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第2回:マルチメディアステーションとして活用する


多様化する端末、そのメディアの保存先は?

 仕事で使うPC、外出先で使うスマートフォン、音楽プレーヤー、タブレットやスレートタイプの新型端末、家庭用のテレビなど、あらためて身の回りを見てみると、ネットワークに接続してさまざまな情報を「見る」ことができる機器が増えてきたことに驚かされる。

 その一方で、ハイビジョン対応のデジタルビデオ、動画も撮影できるデジタルカメラ、どんどん高画質になっていく携帯電話のカメラ、デジタル放送対応のレコーダーやテレビなど、デジタルデータを手軽に「録る(撮る)」ことができる機器も当たり前のように身の回りに存在している。

 では、これらのデータは効率的に管理されているだろうか?

 おそらくほとんどの場合、個人ごとに個別に、別々の機器に、バラバラに管理されているのではないだろうか? たとえば、同じ映像だけを考えても、デジタルビデオカメラで撮影したものはテレビに接続されたレコーダーに、デジタルカメラで撮影した映像はPCに、携帯電話で撮影したものはそのまま端末にと、同じデータで別々に保存されるケースが多い。

身の回りにあふれるデジタルデータ。NASを利用することで、これらのデータを入り口と出口を効率的に管理することができる

 しかし、ここまでデータの入り口と出口が増えてきてしまうと、そろそろ個別の機器で管理するのは限界だ。すでに「データ自体はおそらくあるはずだが、それがどこにあるかはわからない」という状況の人も少なくないことだろう。

 そこで、利用したいのがNASだ。ネットワーク上に設置した巨大なストレージにデータを集約し、それをさまざまな端末で見られるようにできるマルチメディア機能を搭載したNASを利用すれば、多様化する端末のデータを効率的に管理し、それを場所や端末にとらわれずに見ることが自在にできるようになる。

 マルチメディア機能に強いハイエンドNASを利用して、身の回りのデジタルデータをさらに活用してみよう。

NASのマルチメディア機能を活用することでデータを安全に蓄えつつ、さまざまな機器で再生可能にできる

マルチメディア機能も充実したQNAPのNAS

 では、音楽や写真、映像などのデータを効率的に管理するには、どのようなNASを利用すれば良いのだろうか?

 最近では、DLNA対応やiTunesサーバー機能などのマルチメディア機能を搭載したNASが増えてきたが、ここで注目したいのはQNAPのTurbo NASシリーズだ。iSCSIなどにも対応した企業向けのハイパフォーマンスNASだが、UPnPメディアサーバやiTunesサーバを標準で搭載しているうえ、NAS上に保存したデータをWebベースの画面から操作することができたり、さらにはiPhoneやiPad用のアプリを利用して外出先から手軽にデータにアクセスすることも可能となっている。

 つまり、Turbo NASがあれば、複雑な設定をすることなく、音楽や映像、写真などの保存したデータを家庭用のテレビで見たり、音楽プレーヤーで聞いたり、PCで再生したり、スマートフォンでアクセスしたりと、さまざまな方法で活用できるわけだ。

 では、早速、具体的な使い方を見ていこう。今回、使用するのは「QNAP TS-259 Pro+」という2つのベイを搭載した比較的コンパクトなNASだ。コンパクトとは言え、デュアルコアのAtom D525(1.8GHz)と1GBのメモリを搭載しており、2ポートの1000BASE-Tまで搭載する企業向けとしても利用できる高性能な製品だ。

 2ベイ構成となるため、標準のHDDのみではRAID0/1、JBODの構成となるが、家庭やSOHOなどの環境でも設置場所に困らないため、メディアの共有という用途に適した製品となっている。

QNAPの「TS-259 Pro+」。2ベイ構成のコンパクトなNASだが、機能的にはハイエンド機とほぼ共通。CPUもデュアルコアのAtom D525を搭載する 「TS-259 Pro+」側面
「TS-259 Pro+」正面 「TS-259 Pro+」背面

UPnPメディアサーバーとして利用する

 まずは、UPnPメディアサーバー機能を利用してみよう。UPnPメディアサーバーは、NAS上に保存された写真や音楽、映像などのデータをDLNA対応のテレビやPCで再生できる機能だ。TS-259 Pro+では、「TwonkyMedia Server(バージョン5.1.6)」と呼ばれるNASやホームサーバー製品で広く利用されているメディアサーバーソフトが搭載されており、これを利用してメディアを公開することができる。

