PCもタブレットもまるごとおまかせ! QNAPではじめるデータ管理術

Part.3:500TB超にも対応できる拡張ユニット「REXP-1600U-RP」

 QNAPからラックマウント型のTurboNASシリーズの容量を拡張できるオプションユニット「REXP-1600U-RP」が発売された。ストレージプールという新しい管理方法を利用して、実際にQNAP TS-879U-RPでストレージの拡張にチャレンジしてみた。

大容量のニーズに応える

 ビッグデータのニーズによって種類や用途を問わず保存しなければならなくなった種々のデータ、容量のかさばる動画やCADデータ、何年にも及ぶ過去のアーカイブ、サーバー/クライアントを含めた仮想化ソリューション――。

 種類も量も増え続ける一方で、もはや減ることは望めなくなってしまった企業のデータをいかに保管すべきか? そんなことに頭を悩ませている企業の担当者も少なくないことだろう。

 このような状況の中、QNAPから既存のNASソリューションのストレージ容量を手軽に、しかも大幅に拡張することができるソリューションが登場した。TurboNASシリーズのオプションユニットとして提供が開始された「REXP-1600U-RP」だ。

 3Uラックマウントタイプのストレージユニットで、縦横4つずつ合計16台のHDDを搭載可能になっており、4TBのHDDの利用時で合計64TB。さらに8台までのデイジーチェーンをサポートすることで、最大500TBオーバーの容量をサポート可能な製品となっている。

QNAP TS-879U-RP(上)とオプションの拡張ユニットのREXP-1600U-RP(下)。NASのストレージを拡張することができる

 QNAPのTurboNASシリーズには、今回、ヘッドとして利用した8ベイのTS-879U-RPのように、本体に8〜16ベイのHDD搭載スペースを確保することで、通常の用途であれば十分な容量を確保できる製品をラインナップしている。しかし、前述したように企業の大容量データに対するニーズが加速度的に高まっている状況を考えると、企業の現場では、導入時に想定していたストレージ容量ではデータを保管しきれなくなるケースも少なくない。

 そういった場合でも、必要に応じて柔軟にストレージ容量を拡張できるのが、このREXP-1600U-RPというわけだ。具体的にどのように容量を拡張することができるのか、実際の拡張を試してみた。

24GbpsのWide SASで接続

 REXP-1600U-RPは、前述したように3Uラックマウントタイプの16ベイの拡張ユニットだ。本体前面には、3.5インチ、もしくは2.5インチのSAS/SATA対応HDDを搭載可能なHDDベイがぎっしりと並び、背面には2系統の電源ユニットとINとOUTの2ポートのSASポート、メンテナンス用のCOMポート、電源スイッチ、エンクロージャーID表示用のLEDが配置されている。

 動作を確認するためのLEDは前面の右端に控えめに搭載されている程度で非常にシンプルな作りとなっている。

 接続可能なNASについては、製品情報ページを参照して欲しいが、エンタープライズ向けのSS-ECxx79U-SAS-RPシリーズに加えて、今回利用した中小企業向けのTS-879U-RPでも、背面の拡張スロットにオプションのSAS拡張カードを装着することで利用可能となっている。

 TurboNASとの接続は簡単で、REXP-1600U-RPに同梱されているSASケーブル(0.5m)を利用し、TurboNASに装着したSAS拡張カードにある2系統のポートの片方と、REXP-1600U-RPの背面のINポートを接続すればいい。

 このポートは、SAS 6Gbps 4x Wideポートとなっており、6Gbps×4=24Gbpsという非常に高い転送速度を実現することが可能となっている。INポートの隣にOUTポートが用意されていることからもわかる通り、ここにさらにREXP-1600U-RPをデイジーチェーンしていくことで、合計8台まで拡張可能だ。

 その圧倒的なサイズに身構えてしまうかもしれないが、実際の接続方法は非常にシンプルで、ラックへの固定さえできてしまえばあっけないほど簡単だ。

付属のSASケーブル
TS-879U-RPの拡張スロットにSAS拡張カードを装着し、片方にケーブルを接続する
ケーブルの反対側をREXP-1600U-RPのINポートに接続
接続完了
電源を入れるとNASのローカルストレージとして認識される

運用のシステムでシームレスに容量拡張

 ケーブル1本で接続が完了し、電源をオンにすれば即座にローカルドライブとして認識されるREXP-1600U-RPでは、利用可能なボリュームとして設定することも非常に簡単にできるように工夫されている。

 QNAPのTurboNASシリーズでは、ホーム/SOHO向け製品で2013年春、ビジネスクラスの製品で2013年秋にQTS4.0.xの新ファームウェアが導入された。このファームウェアで「ストレージプール」と呼ばれる新しいストレージの管理方法が採用されており、この機能を利用して簡単にボリュームを拡張できる。

