてみようか」という人々にはチャンスだろう。
とくに、今回から、新たにOne Day Pass(1日参加券)が設けられ、興味のある話題の日だけ参加することも可能となっているのでちょっと参加してみたい人にはOne Day Passがおすすめだ。このOne Day Passは、指定した1日のほか、日曜日に開催されるチュートリアルやレセプション、水曜日と木曜日に開催されるプレナリと呼ばれる全体会議にも参加できる。
また、もしあなたが学生ならば、学生料金も設けられているので、インターネットが創られている現場に立ち会ってみるのもいいかもしれない。
とはいえ、IETFでどんなことが議論されており、どういう風に議論が進められるのか知らないと参加しづらいと思うかもしれない。そこで、この連載ではIETFの構造と仕組み、プロトコルの読み方とプロトコルができるまでなどについて、順を追って説明していきたいと考えている。
なお、会議のプログラムもアナウンスされ、宿泊施設などがそろそろ満室になるところが出てきている。興味がある方はまずは申し込んでみていただきたい。さあ、あなたもインターネットを創る一員として参加してみよう。
IETF広島 2009年11月8日(日)~13日(金) http://www.ietf.org/meeting/76/ |
会議プログラム https://datatracker.ietf.org/meeting/76/agenda.html 参加申し込み http://www.ietf.org/meeting/register.html 早期割引料金: US$635 (10/31までの申し込み) 当日料金: US$785 学生参加料金: US$150 一日参加料金: US$200/day 一日参加料金では、月曜日から金曜日の指定した一日に参加できるほか、日曜日に開催されるチュートリアルとレセプション、水曜日と木曜日に開催されるプレナリ(全体会議)にも参加できる。 宿泊関係情報 http://www.ietf.org/meeting/76/hotel.html IETFメーリングリストへの参加 https://www.ietf.org/mailman/listinfo/IETF-Announce まずは、IETF関連のアナウンスが流れるメーリングリストに参加してみよう。上記URL(英文)から登録できる。 |
関連情報
2009/10/13 11:00
-ページの先頭へ-