 使い方は非常に簡単だ。TS-259 Pro+の設定画面にアクセス後(http://IPアドレス:8080)、「アプリケーション」にある「UPnPメディアサーバー」を開き、「UPnPメディアサーバーを使用」と「この機能を有効にしてから、以下のリンクをクリックしてUPnPメディアサーバの設定ページに入ってください。」にチェックを付ければ良い。

 標準では、HDD上に自動的に作成された「Multimedia」フォルダに保存されているデータが公開される設定になっているが、これは設定ページのリンク(http://IPアドレス:9000/)からTwonkyMedia Serverの設定ページにアクセスすることで変更できる(ユーザーインターフェイスの日本語化も可能)。

TS-259 Pro+の設定画面。QNAPのNASならではのグラフィカルでわかりやすい設定画面となっている
UPnPメディアサーバーを有効にする。Twonkyの設定画面を表示する場合は設定項目の両方チェックを付けておく必要がある サーバープログラムはTwlnkyMedia Serverを利用。設定画面にアクセスすることで公開するフォルダなどもカスタマイズできる

 メディアファイルを再生するには、NAS上の「Multimedia」フォルダに写真や映像、音楽などのファイルを保存後、PCや家庭用テレビなどからアクセスすれば良い。もっとも簡単な方法は、Windows 7のWindows Media Player 12を利用する方法だ。Windows Media Playerを起動すると、「その他のライブラリ」に「TwnkyMedia[NASの名前]」が表示されるので、ここから写真や音楽、映像などを参照して再生できる。

 DLNAに対応した家庭用のテレビやゲーム機などからも同様にサーバー上のファイルを参照できるが、この場合は機器側が対応するファイル形式、特に映像の形式に注意が必要だ。TS-259 Pro+側では、MP4やMTS、MOV、WMVなどさまざまな形式のファイルを公開できるが、再生する側の機器(テレビやゲーム機)側が、対応しているファイルがないと、一覧にファイルが表示されなかったり、再生することができない。

 家庭用機器の場合、PS3が比較的対応フォーマットが多く、デジタルビデオカメラやデジタルカメラで撮影したハイビジョン映像(MTS)なども再生できるため、PS3を利用するのが便利だろう。

Windows Media Player 12を利用してサーバーにアクセス。サーバー上の写真や音楽、映像を再生できる クライアントとしては対応フォーマットが多いPS3が使い勝手がいい

 なお、iPhoneやiPadなどもDLNAクライアントのアプリ(MLPlayer Liteなど)をインストールすることでTwonkyMedia Serverにアクセスできるが、これらの機器を利用する場合は後述する専用アプリを利用した方が利便性が高いので、無理にUPnPメディアサーバー機能を利用する必要はないだろう。

 このほか、音楽に関しては、iTunesサービスを利用することもできる。同様にTS-259 Pro+の設定画面から「アプリケーション」の「iTuensサービス」を有効にすることで、「Multimedia」フォルダに保存した音楽データをネットワーク上のiTunesから再生できるようになる(バージョンによってはファイルが表示できない場合もあるため最新版を利用のこと)。iTunesで音楽を管理したい場合は、有効にしておくといいだろう。

iPhoneやiPadもDLNAクライアントをインストールすることでメディアサーバーにアクセスできる。ただし、後述するQMobileを利用した方が使い勝手がいい iTunesサーバー機能も搭載。NAS上に保存した音楽をネットワーク上のiTunesから再生できる(10.0.0は不具合で接続不可のため更新がが必要)

外出先からもメディアにアクセス可能

 このように、NASによってメディアを管理することで、これまでさまざまな機器やさまざまなPCに分散していたメディアファイルを統合し、それをテレビやゲーム機などいろいろな端末から再生することが可能となるが、TS-259 Pro+には、さらに便利な機能も搭載されている。

 Webベースのユーザーインターフェイスでメディアファイルにアクセスできる「マルチメディアステーション」だ。

 設定画面から「アプリケーション」の「マルチメディアステーション」を有効に設定すると(Webベースの機能となるため事前にWebサーバー機能も有効にする必要がある)、ネットワーク上のPCからブラウザを利用して「http://サーバーIP:80/MSV2/(またはhttps://サーバーIP:8081/MSV2/)にアクセスし、ログインすることでサーバー上の「Multimedia」フォルダを参照することが可能となる。

