INTERNET Watch 30周年
【2000年のINTERNET Watch】「IT革命」が流行語に、日本中を驚かせた事件もあり「2ちゃんねる」に注目集まる
2026年3月2日 06:30
2000年の出来事
2000年(平成12年)5月に「西鉄バスジャック事件」が発生。17歳の少年による犯行で、犯人逮捕の場面などがテレビ中継され、大きな注目を集めた。
この犯人による犯行予告の書き込みが、1999年に開設された匿名掲示板サービス「2ちゃんねる」に残されていたことが判明し、2ちゃんねるが広く注目されるようになる。この年にはほかにも17歳による大きな事件が相次いだことで、「17歳」が新語・流行語大賞のトップテンに入っている。
シドニーオリンピックが開催された年でもあり、柔道の田村亮子選手、マラソンの高橋尚子選手らの金メダル獲得が話題になるなどして盛り上がった。社会では、ITを業界内だけに限らず仕事や生活において広く活用し、さまざまな変革を起こそうとする「IT革命」がキーワードとして注目され、新語・流行語トップテンにも。森喜朗首相がIT戦略会議にて「イット」と読んだとのエピソードが、当時のネットミームとして流行した。
なお、これらのキーワードを押さえてこの年の新語・流行語大賞となったのは、「おっはー」。香取慎吾さんがテレビ番組で扮していた「慎吾ママ」が受賞している。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2000年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。
1. 匿名掲示板「2ちゃんねる」が急伸
▶「今年は2ch.netの年だった」~JARのネット視聴率レポート~
「2ちゃんねる」(2ch.net)は、1999年5月に「ひろゆき」こと西村博之氏が開設した匿名掲示板サービス。2017年には「5ちゃんねる」となっている。
先述した西鉄バスジャック事件などでも話題になっており、INTERNET Watchで初めて名前が挙がるのが、2000年12月のこの記事。2000年4月以降に大幅躍進し、「掲示板のサイトとしては、今年は2ch.netの年だった」としている。また、レポートの「政治家や経営者や投資家が血眼になって掲示板の発言を読み『便所の落書き』が社会を動かす時代がもう目の前に来ているのかもしれない」とのコメントも残されている。
これまで、インターネットにおける活動は、実名あるいは活動名(ハンドルネーム、ペンネームなど)を名乗って行うのが一般的で、そうした顕名ユーザーの発言が注目を集めやすかった。しかし、匿名が基本となる「2ちゃんねる」が存在感を増し、その中の書き込みが注目を集めることで、「インターネットは匿名の場」との印象が強まり、広がるようになる。こうした匿名の書き込みを批判的な意味で指したのが「便所の落書き」という言葉で、当時しばしば使われた。
2. NTT東西、「フレッツ・ISDN」提供開始
▶NTTの「IP接続サービス」、7月より全国の主な都市へエリア拡大
7月15日、NTT東西が試験提供中だった定額制の「IP接続サービス」を、「フレッツ・アイ」(FLET'S・Isdn)と改称し、本(商用)サービスとして提供開始。後日「フレッツ・ISDN」と改称された。現在の「フレッツ光」に続く、常時接続サービスの始まり。なお、フレッツ・ISDNは2026年1月にサービス終了となった。
3. NTT東西、「フレッツ・ADSL」も提供開始
7月のフレッツ・ISDNに続いて、12月に「フレッツ・ADSL」が提供開始。これまでのISDNが最大64kbps(上り/下りとも)であるのに対し、「フレッツ・ADSL」は上り512kbps、下り1.5Mbpsと大幅に高速化され、「ブロードバンド」という言葉が広まる。Watchシリーズでは「BB Watch」(BroadBand Watch)を2001年7月に創刊している(2009年12月に休刊し、バックナンバーはINTERNET Watchに統合された)。
フレッツ・ADSLは2023年1月にサービス終了している。ISDN、ADSL、光と短期間に次々と回線サービスが登場することになった背景としては、IIJの視点でのコメントも合わせてお読みいただきたい。
なお、この年の12月には、後の「フレッツ光」となる光回線サービスの試験提供も始まっている。
4. KDDI誕生、KDD・DDI・IDOが合併
