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インターネットはこうして創られている〜IETFの仕組み

第5回:IETFの歩き方


 いよいよ広島でのIETFが開幕した。街のあちこちにIETFの案内が出ていたりして、私自身も少し盛り上がったりしているところである。そこで今回は、IETFミーティングへの参加の仕方についてお話しすることにしたい。

自分の興味のある話題はどこでやっているかを見つける

 一番大切なのは、自分の興味のある話題がどこで話されているかを把握することである。その手がかりは、会議のプログラムにある。受付でもらったプログラムでも、会場に掲示されているプログラムでも、あるいはIETFのWebページを参照してもいいが、いつどのワーキンググループやBOFが開催されるのかを把握すると良いだろう。

 そのワーキンググループが何について議論する場所かを確認するためには、ワーキンググループのホームページを参照してみよう。これは、Web版のプログラムで、ワーキンググループの略称部分をクリックするとワーキンググループのホームページにリンクされているので、そこから参照するのが便利だ。

会場のANA Crown Plaza Hotel広島。3階および4階が会場となっている 会場の近くの交差点に設置されたIETFの案内。地下街などでも案内やIETFの説明が掲示されている

ワーキンググループのホームページでわかること

 では、具体的にワーキンググループのホームページを見てみよう。ここでは、6manワーキンググループ(IPv6 Maintenance WG)のページ( http://www.ietf.org/dyn/wg/charter/6man-charter.html )を見てみることにしよう。

 IPv6の基本的な仕様は決まっているが、実装や運用、普及が進むにつれて改良しなければならない点、あるいは修正しなければならない点が発生してくる。そうした問題を議論するのが6manワーキンググループの役割だ。

ワーキンググループのホームページの情報の見かた

 6manワーキンググループの役割については、「Description of Working Group」と書かれている部分を参照すると良い。また、ワーキンググループでの議論について、どの内容をいつまでにRFCとするかというスケジュールも書かれている。これは「Goals and Milestones」という部分を見ることになるが、これを見るとワーキンググループでの議論がどこまで進んでいるのかがわかる。

 続いて、「Internet-Drafts」と「Request for Comments」という項目にワーキンググループが管理しているInternet Draftのリストとワーキンググループが発行したRFCのリストとなっている。とくに、Internet Draftは今議論中の話題となる。ミーティングに参加する前に読んでおくとよいだろう。

IETFミーティングの議題をチェックする

IETFのプログラム案内ページ。基本的に、一番右側が部屋の名前、続いてエリア名、ワーキンググループ略称(BOFの場合は、BOFの略称)、ワーキンググループの名称(BOFの名称)となっている

 Internet Draftがたくさんある場合には、ワーキンググループのホームページの情報だけで、どの話題が一番活発なのかを見分けるのは難しい。そこで、Web版プログラムに戻り、ワーキンググループの名称(略称の右側)をクリックすると今度はミーティングの議題(Agenda)が表示される。ここを見ると、今回のミーティングでどのInternet Draftについて議論するかが書かれている。

 また、会議に参加していると、発表者が使っている資料をじっくりと参照したいという場合がある。こうした資料も、原則としてすべて公開されている(最終的には議事録として公開される)。これらを参照するには、会議用資料(Meeting Materials)のページにアクセスすれば、PDFまたはPowerPoint形式のファイルが公開されている。

 いきなり英語の議論に飛び込んでいったりするのはなかなか大変かもしれないが、議論のポイントが何かを理解するためにはちょっとがんばってみていただきたい。話題は技術のことなので、発表資料などを参照しつつ、じっくり聞いてくると、だんだんわかってくるものだ。積極的に入り込んでいくことをお勧めする。

エリアのOpen Meetingに参加してみよう

 なお、いきなりワーキンググループの議論に入っていくのはちょっとハードルが高いと思う場合には、エリアのOpen Meetingと呼ばれる会議に参加してみるとよいだろう。

 Applications Area Open Meeting(apparea)やInternet Area Open Meeting(intarea)、Routing Area Open Meeting(rtgarea)、Operations & Management Area Open Meeting(opsarea)、Security Area Open Meeting(saag)、Transport Area Open Meeting(tsvarea)に参加すると、今回の会議で各ワーキンググループがどのような議論をするか(あるいは、したのか)について概要が説明されるので、概要を知るには便利な会議となっている。

 また、新たにBOFとして活動しようとしている話題などについても説明があるので、これからの話題についても知ることができるだろう。

今もっとも重要な話題を知るには〜Plenaryに参加してみよう

IETF広島の会場となるANA Crown Plaza Hotel広島の受付。事前に参加申し込みを済ませていれば、名前を告げて名札をもらうだけだ。この時、ポケットサイズのプログラムを忘れずに受け取るようにしよう

 そして、IETFが考える「今もっとも重要な話題」を知るには、「Plenary」と呼ばれる全体会議に参加することをおすすめしたい。水曜日と木曜日の夜にスケジュールされているが、ここではさまざまな現状報告とともに、インターネット全体として考えておくべき技術に関する議論が行われる。

 今回は、11月12日(木)に国際化ドメイン名と符号化ルールに関する話題が提供される予定となっている。なお、一昨年に急逝したitojunこと萩野純一郎氏の遺志を継ぐために設置された、「Itojun Service Award」の受賞者の発表が11月11日(水)のPlenaryで行われる。こちらも注目していただきたい。



関連情報

2009/11/11 06:00


砂原 秀樹
(すなはら ひでき) 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授/奈良先端科学技術大学院大学情報科学科学研究科教授(兼任)。慶應義塾大学の村井 純教授が主宰するWIDEプロジェクトでボードメンバーを務める。
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