読めば身に付くネットリテラシー
「いいねを押すだけ」「動画を見るだけ」などとうたう副業の正体は、出口のないネット詐欺なので要注意!
2026年6月12日 11:52
「動画に『いいね』を押すだけ」「商品レビューのスクリーンショットを送るだけ」――そんな簡単な作業で報酬がもらえるとうたい、最後はお金をだまし取るのが“タスク詐欺”の手口です。数年前から話題になっているタイプの詐欺ですが、今もなお猛威を振るっています。
国民生活センターは5月19日、簡単なタスクで稼げるとうたう副業トラブルについて、あらためて注意を呼び掛けました。紹介されているトラブル事例では、20代の男性が「動画を見るだけ」という副業のはずが、今後の手続きに必要と言われてスマホを遠隔操作され、消費者金融2社からそれぞれ30万円を借りさせられています。
東京都消費生活総合センターも2025年10月に同種の注意喚起を出しています。こちらの事例では、60代の男性が暗号資産の投資タスクで参加費20万円を振り込んだあと、「出金にはグループ全員の作業が必要」「あなたのミスがあった」などと言われ、45万円の修正費用を請求されています。
最初に少額の報酬で信頼させ、ゲーム的な要素で達成感を刺激
米国でも、FTC(米連邦取引委員会)が2025年8月、タスク詐欺を「ゲーム化された求人詐欺(gamified job scams)」と呼び、消費者に注意喚起しました。作業を終えるたびに少額の報酬で信用させたうえで、次の作業や出金のためと称し、暗号資産で自己資金を入金させる手口です。
作業そのものは、拍子抜けするほど簡単です。アプリやサイト上で動画に「いいね」を押したり、レビューの画面を送ると、クリックするたびに報酬が積み上がっていくような画面が表示されます。最初のうちは、実際に少額の報酬が振り込まれることがあります。ここで「本当に稼げるんだ」と思ってしまう人が出てきます。この小さな成功体験を餌にして、もっと大きなお金をだまし取るのが狙いです。
続けていると、流れが変わります。「次の作業に進むには入金が必要です」や「たまった報酬を引き出すには手数料が必要です」などと言われます。そうした支払いに、米国では、米ドルと連動するUSDTという暗号資産が使われることが多いそうです。「ここまで作業してきた時間を無駄にしたくない」「あと少しで報酬を受け取れるかもしれない」といった心理につけ込まれ、入金してしまうのです。
セキュリティ企業のTrend Microが2025年8月に公表した報告書では、こうした詐欺サイトの画面が、まるでゲームのように作り込まれていることが指摘されています。こうした作業は30~40件単位のセットで割り当てられることが多く、完了すると「次のレベルに進める」と案内されるそうです。VIPレベル、連続達成ボーナス、ランクアップといった、達成感を刺激する仕掛けが並んでいます。さらに厄介なのは、出金のルールです。残高が一定額に達しないと引き出せないのに、その額に届かせるには自分で入金するしかない――つまり、報酬を受け取るためにお金を払わされる仕組みになっています。しかし、一度入金したお金が戻ってくることはありません。
副業するのに入金を求められたら、詐欺を疑おう
もちろん、こうした詐欺をするグループの摘発も行われていますが、すぐになくなるわけではありません。だからこそ、各自がネットリテラシーを高め、自己防衛する必要があります。
まず、「『いいね』を押すだけ」「商品レビューのスクリーンショットを送るだけ」「動画を見るだけ」などの簡単な作業で稼げるといった仕事や副業の広告を、うのみにしないことです。
そして、お金を稼ぐための副業なのに、逆に入金を求められたら、詐欺を疑ってください。「報酬を引き出すための手数料」「次の作業に進むための保証金」「アカウントを有効にするための入金」など、理由はいろいろ用意されていますが、お金を盗もうとしているだけなのです。
あわせて、タスク詐欺に限りませんが、暗号資産での支払いを指示された場合も警戒しましょう。特にUSDTなどのステーブルコインを指定され、「指定されたウォレットに送ってください」と言われたら、そこで立ち止まってください。その時点で連絡を切るだけでも、多くの被害は防げます。
タスク詐欺が厄介なのは、話にリアリティがあることです。提示される報酬は、最初から何十万円という大金ではありません。作業も、スマホでできる軽作業です。そして、最初に少額の報酬が本当に入金されることもあります。あの手この手で信頼感を得ようとしてくるのです。
もし家族や知り合いが、スマホからできる簡単な作業で稼ごうとしていて、入金を求められているなら、それは詐欺だということを教えてあげましょう。消費者ホットライン「188(いやや!)」や、最寄りの警察の相談窓口につながる警察相談専用電話「#9110」に相談するように促してください。
タスク詐欺で一度送ってしまったお金は、取り戻すのが難しくなります。だからこそ、振り込む前の身近な人の一言が、大きな分かれ道になります。
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