第二電電株式会社(DDI)、KDD株式会社、日本移動通信株式会社(IDO)の3社が10月1日に合併。株式会社ディーディーアイ(通称:KDDI)となった。2001年4月にはKDDI株式会社に正式社名を変更している。
5. Napster問題、米連邦地裁がサービス停止命令
▶米連邦地裁、音楽交換ソフトのNapsterにサービス停止命令
Napsterは、MP3ファイル(音声ファイル)に特化したP2Pファイル共有ソフト。1999年に公開され、2000年にはMetallicaに訴えられるなどしていた。後年の「Winny」事件などに先駆けて、著作権侵害で問題視されたP2Pファイル共有ソフトだといえる。
Napsterは2002年に倒産したが、その後に同名の音楽配信サービスが立ち上がるなどしている。こうした経緯は槻ノ木隆の「BBっとWORDS」 その74「Napsterの歴史」も参照のこと。
6. Googleが日本語ベータ版提供、シンプルさが注目される
1998年に創立したGoogleが、この年の8月に日本語サービスを開始した。なお、同年末のニュース振り返りでは「トップページに表示されるのはロゴと検索窓だけという異常なシンプルさが余計に新鮮にうつった(中略)しかし『何で儲けんの?』という疑問はあるところ」とコメントされている。
同社の広告サービスなどはまだ生まれておらず、検索サービスだけでほかの収益化が見込めそうな展開も見えないことから、そのような素朴な疑問が当時はあった。
7. イー・アクセス、アッカがADSLサービス提供開始
▶通信ベンチャーのイー・アクセスがADSLサービス
▶アッカ・ネットワークスがADSLの無料モニター募集
1999年末に、NTT東西の電話回線網を利用した初のADSLサービスとして東京めたりっく通信がサービスを開始した後、2000年にはイー・アクセスがADSLサービスを開始し、同年末にはアッカ・ネットワークスがモニター募集と、初期のADSLサービスが続けて立ち上がった。
後に、東京めたりっく通信はソフトバンクBBと合併、イー・アクセスとアッカ・ネットワークスは合併した後、さらにイー・モバイルに合併され、現在は3社ともソフトバンク(ワイモバイル)に合流している。
8. 「I Love You」のメールから感染するウイルス
▶メールで広まる「I Love You」マクロウィルスに注意
現在では「マルウェア」(悪意のあるソフトウェアの総称)と呼ばれるのが一般的だが、当時はウイルス(ウィルス)と呼ばれた。これまでにもウイルスのニュースはあったが、数が増えてくるのは2000年頃からだ。
5月のこのニュースでは、Outlookユーザーをターゲットとしており、知人などのアドレスから「ILOVEYOU」というタイトルのメールが送られてきて、添付ファイルを開くと悪意のあるスクリプトが実行されるマクロウイルスへの注意を呼びかけている。現在の「ロマンス詐欺」のはしり、とも言えるもので、これを受け、Outlookに添付ファイルの実行を警告機能が実装された。
同年には、2月に米司法省がサイバー犯罪対策予算を3700万ドル計上したというニュースや、6月に郵政省(当時)が「サイバーテロ対策検討会」の中間報告を発表というニュースなども公開している。
9. 「XHTML 1.0」勧告
▶W3C、XMLベースの次世代HTML仕様「XHTML 1.0」を勧告として発表
ウェブページの構造を記述するマークアップ言語(HTML)として、従来のHTML 4.0の後継にあたる「XHTML 1.0」の勧告(Recommendation)が発表された。HTMLを汎用性が高いマークアップ言語であるXMLとして再定義したことが特徴で、より厳密な文法となり、機械での処理しやすさなどが特徴とされた。当時はMacの標準機能としてもホームページ作成機能が提供されるなどしていた。
この後、XHTMLの継続的な開発は行われず、2014年には「HTML5」が勧告される。
10. ICANN、「.biz」「.info」など7つの新gTLDを決定
▶ICANN、「.info」など7つの新gTLDを決定 登録開始は2001年春ごろの予定
それまでの「.com」「.net」「.org」といったgTLD(グローバルトップレベルドメイン)に、新たに「.info」「.name」「.biz」「.pro」「.museum」「.aero」「.coop」が加わることになった。運用開始は2001年の春頃とされている。