 具体的には、NASに装着されたHDDで構成されたRAIDグループと、実際にデータを保存する領域として利用するボリュームを個別に管理する機能が搭載された。

 一般的なNASでは、物理的なHDDで構成されたRAIDと、データを保存するためのボリュームが基本的には1対1で管理される。たとえば、8台のHDDが搭載されていたとして、最初の4台のHDDでRAID6、残り4台でもう1つRAID6を構成した場合、それぞれ個別の2つのボリュームとして利用することになる。

 これに対して、TurboNASでは、4台ずつ2組構成したRAID6の構成を1つのストレージプールとしてグループ化して管理することができる。そして、このストレージグループに対して、どのようなボリュームを作るかはユーザーが柔軟に決めることができるようになっており、たとえば2組のRAID6上に1つのボリュームを作成してまるまる利用することもできるし、3つ以上のボリュームを作成して利用することも可能だ。

 このため、REXP-1600U-RPをシステムに追加した場合でも、以下のように、既存のHDDのRIAD構成を変更したり、ボリュームを作り直すことなく、シームレスに容量を拡張することができる。具体的な手順を紹介しよう。

1.ディスクが認識される

 REXP-1600U-RPの接続後、TurboNASの設定画面からストレージマネージャーを起動すると、接続したREXP-1600U-RPがディスクとして表示される。なお、今回はTS-879U-RPに5台(4TB×1、2TB×4)、REXP-1600U-RPに12台(3TB×12)のHDDを搭載している。

2.ストレージプールにRAIDグループを追加

 REXP-1600U-RPのHDDを既存のストレージプールに追加。「プール拡張」から新規RAIDグループを作成する。既存のRAIDグループの拡張も可能(拡張は同一ユニット内のためREXP-1600U-RPのHDDをTS-879U-RPのRAIDグループに拡張することは不可)。

3.REXP-1600U-RPのディスクを選択

 REXP-1600U-RPに装着したHDDのうち新規RAIDグループとして構成するものを選択。ここでは1〜8まで8台のHDDをRAID6で構成した。

4.ストレージプールの容量が拡張される

 ストレージプールに5.43TBのRAIDグループ1(TS-879U-RPのHDD)と16.32TB(REXP-1600U-RPのHDD)のRAIDグループ2の2組が登録され、合計容量が21.75TBに拡張された。

5.ボリュームを再設定

 設定前は5.43TBのストレージプール上に、フル容量の5.43TBのボリュームを作成していたが、ストレージプール容量が21.75TBに拡張されたので、ボリューム容量も拡張する。

6.ボリューム容量を拡張

 「ボリュームの拡張」で、ストレージプールの容量を10TBに設定。自動的に容量の拡張が実行される。

7.全体の構成を確認

概要ページで全体の構成を確認。下段右が物理HDDの構成、下段左がストレージプールの合計容量。上段がボリュームとなる。画面では、既存領域の拡張に加え、新たなボリュームとiSCSIも作成した後のものとなっている

 最初のうちは従来のHDD管理との違いに戸惑うかもしれないが、物理的なRAID構成にボリュームを切り離して管理できるため、非常に柔軟な運用が可能だ。今回の例のように、拡張ユニットを利用して次々に既存ボリュームの容量を拡張していくこともできるうえ、新しいボリュームを作成してバックアップ用に確保したり、iSCSIで利用するボリュームを追加することもできる。

 また、シンプロビジョニングによって、物理的な容量にとらわれずボリューム容量を確保することもできる。データベースなどあらかじめ将来的に必要な容量のボリュームを確保しておき、後から必要になった時点で物理的なハードウェアを追加していくといった拡張が可能だ。

 将来的に明らかに大容量のストレージが必要になることが明らかな場合でも、初期投資を抑え、企業の成長スピードに合わせながらシステムを拡張できるのは大きな魅力だ。

将来が読み切れなくても大丈夫

 以上、QNAPのTurboNASのラインナップとして新たに加わった拡張オプションユニット「REXP-1600U-RP」を実際に利用してみたが、QTS4.0.xのストレージプールによる柔軟なストレージ管理と相まって、大容量のストレージを手軽に利用できるソリューションとなっている。

 冒頭でも触れたように、ITの世界では、ビッグデータなど、新しい考え方が次々に登場し、その都度、ビジネスシーンで必要とされるデータが増えていく傾向にある。このため、将来的にデータを保管するために必要となるストレージ容量を計算するのは、極めて困難な状況にある。

 しかし、今回の組み合わせであれば、将来的に予想以上にストレージ容量が必要になったとしても、その時点でストレージ容量を手軽に追加することができる。容量不足でシステム全体のリプレイスが必要になるようなことがないのは非常に効率的なうえ、長いスパンで見たときのトータルコストを削減する効果も大きい。比較的規模の大きい中小の現場、事業規模の成長が速いベンチャー企業などで、ぜひ利用を検討したいシステムと言えそうだ。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