 もちろん、単にファイルを参照できるだけでなく、映像の再生も可能だ。このため、本稿の第1回で紹介したように、Dynamic DNSなどを利用してTS-259 Pro+にインターネットからアクセスできるようにすれば、外出先などからNAS上のビデオを再生することも可能だ。

 この機能の場合も、メディアファイルの形式によっては直接再生することができない場合があるが、その場合はファイルをFLV形式に変換してから再生することができる。あらかじめ形式を変換しておく必要などがないので、手間がかからないのはメリットだ(未対応のファイル形式もある)。

マルチメディアステーションを利用するにはWebサーバー機能が必要。無効の場合は事前に有効にしておく マルチメディアステーションの設定画面。QNAPのNASでは、どの機能も基本的に有効にするだけですぐに利用できる
WebベースのUIでNAS上のファイルにアクセス可能。LAN内のPCはもちろんのことインターネット経由でも利用できる 動画ファイルも再生可能。一部のフォーマットについては事前にFLVにコンバートしてから再生することもできる

 また、この機能はiPhoneやiPadからも利用できるのが大きな特長となっている。iPhoneやiPadのAppStoreで「QMobile」と検索すると、QNAPのNAS向けのアプリを無償でダウンロードすることができる。

 このアプリは、マルチメディアステーションにアクセスするためのクライアントなっており、LAN上やインターネット経由でiPhoneやiPadからNAS上のファイルを再生することができるようになっている。これにより、外出先から自宅のNAS上の音楽を楽しんだり、離れた場所にいる人に自宅のNAS上の映像を公開することなどができる。

 また、iPhoneを利用した場合、カメラで撮影した写真やカメラロールの写真をQMobile経由でNAS上に保存することもできる(動画は不可)。外出先などで撮影した写真をその場でアップロードするという使い方もできるというわけだ。

 なお、映像を再生する場合は形式に注意する必要がある。iPhoneやiPadがMP4しか再生できないため、これ以外の形式のファイルがNAS上に存在しても表示できない(変換もできない)。iPhoneやiPadで映像を楽しみたいときは、あらかじめMP4形式に変換してからNAS上に保存するようにすると良いだろう。

QNAPのNASにアクセスするためのiPhone/iPadアプリ「QMobile」。同一LAN上はもちろんのこと外出先からもNASのファイルにアクセスできる メディアファイルへのアクセス(Multimediaフォルダ内)、音楽のストリーム再生、そしてiPhoneで撮影した写真のアップロードに対応する
ビデオのストリーム再生も可能。ただし、iPhone側が対応しているフォーマットのみに限られる(MP4) iPhoneで撮影した写真をNASにアップロード可能。撮影済みの写真だけでなく、その場で撮影してアップロードすることもできる

ビジネスシーンでも活用できる

 このように、QNAPのTS-259 Pro+をメディアサーバーとして利用する方法を紹介したが、意外に手軽にメディアを共有できることに感心したのではないだろうか。

 メディアの共有というと家庭用というイメージが強いかもしれないが、最近ではビジネスシーンで写真や映像を利用することも珍しくない。たとえば、製品写真やプロモーション映像、工事現場の写真、下見で訪れた国内外の施設の映像、場合によっては会議の音声など、さまざまなデータをNASに集約することで業務に役立てることもできる。

 ファイルサーバー兼メディアサーバーとして利用するのはもちろんのこと、コンパクトなTS-259 Pro+なら、既存のファイルサーバー環境にメディア共有用として追加して利用することもできるだろう。

 このほか、QNAPのNASならではの特長として、QPKGプラグインによる機能強化もできる。メディアサーバー系のQPKGとしては、今回紹介したTwonkyMedia Serverの旧バージョン(クライアントによっては旧バージョンでないと使えない例もある)、さらにはPS3 Media Serverなども提供されている(ただし、PS3 Media Serverについては、2010年10月時点では不具合により公開停止中なので再公開待ちとなる)。

 このようなプラグインを利用することによって、利用の幅が広がる可能性を秘めている点もQNAPのNASの大きな魅力だ。


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(清水 理史 )

2010/10/4 00:00